拭き漆工房 翠簾洞 素舟齋
空いた植木鉢を重ねて置いてあったが、いつの間にか下積みになっていたこの鉢が破砕していた。ザックリとした粗い土なので割れやすかったのか、破片が散乱していた。
気に入っていた鉢なので金継ぎの練習に修復してみるとことにした。
梱包用のガムテープで繋ぎ合わせてみると、2箇所だけは失われていたが大部分は回収されていた。
全体は立体のままにしておいて、まず一番細かい破片から必要な部分だけガムテープを剥がして、瞬間接着剤で修復し、順々に大きな破片を貼り合わせていった。
鉢が小さくて全体が曲面ばかりなので、全周をピッタリ合わせるのが難しく、一部に隙間が見えるが、まあ一応の修復は出来た。
縁の2箇所が三角形に欠損していた。
欠損箇所は同じような素焼き片を探すのは不可能なので、充填箇所に合わせて木片を削って填め込んでみようと思う。
昨日貼った瞬間接着剤の上を(内側だけ)上朱合漆を面相筆でなぞった。
割れ目がうまく合っているところは、表面張力で表側まで漆が染み込んでいるが、まだ埋まっていない空隙もあるようで、透けて見える部分がある。今度は外側(表側)からなぞってみよう。
その前に欠損した部分の補修片を作った。
木片を削って鉢に合わせて丸みや反りを付けた。木片が小さくて指でうまく押さえられないので反りを付けるのはとても難しい。
大きい補修片の外側↓ |
補修片を錆漆で付けようかと思ったが、隙間が大きいのでウッドエポキシを使うことにした。 隙間を塞ぐために、まずウッドエポキシの壁を作り、そこに補修片を押し付けるようにして埋め込んだ。 ウッドエポキシが半乾きになったとき、カッターではみ出たウッドエポキシを削り取っておいた。 |
小さい補修片の外側↓ |
矢張り陶土の肌理に入ったウッドエポキシが白くて取れない。サンドペーパー#100で強く磨くと鉢の表面が剥げて地の陶土が黒く出てくるから、無理はしなかった。
外側の瞬間接着剤の継ぎ目に漆を線描きした。鉢の生地が粗いので漆が吸い込まれたようだ。
補修片の地塗り(内側)
大きい補修片の地塗り(外側)
補修片で埋めた部分にも地塗りをした。
木部は白っぽいが、ウッドエポキシは漆を吸うので黒く見える。
大きな補修片が少し小さくて鉢の縁より低くなったが、植木鉢としては問題がないのでそのまま作業を進める。
その後3回ほど梨子地漆で継ぎ目を塗り重ねた。
しかしウッドエポキシの上は艶が出なかったので更に2回梨子地漆を塗り重ねた。
すこし仕上げが甘いが、自家用の植木鉢だし、この程度で完了としておく。
<2009.07.15.作成・2009.10.30.改訂・2010.01.16.再訂・2011.02.25.三訂・2013.09.15.四訂>