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vol 336:説得
俺を掴み上げて睨みつける冥王星の神を、
大樹も弥勒も大日もシロも阿弥陀もジッと睨むように見つめる。
冥王星の神は俺を睨んでいたが、
そのまま椅子に座り、自分の膝に俺を降ろした。
(全く・・・いい加減にしてくれ。)
俺は直ぐに感じとった。
冥王星の神の怒りが静まった事を。
「はは・・・嫌や。」
力のない俺はクシャリと冥王星の神に笑いかける。
神の大きな親指は俺の頬を撫で、
(すまぬな。我は壊す力があっても、
治癒する力はないのだ。)
自分が負わせた傷を気にしている様や。
「こんなもん・・・時間で治るねん。
気にせんで?。」
一気に変わった空気に大樹や弥勒とシロは、
持ち上げていた頭を脱力したかのように床に落とした。
(大日如来よ。どうしろと考えている。)
視線は俺に向けたまま、大日に話を向けた。
(今、海王星の神が地球に聖戦を。
皆、霊の身。
命は塵にはならぬとも、恐怖や悲しみに満ちています。
地球の者たちは皆、守るという意味でしかない。
しかし、海王星の者たちは、
皆、脅えている。
恐怖に。)
(・・・海王星は無駄な戦をしてきた星。)
大日は頷いた。
(我らは地球は勿論のこと、
海王星の民たちも助けたい。
だが、海王星の神の元にカンたちを連れて行く事は、
危険すぎる。
私ひとりでは守るのに厳しいのです。
私には手出しをしなくても、
カンや弥勒、大樹、シロは真っ先に。)
冥王星の神の俺に触れる大きな指に、
俺は頬を擦りつけた。
「こんなん・・・間違ってるやん。
こんなんやってるから、民も同じ事繰り返す。
戦争、地位へのプライド、欲。
民は神を善人で、戦争なんかには無縁の存在やと思ってる。
でも、死んでから解る事は、
生きてた場所とは見た目は変わらん。
こんな政治の世界やなんか・・・誰が思う?
死んでんのに、他の星狙って戦争やなんて。」
(・・・。)
冥王星の神は眉を下げ、酷く悲しみの満ちた顔をした。
(これで我が力を貸せば、
我は神々の最高神では居られぬ事となる。)
(いいえ。海王星の神や火星の神の事に、
他の星の神々は良くは思っていない。
いつ自分の星が同じ目に遭うかとも思っている。
誰も貴方を責める事もしないでしょう。
貴方が立ち上がれば、皆賛同する。
私には確信があります。)
弥勒がゆっくりと体を持ち上げてフラフラと立ち上がった。
「お・・・れはっ、話がしたいだけなんです。
自分の民の心を見ろと。
こんな形で星を手にして、何が残るのかと。
海王星は火星に踊らされているだけだ・・・と、。」
弥勒はそのまま倒れてしまい、
自然に肉体へと戻されてしまう。
シロも大樹も消耗しきって肉体へ。
そして、俺もさすがに耐えられない。
「・・・待ってるからな。」
冥王星の神に笑んで俺も肉体へと戻った。
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