vol 333:思考でしか動かぬ者






空の上で激しい音が響く。

地上では竜巻や暴風。

(シロ、今たくさん死んだ。)

「行こう。」

荼枳尼がまた死を感じ取った。

今や我らは日本だけでなく世界中に霊体として飛び回っている。

荼枳尼天と訪れた場所には目を疑った。

人間が穴を掘っている。

その横には女、子供、男の死体が積み上げられていた。

『よし!放り込め!。』

一人の男の掛け声で、

何人かの男が死体を上から引きずり降ろし、

穴へと落とす。

そこには哀れみも悲しみも慈悲と言う心もなく、

まるで物の様に穴に落としていくのだ。

(シロ・・・ここは埋める必要はないか。)

「うむ。」

バキューン!

銃声が近くで聞こえた。

暫くして死体が運ばれて来る。

(シロ?。)

我は銃声の聞こえる所へと向かった。

『お前は何をしにこの村に入る?。』

『は、はい。私はこの村の者で、
子供と村のはずれにある山に山菜を摘みに。』

『・・・。』

『ママ・・・。』

銃を持った男は女の背負うカゴを見て、

銃を構え子供の頭を打った。

『あ・・・あぁ・・・。』

女は我が子がその場に倒れたのを震えて見つめ、

銃は女に向けられ引金を引かれた。

(シロ?。)

荼枳尼は我の袖を掴み、

我は荼枳尼のその手を強く掴んでその場を去った。

(シロ!。)

「・・・狂っている。」

(人とはこの様な者であろう?。)

荼枳尼は我の言葉に不思議そうに顔を傾げた。

空の彼方では闇の者も共に聖戦を行っていると聞いた。

あの人間共に闇の者が憑いているわけでもない。

これが天界の神が創った人間だと言うのか。

「荼枳尼よ。お前は何故あの様な者たちが人間だと言うのだ。」

(人間は自分の思考でしか動かぬではないか。
気分で同じ人間でも殺す。
見た目で判断し、邪険にし殺す。)

「・・・。」

我ら蛇もそう。

醜い、気持ち悪いと罵られ、

殺されていた。

今では人間は我らを小さな箱に閉じ込め、

コレクションと言って飼っている者さえいる。

咬まれれば、飼いきれないと判断し殺すか、

野に放たれる。

「ック!。」

あの世の世界でも蛇の国は邪険に見なされる事が多い。




(気持ち悪い。)



(これのどこが神だと言うのだ。)



(ただの恐ろしい蛇ではないか。)







「綺麗な体やなぁ・・・触ってもええ?。」






我らにこんな言葉を言ったのはカンだけ。




カン・・・。









(シロ、行こう?。)

握った手を荼枳尼は握り返し手を引っ張った。










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