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vol 331:反対の諦め
ドォオオオオン!
「っ?!。」
「ハッ?!。」
大きな音と地震で勢い良く起き上がった。
隣でも大樹が体を起して目を大きく見開いてる。
「カン・・・何?。」
「さ、さぁ。けど・・・ココに落ちんかった?。」
「すごく揺れたよね・・・。」
「って言うか・・・。」
部屋全体がものすごく重い。
「この気・・・弥勒?。」
「弥勒?。」
そういえば弥勒の気にどこかしら似てる。
俺はベッドから降りて弥勒の部屋に向かった。
ドアを開けたら寝てるはずの弥勒の肉体が上体を起こして俯いてる。
「弥勒?・・・なんや戻ってたん?。」
薄暗い部屋で上体を起こしてる弥勒は、
俯いた顔を俺に向けた。
顔をクシャクシャにして泣いてる。
「・・・どないしてん。」
俺は歩み寄りベッドに腰掛け、
大樹もそんな弥勒を見て動揺する。
「か・・・ん、。」
再び俯き顔面を両手で押さえて震える弥勒に、
俺は背中を撫でてやり、
「さっきの音と地震となんか関係あるんか?。」
「っ・・・ぅ・・・もう嫌だ、。」
「弥勒・・・。何があった?。」
そして、俺と大樹は今起っている空の上での聖戦について聞かされる。
弥勒は泣きじゃくりながら、
殺すのは嫌やと、
戦いなんかしたくないと訴えた。
「・・・命が消える事がないとは言え、
実際は武器で刺したり斬ったりするんじゃ、殺してる行為だものね。」
大樹もベッドに腰掛け弥勒の後ろから背中を撫でる。
「お前はそんなんする役目やないはずや。
なんで・・・。」
弥勒の役目は救済で、
こんな戦に参加する事やない。
いくら人手が足りんからって、。
「だけど・・・救済する上での、
学ぶべき事なのかも知れないよ。
だって、弥勒の救済は人間の魂。
人間は戦なしでは生きていけない生き物。
地球自体が危ない今でも、
世界中で戦争は行われている。
あらゆる気持ちを知らないと、
本当の意味での救済は出来ないのかも知れない。」
大樹の話は重かった。
弥勒も黙って話を聞く。
でもきっと、弥勒は理由が解ったとしても、
受け入れたくないやろう。
痛々しい弥勒に、こんな苦しんでる弥勒に、
俺はただ、人々に訴えかける役目しかしてない。
「弥勒、大樹、俺と一緒に来てくれ。」
「カン、どこに行くつもり?。」
「攻撃してる海王星の神に会いに行く。」
弥勒は目を見開いて俺を見た。
「ちょ、またそういう事言う!。」
大樹は立ち上がって怒った顔をする。
「こんなん間違ってるって言いに行くんや。」
「そんなの言っても通じない相手だから今こうなってるんじゃないか!。」
「せやけど、このまま黙って見てるんか!。」
「そうだけど、敵の陣地に乗り込むなんて危なすぎるよ!。」
「死んだらそれまでの命やろ!。」
「カン!。」
俺と大樹の言い合いの中、
弥勒は小さく呟いた。
「・・・行く。」
「え?。」
大樹が聞き直す。
「俺は行く。海王星の神の元に。
こんな事を続けるくらいなら塵になった方が良い。」
「弥勒・・・。」
大樹は眉を下げて肩を落とす。
「なぁ、大樹。
俺と一緒に死んでくれ!。」
はにかんで大樹の肩をポンと叩く俺に、
「もぉおおおおおお!。」
大樹は大きく溜息混じりに叫びながら反対を諦めた。
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