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vol 329:言葉よりも目で
「ハッ!クッ!タァ!。」
何も考えず、ただ守る事だけを考えて剣を振り下ろす。
運が良いのか敵が弱いのか、
俺はまだ負傷はしていない。
(ギェエエエエエエ!。)
少し遠くでやたらと大きな悲鳴が聞こえ始めた。
敵を倒した後、そちら側に目を向けると、
赤黒いエネルギーが見え、
どんどん敵を消していく。
「なんだ、あれ。」
俺はその場所へと向かった。
そこには、
「フフフ。」
笑みを浮かべて両手でエネルギーを発するサタンが居る。
「サタン!。」
「おや、弥勒じゃない。こんにちは。」
俺に向いて相変わらず人を馬鹿にするような口調で、
余裕で挨拶をしてきた。
「ほら、後ろ。」
後ろから敵が俺に向かって襲いかかって来るのを見た瞬間、
俺の真横を赤黒いエネルギーが通り、
敵を消し去った。
「お前まで戦うのか?。」
「うん。やる事がないからね。
暇つぶし?。」
ニッコリと笑み霊同士の命はかかってないものの、
傷つけあうこの状態を暇つぶしだと言われ、
俺はカッとなり、
「お前・・・。」
やはりコイツは味方じゃない。
(弥勒。落ちつけ。)
「ミカエル!でも!、。」
(いいか?弥勒よ。
彼の本心をお前は読みとってはいない。
ただの言葉だけで判断をするのか?。)
「本心?言葉?でもアイツは、!。」
(そう、彼はサタン。闇の王だ。
それは今も変わりはない。
その闇の王が参加すると?。)
「・・・。」
(彼は、あぁ言う態度を此処ではとくに貫かねばならない。
闇の者達に気付かれては要らぬ反乱が起るからだ。)
「やぁ、ミカエル。元気そうだね。」
(お前もな。相変わらずの力だ。)
サタンとミカエルは視線を合わせ、
サタンの目はどこか澄んでいた。
「しかし、君の戦い方は変わってないねぇ。
人と同じじゃないか。
武器を振って天界の者らしくもない。」
(ハハハ、人に教えたのは我々だ。
お前は変わらずエネルギーを使おうとするのだな。)
「勿論。」
原始の頃から武器を人間に教えて来たのは、
天界だと言う。
俺は剣を持つ手に力が入った。
この武器を知らなかったら人は戦いをしなかったのかもしれない。
「弥勒、それは違うよ。
武器が無くても欲がある以上、
人は何かで相手を殺す。
物以前の問題。」
心を読まれ、サタンはまたニッコリ笑んだ。
(今は話している間はない。)
敵は全くと言っていいほど減らない。
どんどん向かって来る。
ミカエルもサタンも戦いに集中しだした。
俺は・・・。
(弥勒。)
頭の中で声がする。
誰だ。
(私です。)
そこに浮かぶ顔は阿弥陀如来だった。
「阿弥陀・・・様?。」
敵を倒しながら頭に聞こえる声。
(サタンはカンと一緒に命を終えようとした。
しかし神に第2の命を与えられたのです。
彼のこれまでの気持ちはお前が知るのは一部。
今の彼は、また神の子。
しかし、これまでの闇のルールを今この時に曲げる事も出来ない。
彼が天界に戻りたくても戻れない。
これは彼の罪のせいなのです。
全てが解る時がいずれ訪れよう。
今は彼を心では信じ、
言葉ではなく彼の目を見て判断しなさい。
そして、この事を周りの闇の者にもあの世の者にも、
天使たちにも知られてはならない。)
「どういう事です!。」
俺の問いには何も返って来なかった。
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