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vol 319:しっくり
なんでか解らんけど、良い気分がせん。
そんで、その原因はすぐに解った。
「カン、どうするの?。」
「・・・こんなん調べたらいくらでも出てくる。
防空壕で調べたって、どうせ心霊スポットになってたりするんやろ。」
大樹はパソコンのキーボードを叩き、
画面をジッと見つめ、
「場所を指定して防空壕で検索したけど、
そうだね・・・心霊スポットって文字が多い。
なんだよ・・・防空壕でいただくハンバーガーって・・・。」
心霊スポット。
そこは幽霊が現れた場所を指す呼び名。
でも結局は、
死体が出たらどこでも心霊スポットって言うような気がする。
心霊スポットに行ったからって誰でも幽霊を見るわけやない。
人間はホラー映画のようなものを想像してるから、
ゾンビのような霊が出て欲しいんやろ。
実際に出たら悲鳴もので、
正気ではおられんやろうに。
霊感があって、感じるだけやなく、
目に見える人か、よっぽど人を呪いたい霊やないと、
普通に行くくらいやったら何も起らんやろうな。
そして、幽霊なんか居るわけないって断言してる人が、
面白半分で馬鹿にしに行く場所。
「掲示板読むと、腹だたしいのがたくさんあるよ。
て言うか・・・あの世のみんなが見たら、
悲しみよりも怒りしかないだろうね。」
「そんな人間が好きな霊もおると思わへん?。」
「え?。」
「本当に彷徨ってそこに理由があって居る霊だけやった場所に、
そういう馬鹿にした奴らが来るようになって、
逆に生きてる馬鹿にして来る奴ら同様の、
生きてる奴を馬鹿にした霊が集まる。」
「カン、ここ・・・。」
ひとつの場所が目にとまった。
大樹に声をかけられて俺も横から覗き見る。
「第二次世界大戦中につくられた陸軍の防空壕。
二つの壕に分かれていて、ひとつは、
地震予知研究センター観測所として使用されている。」
大樹はその名前で検索をする。
「防空壕を掘るために連れてこられた強制労働者の霊や、
子供の霊が出てくるね。
戦死者の霊の情報はない。」
「強制労働者は朝鮮人ってなっとるな。」
俺はパソコンから目を離し床にうつ伏せに寝転んだ。
「爺さんは戦死者言うた。
強制労働者も戦争のせいで死んだら戦死者?
戦争で戦いの場で死んだ人が戦死者?。
「戦争で爆撃なんかで亡くなったりの人が戦死者って思いがちだけど、
戦争に関わって亡くなれば、それは戦死者になるんじゃないかな。」
大樹は俺の頭を撫でて、
「たださ、もしもこの強制労働者が俺達を求めてるなら、
しっくりこない。」
「朝鮮人で無理矢理連れて来られて命落としてるんやったら、
日本人、怨んでる方がしっくり来るよな。」
「うん。朝鮮と日本は本当に関係は最悪だからね。
それが戦争なんだけど、現在でもそれをひきずってる。」
俺は、なんやモヤモヤする。
理由は、ただ、戦死者やなく、他の霊や。
その場所に関係なく集まってる霊。
行きたいと思わへん。
「いたっ!。」
大樹が自分の頭を抱え出した。
俺は顔を上げる。
「っ!。」
その瞬間、俺にも酷い頭痛が襲って来た。
目の前には40代くらいの女が居て、
嫌な笑みを見せてる。
(気になるんだろう?
来なきゃ解らないよぉ?
おいで・・・おいでよ・・・。)
女は笑みながら手招きをして直ぐに消えた。
戦死者が居るとしても、
やっぱりそれだけやないと確信した。
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