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vol 312:平等
俺は今、冥王星の神の場所におる。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
なんなんやこれ。
体中に重りを巻きつけてるみたいや。
立っているのが精一杯で、
それでも体は震えてる。
それは、阿弥陀が現れてココに連れて来られた。
理由は、冥王星の神が俺に会いたがってるって事だけ。
(女と言うよりも、性別が無いようだ。)
ずっと顔を見て黙っていた冥王星の神が口を開いた。
(この子は、ただ純な心の持ち主。)
(地球の神の子よ、その弓を見せてくれ。)
ミカエルから貰った弓は、
指輪に姿を変えてて背負ってないのに、
俺の弓の存在を見抜いてる。
阿弥陀を見ると阿弥陀は小さく頷いたから、
指輪を弓に変えた。
せやけど、変える事すら困難で、
弓に変わった弓を持ったまま床に両膝と両手をついてしまい、
弓を冥王星の神の元に持ってくなんか無理や。
(カン、私が持って行きましょう。)
阿弥陀が弓を掴んで冥王星の神へと近付き、
弓を手渡した。
冥王星の神は弓をマジマジと見て、
(これは良い弓だ。そなたへの愛で溢れている。
自分で創った物か?。)
「い・・・や・・・・、。」
(それは天界の神の使い、
ミカエルと言う者が、天の子の為に創った物。
天の子を愛している馬や木々で創ったとか。)
俺の代わりに阿弥陀が説明してくれた。
「はぁ・・・はぁ・・・くっ、。」
アカン、限界や。
四つん這いになったまま、
顔を上げる事すら出来なくなった。
冥王星の神は椅子から立ち上がり、
俺の元に近づくと背中に手のひらを触れさせた。
「っ?!。」
背中から体内に何かが入ってくる。
空気に押しつぶされそうになってた体が、
張りつめたようになって、
空気の重さが感じへんようになっていく。
(どうだ。もう苦痛ではあるまい。)
体を起して不思議な自分の体に両手を見た。
「これってなんなん?。」
冥王星の神に顔を向けて問いかけると、
阿弥陀は、
(カン、言葉を慎みなさい。)
宇宙の神々の中でも、偉い神やから。
でも、そんなん俺は知らんやん・・・。
(ハッハッハッハ!!!!良い度胸をしておるな。
お前の父親もそうであったぞ?。)
心の声は見透かされて大声で笑われた。
体が軽くなって、それどころか、
なんや元気や。
俺は父に似てると言われた事に興味を持って、
冥王星の神に駆け寄ると、
椅子に座る冥王星の神の膝に座る。
宇宙の神ってみんなこうなんやろか。
大男や。
阿弥陀は慌てて俺に駆け寄り、
(カン!それはやりすぎ、。)
そう叫ぶ阿弥陀に冥王星の神は片手を向けて言葉を止めさせ、
(お前、怖いものはないのか。)
「こわい?なにが?。」
(我が怖くないのかと聞いている。)
俺は笑った。
「なんで怖いん?だって、阿弥陀の知り合いやし。
なぁなぁ、パパと似てるって何?。」
冥王星の神はそんな俺に呆気にとられ、
(強気な所が地球の神と似てると言う事だ。
だが、お前の父もさすがに我の膝に乗った事はないぞ?。)
パパは強気と言うか強情で、頑固者やと俺は顔を顰める。
(我に触れたのはお前くらいだ。
阿弥陀や大日が気にいった気持ちは大いに解った。)
阿弥陀は冥王星の神に眉を下げて笑む。
(この子には、位というものがないのです。
誰が偉いと言う概念がない。
全てが平等であって、その中で、
自分で尊敬する者を選び、
それを周りに植え付ける事なく、
大らかな自由の持ち主。
故に純粋なのです。
地球の神は良い子を生みました。)
冥王星の神は俺の頭を撫で、
(平等か。だが、その平等だけでは全ては成り立たぬ。
上に立ち、善悪の判断が出来、
まとめるべき存在であらねば、
世は崩れてしまう。)
(ですが、昔の貴方は天の子そっくりです。
この子の事を悪く思えますか?。)
冥王星の神は俺に弓を返す。
指輪に戻すと俺を片腕で抱き立ちあがり、
「うお!。」
俺は冥王星の神にしがみついた。
(わかった。阿弥陀よ。
地球を守るよう認めよう。
だが、我らは手出しはせぬ。
守りきるのは、地球を心より守りたい者で守りきるが良い。)
阿弥陀は深々と頭を下げた。
いまだに俺がなんでココに連れて来られたんかは、
俺自身、全然わけわからんけど、
この後、報告を受けた大日に呼び出されて、
礼儀をまだ解ってないんかと、
こっぴどく叱られた。
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