vol 309:懺悔




「ここ・・・は、。」

「ここは天界だよ。」

連れて来られた白い建物に白い地面の眩い場所。

そんな私に大樹が答えた。

「リヒトこっちや。」

未だに信じられない光景と女性となっているカン。

これは夢なのか。

建物の中へと足を運ぶ。

(我が妹よ。)

カンが現れた一人の男と抱き合っている。

「リヒト、この人がお前が信仰してた人や。」

「私が信仰していた?。」

私が信仰していたのは主。

カンの隣の人は私を見ては眉を下げ悲しい表情をした。

(リヒトよ・・・。)

その声は耳から聞こえるものではなく、

体全体から聞こえてくる。

私は咄嗟に跪き床に額をつけた。

こんな事があっていいのか?

私は神が存在すると信じている身なはず。

それなのに疑ってしまう。

(リヒトよ。お前は純粋に教えを信じていました。
しかし、神が命を殺める事をお許しになられると思うのか。)

私の愛する主の言葉に私は震えが止まらなかった。

(教える人間を皆は非難するであろうが、
私はお前を非難するであろう。
聖書を読み、時代をちゃんと見、
神の御言葉を聞いていれば、
惑わされる事もなく真実を見る事ができる。
お前は我が妹、我が父の子を殺めようとしていたのです。)

「っ・・・、。」

何を言われている?

私が神の子を殺め・・・。

私はカンを見た。

カンは神の子だったのか。

私は立ち上がりその場を去ろうとした。

「ちょ、リヒト!どこ行くんや!。」

「・・・私は天界に一歩も踏み込んではいけない存在。
私が踏み込む場所は地獄。
私は・・・私は・・・。」

カンは私の手首を後ろから掴み、

「何言うとんねん!お前はまだ誰も殺してないやん!。」

「しかし!しかし・・・殺そうとしていた!
私は罪人!。」

大きな間違いを犯していた事に変わりはない。

これも大罪。

(リヒトよ。今理解したのであろう?
なぜ、理解した事で罪を認め、
償おうとしないのです。
悔い改める事は知っているはず。
お前も神の子であることは変わらないのです。)

私は涙がこぼれた。

今までの自分が悔しくて仕方がない。

何を信じて何の言葉を信じていたのか。

(その気持ちをバネにし、
殺めようとしていた命を救うのです。)

私は主に向き直り深く頭を下げた。

(ヒリト!。)

聞きなれた声に私は目を見開いて振り向くとそこには、

「あ・・・アーダム!アーダムじゃないか!。」

「・・・。」

カンは私の手をゆっくりと離し私はアーダムに駆け寄り抱きしめた。

「良かった!本当に良かった!
お前も誰かに連れて来てもらったんだな!。」

アーダムは抱きしめる私の背中に触れ、

(リヒト、我々は大きな間違いを犯していた。)

「あぁ・・・。でも憎しみは何も生まない。
お前を助けて、その後は二人でもう一度修行しなおそう。」

アーダムに顔を向けて希望の笑みを向けたが、

アーダムは眉を下げ笑み、

(いや、私はもう死んでしまった。)

そう言ってアーダムは私を強く抱きしめた。



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