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vol 305:たった一部の人間
「リヒト君!!!!!。」
(っ?!。)
(おい!弥勒!。)
カンの叫び声で小角の声も無視して、
気付けばベッドの肉体に戻りベッドから飛び起きた。
「カン!。」
俺は大樹やカンにナイフを振り回すリヒトに、
目を見開いてとびかかった。
「弥勒?。」
カンの声も聞こえず、
リヒトを倒して首を絞めた。
こんな感情は初めてで、
気がつけば、俺がカンと大樹に押さえられている。
「は、なせ!!!!。」
「弥勒!どないしたんや!。」
「弥勒、もう彼、気を失ってるから!。」
どうやら、リヒトを殴りまくったらしく、
リヒトは気を失って倒れている。
大樹はリヒトの顔を冷えたタオルで冷やして、
カンは、ナイフで傷ついた腕を包帯で巻く。
「弥勒・・・説明してくれや。」
「・・・。」
「なんで、お前戻ってきとんねん。
タイミング良すぎるんちゃう。」
「・・・お前の叫ぶ声が聞こえたからだ。」
カンはマジマジと俺を見る。
その目は自分の嘘をすぐにでも見破りそうな眼差しで、
俺は胸が苦しくなって俯き、
「コイツは・・・、。」
「弥勒、口止めされてるんやろうけど、
お前がそんな苦しむ事ないんちゃうか?
自分の気持ちに従えばえぇ。
そこも神の悪いとこで、
試されとるんや。」
そう。
神は、意地悪な時が多い。
わざと正しいように言って、
実際は信仰心じゃなく、
時と場合で動けるかの判断をさせる。
カンは気付けて、
俺はまだ、その意図に気付けない。
涙が溢れ落ちる。
「っ・・・。」
肩を震わせながら太股のズボンには涙が落ち布の色を変えた。
カンは俺の肩を抱いて頭をクシャクシャと撫でる。
やっぱり、コイツには勝てねーな。
大樹も戻り、俺は全て説明した。
大樹は驚いては傷ついたように顔を顰める。
カンは、普通に話を聞いていた。
「じゃあ・・・リヒト君はカンを殺す為に弟子になりたいとか、。」
「あぁ。」
「そんな・・・闇に狙われるのは理解できるけど、
どうして人間に、。
その人間の裏に闇が絡んでる可能性はないの?。」
「それはない。
リヒトから闇の気配は微塵も感じないだろ。」
「酷すぎる・・・。」
カンは両手をパンと叩き、
「内容は解った!。」
「カン・・・。」
心配そうに名を呼ぶ大樹にカンは、
「お前ら何を思っとるねん。
酷いって、それは一部の人間やないか。
俺らは、そいつらの為にだけ救おうとしてきたんか?
ちゃうやん。
それは一部や。俺らはこの星に住む全てや。」
カンは俺の頭を軽く叩いた。
そうだ。
傷つくも何も、全ての人間がカンの命を狙っているわけでもない。
たった、一部の人間。
「問題は、そんな計画やのに、
今リヒトが俺を殺そうとしたことや。
最近のリヒトの様子はかなりおかしかった。」
「でも、それは全て嘘なんじゃ、。」
「そこは憶測やろ?
憶測は所詮憶測や。真実やない。」
「どうするの、カン。」
「リヒトに聞くしかないやろ。
アイツのたまに見せる表情、
人をただ殺すような奴には見えん。」
カンの考えは間違いを感じない。
俺が口を出す理由も浮かばず、
カンのやる事に間違いはけしてないと、
俺もリヒトの話を聞くことにした。
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