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vol 303:裏切り者
なんなんだ・・・あの男。
我々の計画を?
いや、まさか。
だが、。
「リヒト君、またボーっとして。」
「え?あ、はい!。」
アイツの側に居て、アイツを良く観察すればいい。
アイツがどんな奴かすぐに解る。
誰の為に動き、どんな事をしているか。
お前のその目で見ればいい。
どんな奴か?
この男は神を侮辱し、
楽園への導きを脅かす存在でしかない。
「何か悩んでる事あるんやったら聞くで?。」
「・・・。」
人の弱みにつけこんで、
正義面で惑わそうとしている。
「あの・・・さっきの人。」
「ん?。」
「カンさんのご友人の。」
「あぁ、弥勒の事か?。」
「あの方はどういう方ですか?。」
万が一、害のある者なら先に消さなければ。
「俺の友達って言うか、仲間やなぁ。」
「仲間?。」
「うん。俺が頑張ってるように、アイツも頑張ってる。」
「頑張ってる?何を・・・。」
やはり、あの男も消す必要があるのか。
「それぞれが、それぞれの役目を果たす為にやな。」
「・・・。」
役目。
神を、まるで人間かのように侮辱し、
人々を惑わす事が役目というのか。
あの方が言われた通り、
悪魔だ。
「そうですか。すみません、僕電話してきます。」
私はすぐに連絡をとった。
『はい・・・その男、我々の事に気づいてる感じがします。
私の方の計画は完璧であって、
気付かれる事は今は有り得ません。』
上の判断は、組織の中に裏切り者がいるかもしれないという判断。
私にも仲間がいる。
悪に立ち向かう善人。
共に体力をつけ、聖書を読み、
苦難を分かち合った。
数日が経ち、
その間に組織の中で裏切り者が見つかったと連絡があった。
私の言葉で始まったその出来事。
電話が鳴る。
苦難を共にしてきた私の一番の友から。
『ミカエル!!!!リヒト・・・助けてくれ!!!!!。』
『ガブリエル?どうした?何があった?。』
『私は殺される。』
『えぇ?!何を言ってる。』
『組織内の裏切りは私がやったと・・・。』
『?!。』
『私は・・・私の組織への信仰はゆるぎないもの。
どうして私が疑われ、犯人にされる?。』
『ガブリエル・・・アーダム、それは何かの間違いだ。
なぜ疑われている?。』
『そんなこと私には解らない。
急に隔離された。
殴られ・・・。』
『そ、んな・・・。』
ガブリエルことアーダムは、
私の良き理解者で、彼と共だったからこそ、
私は強く生きて来られた。
誰よりも神を愛し、
聖書を片時も手放した事のない男だ。
そんな彼が裏切り者なわけがない。
私はいったん国に帰る事にした。
「そうなんや。お母さん心配やな。」
「はい。すみません。」
「いや、病気の連絡やもん、すぐに行ったほうがえぇよ。
いつでも日本には来れるんやしな。」
この偽善者ぶった男にこみ上げる怒りを堪え、
私は日本を出た。
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