vol 301:我慢







ずっと寝たままの俺の肉体へ久々に戻る。

体を起こすと怠く、

「いててて、。」

筋肉痛の痛み。

傷だらけの体は手当されていて、

それを見るなり大樹やカンの自分への労わりに、

暖かな気持ちになる。

誰も居ない家。

すぐに大樹に電話をかけた。

「もしもし?大樹か?。」

≪み、弥勒?!え、終わったの?!。≫

「はは、まさか。ちょっと休憩もらってな。
小角と様子見に帰った。
今って、どこ?。」

≪そう。休憩があって良かった。
今、丁度日本に帰って来て今やってるドキュメンタリードラマの、
CGのなんかやってる。≫

「なんかって何。」

≪俺にはさっぱり。プログラマーの人の横で、
カンが確認とか。≫

「そうか。場所教えて。
そんな長居出来ないから顔だけでも見に行く。」

大樹に場所を聞き、

小角と共に二人の元に向かった。

関係者以外入れない為、

大樹が入り口で待っていてくれて、

「弥勒!。」

「よぉ!。」

あの世に居ると、もう何年も会ってないかのようだ。

「これ首に掛けてたら入れるから。
俺、コーヒーでも買ってくるよ。
そのまままっすぐ行ったつきあたりの部屋。」

「あぁ。わかった。」

大樹は後ろの小角に軽く会釈をして、

俺と小角は言われた部屋に向かった。

ドアをノックしてから中に入る。

たくさんの機材の中、

振り向いたカンの満面の笑み。

カンは俺に駆け寄って強く抱きついた。

「・・・よう頑張ってるな!。」

「カン・・・。」

おかしな感覚だ。

なんとも言えない愛しさが溢れだす。

友愛というよりも家族愛か。

俺も強く抱きしめた。

「傷痛むか?。」

「少しな。でも、怠るさのが酷いよ。」

「カンさぁん!。」

カンを呼ぶ明るい声。

「持ってってくれた?。」

体を離し、そっちに顔を向けた。

白人の男。

「小角・・・。」

(・・・。)

小角は俺の声に小さく頷いた。

「ハイ!持って行きました!。」

「ありがとう、リヒト君。」

どっからどう見ても、いい人な感じで、

カンも信頼しているように思えた。

「カン、俺トイレ行きたいんだけど。
場所が解らない。」

「あー、リヒト君、こいつトイレに案内して。」

「ハイ!。」

俺がカンの頭を撫でるとカンは不思議そうな顔をする。

リヒトと言う奴の後ろに、

闇の者は見えない。

人間だけの知恵か。

そう思うと尚更煮えくりかえった。

「ここが、トイレです。」

リヒトの手首を掴み、トイレの中へと連れ来んだ。

(弥勒、。)

わかってる。

でも・・・。

リヒトの胸ぐらを掴んで睨み、

「アイツの側に居て、アイツを良く観察すればいい。
アイツがどんな奴かすぐに解る。」

「なっ!。」

「誰の為に動き、どんな事をしているか。
お前のその目で見ればいい。」

(弥勒、。)

「・・・。」

俺はリヒトを離してトイレを出た。

廊下にある長椅子に腰かけ頭を抱える。

ここでこれ以上手を出さなかった事が奇跡に近い。

神々の意図なんか知るか。

こんなのあんまりだ。

小角は俺の横に座って俺の頭に手を置いた。










                301      次のページ









300話に戻る
戻る

花手毬