|
vol 290:メリー・クリスマス
現代の人間の子どもでも、
親がクリスマスを信じてへん、もしくは、
馬鹿げた事やおもてたり、
金銭面で、祝いたくても、祝うことが出来へんからで、
子どもに夢を与えず、
そして子ども達はプレゼントをもらえなくなってしまう。
そんな生きてる子どもたちも居る中で、
命も無くし、生きている親には姿も見えず、
忘れ去られた子どもたち。
(ねぇ、なんで来たの?。)
(来れるんだ!。)
俺に会いに来た兄妹が近付いてきた。
「おう。来れるねん。
俺の名前はカンや。」
(カン?わたしなつみ。
おにいちゃんは、けんじ。)
妹はまだ、心を閉ざしてへんから、
俺に無邪気な笑顔を向けて返事をする。
「なつみ、よう聞いて?
25日がクリスマスや。
ここにもサンタが来るように俺がサンタに言いに行く。」
(えぇ!ここに、サンタさんが来るの?!。)
「そうや。せやから、ここにいるみんなに、
25日にサンタが来ることを教えてやってほしいねん。」
(・・・なつみ、いこ。
そんな嘘を信じるな。)
けんじは心を閉ざしたまま。
せやけど、本音はそうやない。
信じるだけ、傷つくことを恐れてる。
「けんじ、嘘やない。」
なつみの手を繋いで引っ張り、
俺を睨みつけるけんじに、俺は真顔で見つめ返した。
その後、すぐに肉体へと戻った俺は、
大樹にホームページの一角に、
呼びかけのページを作るように頼んだ。
「カン、でもこれ、。」
「えぇねん。俺、業者に連絡する。」
後、数日でクリスマス。
それまでに準備せな、個人的に出来ることでもない。
ホームページには、こう書かれる。
【 全ての子どもたちにもサンタを。 】
世の中には生きている子どももいれば、
亡くなった子どももいます。
両親に忘れ去られた子どももいます。
そんな亡くなった子どもたちにもプレゼントを。
いらなくなったオモチャ、
木製・ぬいぐるみに限り寄付をお願いします。
それらを焼き、煙と共に天国の子どもたちへ。
送り先は事務所宛てにし、
TVでも取り上げられた。
マスコミや評論家からは、
やっぱり賛否両論で、良い事だと言う者も、
馬鹿げてると言う者。
親を侮辱していると罵る者。
事務所にはクレームの電話すらある。
それでも、俺はやめずにどう思われてもいいと。
すると事務所から電話があり、
どんどん荷物が届いてるって。
その中の手紙には、
捨てられずに困っていたが、
こういった事に使ってもらえるなら、
このオモチャも幸せな事です。
そんな内容が殆どやった。
驚いたのは、各国にも新聞やTVで取り上げられて、
いろいろな国からも荷物が届きだしたこと。
そして24日の夕方、
処理工場にオモチャが運ばれた。
何も言うてへんのに報道陣もカメラを持って、
工場にどこから情報を仕入れたのかしらんけど、
集まりだす。
25日になった時刻に、オモチャは次々と、
炎の中に投げ込まれた。
工場の煙突から舞い上がる煙は空に昇っていき、
「大樹。」
「うん。」
俺と大樹は両手を合わせ煙の行先が、
黄泉の国のあの子どもたちの国に行くようにと、
願いを集中した。
この事を知った阿弥陀如来を含む、
多くの菩薩や如来たちも手伝ってくれて、
煙はその子たちの国へと導かれ、
(おにいちゃん・・・あれ・・・。)
(・・・。)
黄泉の国の親に忘れられた子の国の空に、
虹色の煙が流れてきた。
その煙は子どもたちの差し出した手の中で、
形にかわり。
(わぁ!くまのぬいぐるみ!。)
(車のオモチャだ!。)
(僕のは機関車!。)
けんじの手の中には、木製のロボット。
(おにいちゃん!サンタさん来たんだ!。)
けんじはロボットを見つめ、
空を見上げて笑みをこぼし、
(あぁ・・・本当に来た。)
あの世でも、クリスマスが舞い降りた。
「ちゃんと届いたかな?。」
「なんもないってことは届いて今頃、騒いどるんやろ。
あ、せや。」
家に戻ってコタツで寝ころんでたけど、
大樹へのプレゼントを忘れてた。
部屋に行ってクローゼットに隠してた袋を取り出して、
「これ。メリークリスマス。」
大樹が驚いた顔で受け取った。
「俺に・・・?。」
「はぁ?毎年あげてるやん。」
「そうだけど・・・今年はバタバタしてたから、
てっきり無いと思ってて、。」
袋の中身は大樹が欲しがってた鞄。
「これ・・・。」
「お前この間、ネットで見ててえぇなぁ言うてたやん。」
「いつの間に・・・。」
袋を置くと大樹は自分のカバンから小箱を取り出して、
俺に手渡した。
中を開けると、腕時計が。
「カン、時計が欲しいって言ってた。」
お互い、欲しいという言葉をしっかり、
聞き逃さずに隠れてコソコソしてたわけで。
今年のクリスマスは大樹と二人で過ごすことになり、
大樹に抱き締められ、とりあえず、意味のあるクリスマスになった。

290 
|