vol 281:例え






「カンどう?。」

新しい雑誌のコラムの仕事が舞い込んで来た。

「あーーー!無理・・・アカン・・・最悪、。」

暖かいコーヒーを持って来た大樹は俺が寝そべったのを見て、

笑みをこぼす。

「こんなんどない書けばえぇねん・・・。
人類滅びまっせぇ~。
エルサレムに気持ちは行きましょ~・・・。
って、書け言うんか。」

作家で世に出たくせに、俺は文章が嫌いや。

嫌い言うか、表現力の無さにつくづく嫌気がさす。

「アハハ、そんな極端な。
そうだなぁ・・・コラムだけど、小説っぽくしたらどう?。」

「小説~?。」

「そう。主人公が居て彼が人間の過ちを悔いるみたいな。」

「それやったら、俺が書いてた小説も同じやん。」

「・・・同じでもいいんじゃないかなぁ。
だって、何度も伝えたい事だから。」

コラムの仕事は家でパソコンで作成する。

二人だけの家。

シロの肉体も弥勒の肉体も家にあるけど、

抜けがらでベッドに寝てる。

寝そべる俺の頭を撫でて、

幸せそうに笑む大樹。

「・・・お前が書けばええのに。」

「え?。」

「そんなら早いやん。
大樹やったらスラスラ書けそうやし。」

「俺の文章だと、硬いイメージになっちゃうと思うよ?
カンのは、読みやすい。」

「・・・そうやろか。」

「そうだよ。ほら、頑張って。」







二人の人間がいる。

二人は生きる上で大事な事という本を貰った。

二人は同時に本を読み始めていく。

しかし、一人は先に読み終えてしまった。

一人はまだ読み終えてはいない。

一人は読み終えて、本棚に1冊の本としてしまった。

一人は1個1個読みながら、

理解し、自分もその通りだと感じたので、

本の伝えたい事を学びながら現実に取り入れていった。

一人は今までと同じ日常を過ごす。

一人は今までとは違う物事の捉え方で日常を過ごす。

あの本の感想を聞かれ、

一人は面白かったと答え、

一人はとても勉強になると答え。

一人は、あれはフィクションだし、

一人は、フィクションでも大事な事は、

ノンフィクションであろうと共通だと言った。

この考え方ひとつでも、

人生は大きく変わり、

自分と言う人間を磨く事も、

ただの人生経験を学ぶだけの生き方も出来る。

人は自分次第なのだ。








「そうだね。ヒントやキッカケ、
全てが良く見ると転がってる。
この中では本だけど、
それが映画だったり、マンガだったり、
全てがノンフィクションとは言えないから。」

そして、物事には順序がある。

俺と大樹の役目の1回戦終了。













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