vol 277:納得のいかない事






「ってなわけや。」

カンの説明を受けて内容は把握した。

でも・・・サタンはやたらカンにベッタリだ。

隣に座り時折、カンの肩に頭を凭れさせたり・・・。

「あ、あのさ・・・それは解ったんだけど、
なんでそんなにひっついてんのかなぁ。」

俺は顔を引き攣らせて笑んだ。

サタンは俺を一回は睨むように見てからニッコリほほ笑み、

「それは仕方のない事。
彼女は僕の妹なんだから。ね?カン。」

サタンはカンの手を握って、カンに笑んだ顔を向ける。

カンは・・・。

「え?あぁ、そやな。妹て、ここでは俺男やから。」

否定よりも、肯定で返事をする。

「大樹ぅ~。僕はカンの兄だよ?
よろしくねぇ~。」

殺気立った視線で俺に意味あり気に言うサタンに、

俺は納得出来るはずもない。

これでいいのか!。

と口パクでサタンを指差しながら、

シロと弥勒に言う。

そんな俺に弥勒とシロは苦笑した。

ついさっきまで敵だった相手が、

今から兄で、一緒に力を合わせて・・・、

なんて都合良すぎやしない?。

なんて想いも言えずにいるとシロが口を開いた。

「ほんの数分前まではお前は敵であった。
いきなり兄と言い、共に力を合わせてなど、
だいぶ都合が良すぎぬか。」

俺はシロに拍手をして両手でシロの両手を掴んで握手する。

シロは俺を唖然とした顔で見、

すぐに苦笑した。

「そやけど、神がそう言うて生かしたんやし。
そこに疑問持ってたら前に進まんやん。」

カンがフォローするかのような発言をし、

隣で終始笑みを絶やさないサタン・・・。

屈辱で仕方ない。

「でも、俺達はともかく、
サタンは何をする?
俺達と同じ行動をするのか?。」

弥勒の言葉に更に俺は絶望を感じて両膝を抱えて、

膝に額を乗せた。

「それはないだろうねぇ。
神はノアの頃のように選ばれし者以外は、
天界に送ろうとしている。
結局、今この地球を征服したいと思ってる神の軍隊も、
いいカモでしかない。
地球を壊さない程度に破壊させて、
新たなまた千年紀を迎えさせようとしてる。
僕は、破壊の手伝いってとこだろうねぇ。」

こんなこと、思っちゃいけないんだけど、

俺は共に行動しなくていいことにホッとした。

口が裂けてもこんなことを思いました、

なんて言えやしない。

でも、サタンの言葉に膝に乗せていた額を上げて、

安堵を表情におもいっきり出している俺を見て、

サタンはフッと笑い、

3人は苦笑いでしかない。

「サタンの説明だけ聞くと、超最悪な感じやけども。
でも、俺はそうは思わん。
確かに他の神が地球を狙ってた事はパパも気づいてたはず。
せやけど、出来る事なら食い止めたかったはずや。
闇の者の力だけで食い止めたかったはず。
そうやなかったら、あんな悩まんよ・・・。」

カンの辛そうな顔に堪らず、

俺はカンの隣に行って手を握る。

カンは俺を見て俺の指に指を絡めた。

「・・・そうだよねぇ。」

サタンはその光景を見るなり、

カンを引き寄せ抱き締めた。

俺はカッとなって、

「そ、そうだよねって!
侵略しにくる神に力を貸したのはお前じゃないか!。」

兄だなんて認められない。

「そ、そうだけど!
僕が悪いけど、でも僕だって巧い話が舞い込んで来たら、
今更歯止めなんて効かないよ!。」

バチバチとカンを挟んで俺とサタンの火花が散る。

「大樹・・・僕はカンの兄だよ。
お前って誰に向かって言ってるわけ。
しかも、君たち蛇を創ったのはこの僕なんだけど。」

「へぇ・・・お前のせいで蛇は邪険にされてきたんだけど。
カンの兄って言っても、お前は神使いだろ。
カンは神使いじゃないんだけど。」

「やっぱり、君はカンに相応しくないねぇ。」

「お前に認められたいとも思わないねぇ。」

「口調を真似ないでくれるかい?。」

「全然真似たくもないんだけど?。」

「・・・。」

「・・・。」

「だぁあああああ!
おっまえら、うっさいわ!ボケぇー!。」

カンが立ち上がってキレた。

「だって、カン!
大樹が僕を兄だと認めないんだよ!。」

「カン!どう見たって抱きしめたり、
ベタベタなんか兄のすることじゃないよ!。」

俺とサタンは二人で立ち上がったカンを見上げて、

「納得できない!。」

二人で叫んだ。

「サタン!いきなり兄貴や言われて、
すんなり、ハイそうですか、って納得できるほうがおかしいやろ!
散々悪さしてきて、いきなり蛇を創ったんは俺やなんか、
言われたないに決まってるやろが!。
それに大樹は立派な俺の恋人じゃ!」

「う・・・。」

サタンは、怒鳴り正当な事を言うカンに言葉も出ず、

シュンと肩を落とした。

ざまぁみろ。

「大樹!。」

「え?。」

「どうあれ、神秘的でかっこえぇ蛇が出来たんは、
サタンが創造したからや!
サタンが創造せんかったらお前らは存在せんかったんやぞ!
神使いであれ、パパが創った天界の人なんやから、
俺の兄で間違いないんや!
ベタベタベタベタって、お前ら兄弟も大概やろが!。」

「う・・・。」

結局俺も怒られて、サタンと仲良くシュンと肩を落とした。

「はぁ・・・とにかく、
今までの流れで、また事が起こるまでいるしかないって事で。」

「うむ。もう日が昇った。日本に戻るか。」

呆れ果てた弥勒とシロの言葉にカンも頷いて、

サタンは教会に残り、

4人で教会を出て空港に向かい日本へと飛行機に乗り込んだ。

「カン?まだ怒ってる?。」

隣に座って眠るカンに俺は申し訳ないと声をかける。

「いいや・・・怒ってへん。」

とは言うものの、声色は低い。

「さ、寒くない?!。」

ブランケットを整えてやろうと手を伸ばすとカンが抱きついた。

「・・・カン?。」

「あのまま・・・塵になったら、もう2度とお前に会われへんかった。
お前に触れることすら、
あの世で会うことすら・・・。
俺は・・・大樹と居たい。
大樹と・・・。」

カンの心臓が止まったのが解った時、

悲しみと信じたくない気持ちで何も考えられなかった。

ただただ、名前を呼んでいた。

「もう・・・もう2度と味わいたくないよ。
カンを失う気持ちなんて。
何度嘘だと思ったか。
あのままカンが死んでたら、
俺はお父様を一生怨んで、
あの世での命も絶って自ら塵になっていたと思う。」

「たい・・じゅ・・・。」

「愛してる。カン。
お願いだから、もう俺から離れないで?
塵になるなら、俺と二人でなろう?
全て、カンと同じがいいんだ。
カンと共に居たいんだ。」

この時、初めて人目を気にすることもなく、

カンからキスをした。

そして、日本に着くまで、

二人で寄り添って肉体を眠らせて、

黄泉の国のお気に入りの湖の森で、

二人で抱き合って体を重ね愛し合った。











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