vol 276:黄泉がえり






「これが我々の歴史でもあり、
地球と人間の歴史なのだ。」

パパの話は俺が知らない生まれる前の事ばかりで、

どうやって俺の大好きな黄泉の国が出来たのか、

大日が黄泉の国に存在したキッカケを今知った。

「・・・サタン、お前・・・。」

サタンは虚ろな目をして、

「うん・・・僕は気付いてたよ。
神に使われていた事を。
僕の世界の住人も増えて、
今、闇の世界で反乱を起してる奴らは、
そんな僕に気づいたから。
馬鹿ってそういう所はすぐに察知するんだよね。
でも、そんなことはどうでも良かった。」

サタンがうまく気持ちを言い表せへんのはよう解る。

言い表したくても、言葉が浮かばんのや。

ただ、感情は伝わってくる。

「お前たちを人間界へと戻す。」

「えっ?!。」

俺もサタンも目を見開いてパパを見上げた。

「このまま死なせるわけにはいかん。
まだ、お前たちにはやるべき事があるのだ。」

サタンは口を開く。

「ぼ、僕も?!。」

パパは頷き、

「お前の償いは、もうお前が私の想いに気づき、
それでも、やめなかった時から続いているのだ。
これを全うし、
お前は、主のように、
地獄、闇の国の裁判官。
闇の住人を完全に管理する者に、
全てが終われば地位を与える。
地獄も言わば、私の創った国。
神使いとして、
私の子としてのお前の立派な仕事。
さぁ、戻るがよい!
他の惑星の神が向かっておる。
この地球を守り、
選ばれし者を守るのだ!。」









そして、俺とサタンの魂は肉体へと戻った。

「カン・・・カン!嫌だ・・・カン!。」

「大樹・・・。」

大樹が俺を抱きしめ、

弥勒が大樹の肩を抱いている。

シロはその横で涙を流し。

俺は肺いっぱいに息を吸い込んだ。

「は・・・・ぁ・・・。」

顎を反らし胸を膨らませ息を吸い込む。

そして、吐き出してゆっくり目を開いた。

「か・・・ん・・・?。」

「・・・ただいま。」

俺の声にみんなが驚き、

みんなが泣き、笑みをこぼし、

「お・・・かえ、りっ。」

再び大樹が強く抱き締めた。

俺が大樹の背中をポンポンと叩くと、

シロが俺と大樹ごと抱きしめてくる。

その上から弥勒も。

「あっは!お前ら、苦しいっちゅーねん!。」

笑って明るい声をかけるんやけど、

3人は号泣中。

ゆっくりとみんなが俺の体を解放して、

「死ねるわけないやん。なぁ!サタン!。」

声を張り上げてサタンに声をかけた。

3人はサタンに目を向ける。

サタンはゆっくり起き上がり、

「あぁ・・・参るよねぇ。」

フッと笑みを浮かべてサタンが俺達の方に顔を向けた。

俺は立ち上がると、サタンの横に行き、

座っているサタンに手を差し出し、

「兄ちゃん・・・。」

そう、結論として主の前に創られたサタンは、

俺の兄になる。

パパは神使いとして創り、

俺や主は我が子として創ったにせよ、

俺からすれば、天界で神の手で生まれた事に変わりはなく、

立派な血の繋がった兄妹なんや。

サタンは俺の呼び名に驚きを見せるが、

とても優しい笑みを見せて俺の手を取り、

「僕の妹・・・。」

「おぅ。」

サタンの中に初めて家族という感情が生まれた。

でも3人はというと。

「ちょ!え・・・なに?!。」

「そそそそ、そうだよ!なんでサタンまで生き返ってんだ!。」

「兄ちゃん、妹とはどういうことだ!。」

納得の出来ない状況にただただ、俺とサタンを指差して、

ひたすら困惑を見せている。

「あー・・・説明すんの?。」

説明にめんどくさい俺にサタンは大樹を見て、

どうも兄として妹の恋人感覚が芽生えたのか、

わざとらしく妖艶に笑んでは俺を抱きしめ、

「こういう関係でいいんじゃない?。」

大樹はそれを見て、大きく誤解し、

兄妹の言葉など、どこへ行ったか・・・、

青ざめ、片手ではなく両手で指差し、

「説明しろぉぉぉおおおお!!!!!!。」

と、雄たけびを上げたのである。

俺とサタンが死んでいた時間は、

人間界で言うと、ほんの10分程度やった。










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