vol 275:黄泉の国の始まり






そして主は人の子として女の腹に降りた。

それをサタンが知った時、

自分にとって都合の良い事だと思った。

天使達の中でも、やはり神の愛に不満を持ちだす者も後が絶えず、

その者がサタンへ情報を漏らしていたのだ。

そして、主が死を持ってすべての生き物の死後に、

魂という死後の世界を創ると言う事。

それは、自分の世界の住人、

すなわち、奴隷を創りだすと言うことに繋がった。

だが、サタンは腑に落ちない思いもあった。

これ程、自分も人間を唆し続けているというのに、

神は自分に何もしないという事。

普通なら、用無しとみられ塵にされてもおかしくはない。

神が愛する人間を、尽く逆らう手伝いをしているのだから。

逆らう

手伝い?

そこで、サタンは気付く。

もしかして、

自分は神の人類への実験にうまく利用されているのではないかと。

なぜか、そこに腹立たしく思わなかった。

それは、まだ自分を必要とされているという事に繋がる。

主が人間界に降り立ち、

神は寂しさを感じた。

そこで、最後の自分の子として、

美の女神の力を借り、

女の子を創った。

そう、神が自分や人間への目的をサタンが知った時に、

天の子が生まれたのだ。

主が行動をする間、

サタンは主の弟子をも唆す。

主の役目は神は今まで以上に見守った。

弟子が裏切ること、

主が悩んだ時は知恵を授けた。

主は人間として生まれる事を望んだため、

全ての欲と恐怖を感じ、

それと戦い、

サタンが誘惑や恐怖を与えると、

それに打ち勝つものの、

神へと涙を流した。

そして、十字架に架けられ、

死を迎え、

主の体から流れた血は、土を伝い、

始まりの人の罪を無とした。

主が天界に戻り、父、神と再開し、

約束通り、死者に魂が生まれた。

神に力を貸すと言っていた大日如来が現れ、

主に知恵を授ける。

「人類はいろいろな種族に分かれた。
それぞれの国から、死後の世界を黄泉の国とし、
心から神と同じ心を持つ者、
信念を持ち、ぶれず、自ら悟りを開き、
神髄を見出した者を、
その国を治め、
死者こそ、生前の不和を見出す為に、
人間界を救う為に育てるのです。
私も力になると約束をした。
私の信頼のおける者と、
私も共に黄泉の国で死者の教えにくわわる事にします。」

主は大日如来に言う。

「どうか、貴女様が黄泉の国をお治め、
この先に訪れるであろう時に出来るだけ、
向かうことのないようにする為にも、
死者たちを教育し、
人々を守れる者たちを。」

主の頼みに大日如来は頷いた。

そして大日如来は自分のやり方で、

黄泉の国にそれぞれの専門分野の国を創り、

揺るぎない心の 阿閦如来 (あしゅくにょらい)、

諸病諸苦や貧困を除いて延命を導く薬師如来、

無明の現世をあまねく照らす阿弥陀如来、

この者たちを黄泉の国の経世に位置づかせた。

それが黄泉の国の始まりなのである。




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