vol 273:神を信じる者






しかし、人を唆すなどサタンに簡単な事。

善悪の知識を身につけた人間の弱点は、

欲が大半だと知ったからだ。

少し耳元で囁けば、

簡単に人間はその言葉に支配され、

逆に神の言葉を守る者が珍しい存在になっていった。

人が増え始め、それと同時に、

人の悪も増し、常に欲を持つ人間を見て、

神は地上に人を創った事を後悔した。

他の星の様に強い者が征服する生き物になってしまう。

この美しい地球が汚れてしまう。

神は心を痛め悩み決断をした。

「わたしは人を創造したが、
これを地上からぬぐい去ろう。
人だけでなく、家畜も這う者も、
空の鳥も。
わたしはこれらを創り、
導けなかったことを後悔する。」

しかし、すべての人が欲にまみれたわけではなかった。

その世代の中でノアは神にとても従う無垢な男である。

サタンが囁こうが、

ノアは一切それに心を奪われることはなかった。

そんなノアまでも、命を奪う必要はあるのか。

神はノアの命まで奪うことが出来なかった。

そして、神はノアに言われる。

「すべての肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。
彼らのゆえに不法が地に満ちている。
見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。
あなたはゴルフェの木の箱舟を造りなさい。
箱舟にはいくつもの小部屋を造り、
内側にも外側にもタールを塗りなさい。」

神は箱舟の長さや設計など全ての指示をし、

「わたしは地上に洪水をもたらし、
命の霊をもつ全ての肉なるものを天の下から滅ぼす。
地上の全てのものが息絶える。
わたしは貴方と契約を立てる。
貴方は妻子や嫁たちと箱舟に入りなさい。
またすべての命あるもの、
すべて肉なるものから二つずつ箱舟に連れて入り、
貴方と共に生き延びるようにしなさい。
それらは雄と雌でなければならない。
それぞれの鳥、
それぞれの家畜、
それぞれの地を這うもの、
二つずつ貴方のところへ来て生き延びるようにしなさい。
更に、食べられる物はすべて貴方のところに集め、
貴方と彼らの食糧にするのです。」

ノアは全て神が命じられたとおりに果たした。

地を這うもの。

そう、神はサタンが創った蛇も絶やす事が出来なかった。

それを見たサタンは自分の創ったものはもうどうでもよく、

人の中にも、贔屓づけるのかと神への憎しみが溢れ出た。

どうしても、自分と人間を比較してしまうのだ。

神はノアに言われた。

「さぁ、貴方の家畜は皆、箱舟に入りなさい。
この世代の中で貴方だけはわたしに従う人だと、わたしは認めている。
あなたは清い動物をすべて七つがいずつ取り、
また、清くない動物すべてを一つがいずつ取りなさい。
空の鳥も七つがいずつ取りなさい。
全地の面に子孫が生き続けるように。
七日の後、わたしは四十日四十夜、
地上に雨を降らせわたしが創った全ての生き物を、
地の面からぬぐい去ることにした。」

ノアは何も批判せず、すべて神が命じられたとおりにした。

神の考えに迷う必要もないからだ。

洪水が地上に起こり、

水が地の上にみなぎった。

ノアは命のとおりに、妻子や嫁たちと共に箱舟に入り、

清い動物も清くない動物も、

鳥も地を這うものもすべて、

二つずつ箱舟のノアのもとに来た。

それは神がノアに命じられたとおりに雄と雌であった。

神は皆が箱舟に入るとその戸を閉ざされた。








                273      次のページ









272話に戻る
戻る

花手毬