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vol 268:塵
真白な何もない場所。
ここはどこや。
目を覚ますと全裸で横たわってる。
隣にはサタンが同じように横たわってる。
俺は体を起こしてサタンに触れた。
(・・・っ。)
ゆっくり瞼を開けるサタンを俺は見つめた。
サタンは起き上がると自分の両手や体を見ては、
(此処は・・・どこ。)
(さぁ・・・どこやろ。)
塵になるのを覚悟していたのに、
どうやら二人とも魂は無事らしい。
(あーあ。)
(何?。)
(いやさぁ・・・アタシは塵になる事を覚悟して、
命使ったのに、これ塵になってないやん。)
(何が起こった?。)
(覚えてないん?。)
サタンは油断してた。
まさか俺が命まで使ってなんか思ってなかったからや。
(大事な人から怨まれる覚悟で、
命使ったのに・・・。)
ガッカリや。
サタンは顔を歪めてたけど、
急に笑い出して寝ころんで、
(アハハハハ!ホント、君は馬鹿だねぇ。)
そんなサタンに俺も笑って寝ころんで、
(ハハ・・・ホンマや。)
色も何もない場所やからか。
それとも、もう終わったからやろか。
気張らんと今の状態を見れる。
これが塵なんやろか。
何もない場所で永遠と過ごす。
でも、何もない場所で二人て・・・。
腑に落ちへん。
(はぁ・・・なんかスッキリした。)
(え?。)
(僕は・・・無を望んでたから。
自分のすべてを無にしたかった。
まぁ、まさか君も一緒にいるなんて思ってもみなかったけど。)
サタンの表情は、
あの悲しさも憎悪も感じられないくらい穏やかで、
初めて自分の想いを話す。
(地獄も人間も天使も神も、うんざりで。
それが存在するならば、
存在しない場所に行きたかったし、
神使いや悪魔の自分をすべて無にしたかった。
大罪を犯せば、自然と無になれるって。)
サタンは真白な天井があるのか無いのか、
解らない真上を見つめて眉を下げて笑んだ。
(カン・・・すまないね。
君まで巻き込んで無の場所に落してしまった。)
そのサタンの言葉は、
心から俺に申し訳ない気持ちで言ってるんが、
しみじみ伝わってくる。
そう・・・心からの懺悔。
(さーてと!この何もないとこで、
二人で何していこかなぁ~。)
(カン・・・なぜ僕を憎まない?。)
(はぁー?アホか。
憎むくらいやったら、一緒に死のうなんか思わへんし。
それに、ここで後悔したり憎んだりしたら、
大樹を裏切ったことになるやん。
自分の意味ある行いには堂々とおる。)
(・・・やっぱり君は最高だ。
僕が居た頃に君も居てたら、
僕にも支えが出来ていただろうね。)
あのサタンから、以外な言葉ばかり出てくる。
でも、それは偽りではない本心。
この状況で嘘や偽りを言っても何の得にもならないから。
(ずっと自分の創られた意味を憎んでた。
なんで、僕を創ったのって。
父も後悔するくらいならどうしてって・・・。)
サタンが呟いた瞬間、
地面が大きく波打ち、
真白な地面は肌の色になってボコボコしだす。
(うわ!なんや!。)
上を見上げると、そこには大きな天界の神の顔があった。
(パパ?。)
(?!。)
俺もサタンも目を見開いて、ただただ驚くばかりで。
後ろを振り返ると、
大きな太い柱が10本。
そう、ここは神の手のひらの中やった。
(ルシファーよ・・・我が愛しき子。
お前を創って後悔など一度もしたことはない。)
この現状に俺もサタンも全くついていけず、
ただただ、唖然と天界の神、父の顔を見つめた。
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