vol 265:聖地への道






着いたのはもう夜に近かった。

「今から行くわけにはいかないし、
行っても教会とかに入れないんじゃない?。」

「そうだな。明日朝一で行くか。
ホテル探そう。」

大樹と弥勒の会話にシロが声をあげる。

「人がたくさん居れば、それだけ被害が増えぬか。」

俺たちは観光に来たわけでもなんでもない。

サタンを阻止しに来た。

そうなれば、サタンもどんな行動にでるか解らない。

「教会に入れんかっても、そこは問題やないし、
シロの言うとおりや。
どうやって阻止したらえぇんかは解らんけど、
覚悟は出来とる。」

俺たちはゴルゴダの丘に向かうことにした。

主が十字架を背負って歩いた道。

観光客は上から下ってくる。

俺達4人だけが上がる。










『今日もありがとうございました。イエス様。』

『いいえ。皆さんが心から救われていれば良いのですが。』

神父に眉を下げて笑みを向ける。

当然、作った笑み。

僕も人間になれて来て、苦痛には思わなくなった。

それでも、醜い下等な生き物という概念は拭えない。

『イエス様、宿までご案内致します。』

『あの、その事なんですが、
ご迷惑でなければ、今日ここに一晩泊りたいのです。』

『ここに・・・ですか?。』

『はい。寝床などは要りません。
この場所で、祈りを捧げたいのです。
いけませんか?。』

普通の神父などでは、とうてい許可されないだろう。

『わかりました。
イエス様のお心のままに・・・。』

『ご無理を言って申し訳ない。』

『祈りであれば、是非わたしも参加を、。』

邪魔。

『いえ、一人でおこなわさせてください。』

『わかりました。それではここの鍵をお渡ししておきます。
必ずドアに鍵をお願いします。』

神父は俺の手の甲に口づけて出て行った。

神の子に口づけられた自分の手の甲を見る。

そんな神父でも所詮は人。

欲をただ抑えているだけに過ぎない。

静まりかえったこの場所。

天使たちが以前までここにたくさん居たが、

皆、闇の者を戻すために出はからっていて居ない。

「何が聖地だ。」

普通の悪魔には此処の場所そのものが苦痛で仕方なく、

居てられなくなる場所だけど、

僕にとっては何もない。

痛くも痒くも。

そして、ここに4人の神が今来ようとしている。

「さぁ、おいでカン。
僕が気づいてることなんて、君にはお見通しだろう。」









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