vol 261:また決意






墓参りは明日の朝に行くことに。

「ほんなら、俺、大樹の家行ってくるわ。」

「いつもお世話になってるから、
先生にこれ持ってって。」

オカンからビールのケースを受け取って、

自転車のかごに乗せて大樹の家まで。

よう、自転車で通ったっけ。

懐かしい。

「あら、カンちゃん。」

「千代さん、ご無沙汰。」

外に水撒きをしている千代さん。

「立派になっちゃって。
いつもTVかならずチェックしてお父さんと見てるのよ?。」

「マジで?!恥ずかしいやん。
あぁ、これオカンから。」

「まぁ、お母様、元気?。」

「元気元気。」

ビールのケースを肩に担いで中に入ると、

ダイニングテーブルの椅子にシロが座って、

千代さんの作ったお菓子を食ってる。

俺も、昔は、。

「なんか、カン思い出すよ。」

後ろから大樹が笑んで呟いた。

「せやな・・・。せやけど、
あんな無表情やなかったで?俺。」

「あははは。確かに。」

机にケースを置いて、俺もシロの皿のクッキーを1枚掴んだ。

「・・・行儀の悪い。」

「うるさいわ。お前食ってばっかりやな。」

「煩い。」

「二人とも、ここで喧嘩はやめてよ。」

大樹に止められてシロと俺は苦笑を浮かべた。

俺はそのまま縁側に向かい、

「はなこぉ~~!。」

花子を抱きしめる。

顔を舐める花子も、ますます年寄りで。

「ぶは!口くさいわ!。」

「わん!。」

「でも、かわいいから許すぅ~。」

花子の頭を撫で、

石の上に腰かけた。

俺は花子を抱きあげて膝に乗せる。

「なぁ、花子。
お前は生きることが苦痛か?
お前にこの世界はどう見えてる?
救えるやろうか。」

「くぅ~ん?。」

「わしは、この世界は素晴らしいと思う。」

「マツキチ・・・。」

勝手口から大きな袋を持ってマツキチが帰って来た。

「なんでそう思う?。」

「赤ん坊、子供、大人、年寄り。
みな体験し、多くのことを見て聞いて学んだ。
それでも学びきれないくらい、
人と自然と地球は不思議なことばかりだ。
水、空気、土、葉っぱ、虫、
すべてに意味があり、地球にとても大事な役割をしている。
小さな生き物ほど、
地球にとって、素晴らしい役目をしているものだ。
目に見えないものほど、
我々にとってとても大事だったりなぁ。」

俺はその言葉で、神々や霊たちを思い出した。

笑んで空を見上げ、マツキチに言う、

「その見ない者に・・・感謝せなな。」

マツキチも笑んで空を見上げた。

この青い空に白い雲。

この景色を壊してはいけない。

「救うんだカン。」

「・・・うん。」

マツキチの小さな声に、

俺は、また決意させられた。



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