アスペルガー症候群(1)

早期発見・早期指導ほど効果がある

・東京大学医学部付属病院小児科医長であり,長年小児科医として発達障害児の医療に携わってこられた榊原洋一氏は「アスペルガー症候群と学習障害」(2002/8/20第1刷)(講談社・α新書)のなかで次のように書かれています。

 <Sちゃん>

 ○三ヶ月検診でフロッピィインファント(体がぐにゃぐにゃと柔らかい乳幼児)と診断。

 ○地元の大学病院では脳性麻痺の可能性があるといわれ。

 ○榊原氏の所に来て、1歳、2歳、3歳と発育を観察。

 ○4歳で精神科を受診し受容性言語障害(言語発達の障害)と診断。知能検査
  ではIQ114と正常値以上の結果が出る。

 ○榊原氏の所で、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断し、投薬治療をしたが
  効果なし。

 ○6歳8ヶ月:アスペルガー症候群にやっとたどり着く。・・・

と書かれている。

 アスペルガー症候群は1944年にオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガー(後、ウィーン大学教授)が自閉症として報告したが大きな反響が得られないまま経過し、1981年にイギリスの自閉症研究者ローナ・ウィングによって自閉症に類似した一つの症候群を「アスペルガー症候群」と命名され、この論文が大きな反響を呼び注目されるようになった。このようにごく最近までよく知られていなかった障害であり、診断基準(アメリカ医学界のDSM-4、スウェーデンのギルバークの診断基準)が最近やっと作られたがまだ確定していないようで、今後も改定されていく可能性があります。

 アスペルガー症候群と高機能自閉症を区別しない方がよいという意見もあり、文部科学省はアスペルガー症候群についての指導指針をだしていない。一方、区別した方が分かりやすいという見解の研究者も多いようだ。

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