表紙 このウェブページについて 連絡板 ブログ(別窓表示) 完成品 調理実演 キット雑感 リンク 自己紹介
調理実演過去ログ:ホワイトエンサイン1/350巡洋戦艦フッドを作る
その8:シェルター甲板について(3)
1998/11/03

はじめに

 現在の製作予定は艦橋基部→シェルター甲板→艦首艦尾甲板の順番で、それが終わったら船体の塗装を行って艦橋上部と各種装備品の製作に入るつもりです。使用する素材と製作方法は1/700の軍艦や自作の客船や1/150の帆船等で一通りやったことの応用に過ぎないので張り線をは除いては特に問題になることはないだろうと思うのですが、船体塗装が終わるまでは外見上の進歩はあまり見られないかもしれません。この辺は気長に見ていただけたらと思います。

艦橋基部について

 シェルター甲板を貼ったあと、艦橋基部の製作に入ります。この部分を作らないとシェルター甲板の塗装や艦首上甲板の製作ができないため、先に済ませておきます。
 艦橋基部を削り落とした理由はその4:で述べた通りですが、その後更に検討した結果、信号甲板の形状が一部異なること、信号甲板の後端両側にあったとされるロッカー(Signal Locer)がないこと、ボイラールームへの吸気口のモールドが皆無である事、対潜見張所(Submarine lookouts)の表現が全くないこと、司令塔基部のモールドが若干異なる事など、キットの解釈には問題点が少なくありません。それらを一つずつクリアしてゆきます。

 製作はまず司令塔と艦橋基部側面を建て、信号甲板下の船室を見える位置まで作り、信号甲板を貼るという手順でいきました。司令塔は当初はキットのものを使う予定でしたが、一部モールドが実艦と異なることとスリットの表現の関係で結局自作する事にしました。スリットは図面から大体の位置を求めて0.3mmプラ板を切り抜き、若干小さ目に作った司令塔の外側に巻き、上側に伸ばしランナーを付けて仕上げています(バランスが非常に取り辛く何度か失敗しました。こういう部分にこそエッチングパーツが欲しかった所
です)。司令塔は平面形が若干先細り気味になってしまいました。
 司令塔を甲板に接着し、残りの艦橋基部を図面を元にプラ板を切って作ってゆきます。艦橋基部側面に2ヶ所ある通風口のグリルは実艦では外板に切れ目が入っている形ですが、製作が極端に難しくなるのでキットのエッチングパーツを貼ってお茶をにごしています。実際には水密戸の上にも小さいものがありますが、キットに部品はなく、これに関しては省略しています。

 信号甲板側面のブルワークは前半は艦橋基部側面と一体とし、そこから張り出している部分を信号甲板に付ける形で製作しています。後部に付いているロッカーはふたのない学校の下駄箱のような形だったそうですが、そのまま再現すると製作が極端に難しくなるので、黒の上からハセガワトライパーツのモデリングメッシュ正方形L(PA-42)を貼ってお茶をにごしています。これは表現的には今一つで、メッシュの目が細かすぎた事もあってロッカーというより通風口のような感じになってしまいました。
 信号甲板のブルワークには内側にも外側にもモールドがあります。これは外側は伸ばしランナーを貼って表現しましたが、内側に関してはモールドがうるさくなり過ぎる印象を持ったので省略しています。

 問題が残ったのは 0.5インチ4連装機銃座の下側の形状で、オープンになっていて中心部に支柱があるという私の解釈は「推測」です。手持ちの資料にはこの部分を明確に示したものはありません。キットは完全にクローズされているものとして処理されています。しかし、
「Monografie Morskie HOOD」(P24上、P29下)
 この写真を見る限りでは少なくとも艦尾側はオープンになっていたものと考えられますし、「Anatomy....HOOD」の図面でもこの部分に機銃座以外の説明がない事を考えると、この部分はオープンで強度上支柱が下にある形式が最も自然と考えて製作しましたが、他に根拠はありません。間違っても信じないで下さい(^_^;)。またこの部分は対潜見張所まで隔壁は無かったと思うのですが、製作上の都合で機銃台の先端の位置に隔壁を付けています。

 以上で艦橋の製作は一旦中断します。信号甲板中央部の船室とボイラールームへの吸気口に関しては、その上の司令塔甲板との関係でこの段階では手をつけない事とします。


信号甲板にある5つの長方形の穴は
いずれも下に降りるラッタルの開口部です。
キットで足りないラッタルはKGV用のエッチングパーツを用い、
艦橋上部を製作する際に取り付ける予定です。

シェルター甲板について(続々)

 シェルター甲板はまず舷側のブルワークを順番に取り付け、鉄甲板を塗装し、木甲板を貼るという手順でいきました。鉄甲板はその6:で述べたタミヤカラーのフィールドブルー+ダークシーグレイの混合色で、粒子を荒れた感じでスプレーを吹いています。木甲板はその5:で述べたSTウッドの細切りで、木工ボンドで貼った上からアクリル系のフラットクリアを吹いて仕上げています。ブルワークの形状と取り付け方は、
「Warship Profile」(P164,165左下,166,167)
 これらの写真と Monografie Morskie HOODの図面に依ります。基本的にはプラ板+伸ばしランナーによるモールドですが、対空ロケット砲座4基の半円形のブルワークはキットの甲板から切り取って移設しています。

 手持ちの図面のどれにも、シェルター甲板には前部のポンポン砲の直前と鉄甲板と木甲板の境目の2ヶ所に、甲板と垂直に2本の平行線のモールドが描かれていますが、これが何を意味するのかわかりません。この甲板が約100mほどあることから当初は伸縮継手かと考えたのですが、建造中の写真を見る限り甲板の側面には切れ目が見当たりません。2枚の低い板が平行に立っているように見えるのでその通り処理していますが、疑問に思う所です。

 シェルター甲板後端部の船室側面にはそっくりエッチングパーツが用意されており、ここはキットの「売り」の一つになっています。良く目立つ所なのでこの考え方は非常に良いと思うのですが、船体との合いはあまり良くありません。加えて(これは他のエッチングパーツでも同様ですが)モールドが繊細に過ぎる余り、塗装をしたら塗料で埋まってメリハリが無くなってしまいます。パーツ自体は船体の幅より若干小さめに切って後はパテ埋めで処理し、塗装は凸部分に若干明るいグレーを塗っています。

シェルター甲板後端部の船室側面のモールド。
良くわかる写真が撮れなかったのですが、
それだけメリハリがないという事です。
 

艦載艇について(その1)

 キットには9種類15隻分の艦載艇が用意されています。構成には間違いはないようですが、モールドには検討の余地がかなりあります。その見通しも含めて、まず最も小さい16フィートディンギー(ボート)とモーターボートを作ってみる事にしました。

 キットの部品は田宮のKGVの14フィートヨット(D25)と16フィート小型モーターボート(F4)の表現に全く同一で、架台以外にエッチングパーツは付きません。これらのディテールがわかる写真は手元の資料には無かったのですが、Anatomy....HOODの記述によれば双方とも構造は同一とあります。しかしキットの部品の船体は全く異なる印象を受けるので、田宮のKGVの14フィートヨット2隻分の船体を延長した上で伸ばしランナーでキールを貼り、ディンギーは腰掛と船尾の底に四角柄のメッシュを貼り、モーターボートは上部構造をそれらしく作って仕上げています。ボートの内側を白とする塗装は手持ちの資料のどの塗装図や見た限りの海外の作例にも無かったものですが、
「Warship Profile」(P167)
 この艦上の写真で後部艦橋両側に付く27フィート捕鯨艇の内側が白で塗られているのがはっきりと判ります。また1930年代後半以降のフッドの写真を見る限り、艦載艇の下側の色調が変わって見えるものは手元の資料にはありませんでした。よって塗装は内側白・外舷は軍艦色一色としています。

 キットでは架台と双方の艦載艇を甲板に接着するよう指示されていますが、左舷側のディンギーは
「Warship Profile」(P166)
 この艦上の写真で後部煙突基部前の構造物の側面に取り付けられている事がはっきりと判ります。問題は右舷側のモーターボートが同様な形で取り付けられていたか否かですが、資料の図面では全てそのように描かれています。しかしそれを明確に裏付ける写真がありません。一応、
「Warship Profile」(P165左下)
 ここに司令塔甲板の後端付近から右舷後部を撮った写真があり、該当する部分に張り出しらしいものも見えるのですが、それが架台なのかどうかはっきりとわかりません。ただ、このボートが装備された1940年の改装で船室の構造が変わらなかったとすれば、甲板上に置くと出入りが不可能になります。以上の理由から、右舷側のモーターボートも同様に構造物の側面に付ける形を取りました。製作ではキットの架台の下に真鍮線を接着しそれを構造物の側面に挿す形で処理しています。

 艦載艇と架台を固定するロープ類は「省略」しています。他の艦載艇もこのモールドを基準にして作る予定です。

後部煙突基部の構造物の前面にあるリールは
ピットロード1/700WWII日本海軍艦船装備セット[V]の
ホーサーリール(大)+3連装機銃の台座
ホーサーリール(小)+2連装機銃の台座
これらをそれぞれ組み合わせたものです。

 
 以降、次の項にて。