表紙 このウェブページについて 連絡板 ブログ(別窓表示) 完成品 調理実演 キット雑感 リンク 自己紹介
調理実演過去ログ:ホワイトエンサイン1/350巡洋戦艦フッドを作る
その6:シェルター甲板について(1)
1998/05/25

はじめに

 前回、船首楼甲板中央部のモールドで「5インチ副砲が撤去された際に揚弾筒がどうなったかわからない」と書きました。その後「ANATOMY....HOOD 」の記述を再度読み返した所、改装要項の部分で「5インチ副砲は射撃指揮装置や揚弾筒と共に撤去された」と書かれていました。

 製作ペースはまたがっくりと落ちてしまいました。時折でものぞいていただける方々には申し訳ないとしか言葉がありません。ただ学生時代のような体力にモノを言わせた模型作りはもうできませんし、まとまった時間もなかなか取れません。それにこれだけのキットを相手にするとなると、気持ちに無理強いさせると精神的に参ってしまいます。時々の体調に合わせてペースを落としたり上げたりしながら完成させようと考えております。

塗装について(補足)

 今回使用する塗料は以下の通りです。

船体色…グンゼ337番 グレイッシュブルー FS35237
鉄甲板、構造物甲板など…
タミヤカラーXF-50フィールドブルー : XF-54ダークシーグレイ 3:1混合色
艦底色…グンゼ29番 艦底色(予定)
その他、タミヤカラー/グンゼ 各色
(木甲板はSTウッド使用のため、塗装しない)

 第二次大戦の英国海軍艦艇に用いられた色は迷彩も含めてそのものズバリの塗料はないらしく、模型愛好家の中でも意見が分かれているようで、田宮のプリンス・オブ・ウェールズの説明書や海外の模型関係サイトの調合例や作例をいろいろ探してみましたが、明確な判断はできませんでした。

 船体色はトドの夢氏のドレッドノートの作例からグンゼの306番(グレーFS36270)を使う事も考えたのですが、模型の大きさが全く違うことと、海外の模型関係サイトの作例を見て若干青味を加えた方が模型的により映えるような印象を受けたので、306番より若干暗めで青味の強いグンゼの337番を使うことにしました。
 構造物甲板はリノリウムでレッドブラウンを塗るつもりだ、と以前に書きましたが、これは結局キットの塗装指示にあるハンブロールのマットシーグレイから若干青味を付けた暗い色でタミヤカラーのフィールドブルーとダークシーグレイを3:1の割合で混合した色を用いることにしました。(後部艦橋の途中経過でグンゼのRMLダークグレー74を使った写真を載せた事がありましたが、これは再度塗装し直しています)

後部艦橋について

 キットの後部艦橋は探照灯台ごと一体で抜いているものですが、資料を突き合わせて検討した結果、モールドが甘く形の捉え方も今二つだったので、図面を描いて丸ごと自作しました。窓ガラスは当初の予定通り再現、ハッチやラッタルの類はゴールドメダル社のKGV用のエッチングパーツから流用しています。以降のモールドはこれを基準に詰めてゆきますが、全体的に誇張が過ぎた感じで少ししんどくなるかなぁ、というのが率直な見通しです。

 モールドの根拠は主に「ANATOMY....HOOD」の図面と写真、「Monografie Morskie HOOD」の立体図、及び「Warship Profile」の写真に依ります。後部艦橋を明確に捉えた写真は手元に無く、左舷側の艦橋中段の甲板が後方で下側に落ち込んでいる構造は大半の資料の側面図には明記されていないのですが、「ANATOMY...HOOD」の写真で
 1937年6月撮影のもの(No.18 P32-33)
 1939年8月撮影のもの(No.19 P32)
 最後の出撃直前の写真(No.34 P34 これはシルエット状で判断が難しい)
で、少なくとも左舷側はそのような構造になっていた事が判ります。

 右舷側は更に写真が無く、一旦左舷側と同じ形として製作したのですが、世界の艦船増刊「イギリス戦艦史」1939年6月撮影の写真(P125)を見る限り甲板は落ち込んでいないのがはっきり判ります。しかし、キットのモールドのようにここが完全にクローズされていたとすると、「ANATOMY....HOOD」の図面で左右対称のように見える断面図に疑問が出てきます(側面図にも疑問がありますが)。結局、甲板の構造そのものは左舷側と同じとして、落ち込んでいる部分に側面のみ板を貼ったものとして処理していますが、自信はありません。

 このあと更に2種類の射撃指揮装置と探照灯が付きますが、これはシェルター甲板を付けた後に甲板上の装備品と一緒に付ける事にします。塗装は上で述べた通りグンゼの337番とタミヤカラーのフィールドブルー+ダークシーグレイの混合色を用いています。写真では全くわかりませんが、甲板は船体の塗装との区別を付ける意味でエアブラシを「わざと粒子が荒れた感じ」で吹いています。


後部艦橋背面の両脇にあるのは水タンク、
中央はエンジンルームへの吸気口です。

煙突基部について

 シェルター甲板の製作の前に、2つの煙突基部も自作することにしました。無いに等しいキットの部品のモールドに加え、二番煙突基部のアウトラインが若干崩れているためにそっくり作り直す必要が出たためです。この部分に関しては最終時の図面や写真だけでは今ひとつ形がつかめなかったため、まず竣工時の図面と写真から大体の形をつかみ、その後の改装で付け加えられたり撤去された装備品を加えて製作用の図面を描き、それから工作に入るという手順でいきました。

 煙突基部の両側にあるボイラールームの吸気口は「ANATOMY....HOOD」の竣工時の図面や「Monografie Morskie HOOD」付属の上面図を見る限り、両舷側方向には同じ位置にあったとされていますが、キットの部品では第二煙突基部の吸気口が両舷共に1mmほど舷側方向に出た形になっています。その修正に加え第二煙突背面の構造について長い間考え込む羽目になりました。

 第二煙突背面の構造物から両舷側に伸びている探照灯台は1939年の改装で装備されたもので、キットや図面は構造物に密接して探照灯台が伸びている形になっています。ところが1941年撮影とある艦上での軍楽隊演奏中の写真
 「Warship Profile」(P160上段)
 「British Battleships of World War II」(P347上段)
これを見る限り、少なくとも人間が1人通れるほどの間隔が開いているのがはっきりと判ります。この写真から探照灯台も構造物との間に2mmほど間隔を開けましたが、台に上がるためのラッタルは手持ちの資料を探す限りどこにも見当たりません。唯一、第一煙突の前方からボートデッキを撮った写真
 「Warship Profile」(P166)
に、左舷側の支柱付近にラッタルが見えるのですが、ちょうど反対側に当たる上述の軍楽隊演奏中の写真にはそれらしいものは全く見えません。とりあえずラッタルは完成後でも付けられるので保留という事にしました(第二煙突背面の構造物も今ひとつ平面図から読みとれない部分がありますが)。また「Monografie Morskie HOOD」の図面を見るまで気が付かなかったのですが、第二煙突の基部は第一煙突のそれより若干(1/350で約1mm程度)高く、その分第二煙突の高さも高くなっているようです。

 吸気口のフェンスはキットにもエッチングパーツとして供給されていますが、今ひとつの感じでそのまま切り取って使う気になれなかったので、吸気口を自作した後にハセガワトライパーツのモデリングメッシュ41(菱形L PA-41 0.89*0.53)を裏側から貼って仕上げています。 第二煙突のすぐ前にある構造物は1939年の改装で探照灯台から改造された無線室で、更に両舷側方向にアンテナがありますが、これは工作の最終段階で付ける事にします。第二煙突基部の吸気口の上は円材置場になっていたものと思われ、写真からも多数の木材を載せているのが認められますが、円材の処理は工作の最終段階で考えることにします。またキットの救命いかだはモールドが甘いので、田宮1/350プリンス・オブ・ウェールズのパーツを流用しています。


第二煙突基部。奥はキットの部品。
吸気口の位置と形状、無線室、探照灯台の長さなどに注意。

シェルター甲板について

 …それで、肝心のお題はこれから製作に掛かります(^_^;)。
 詳細は次の項にて。