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調理実演過去ログ:ホワイトエンサイン1/350巡洋戦艦フッドを作る
その3:船底について
1997/08/24,28

はじめに

 本稿のタイトルは(製作中)の段階では「キットを検討する」となっていましたが、まず船体や船底の基礎的な工作を先に済ませて、それから甲板上の構成や艦橋を中心とする工作の検討に移ることにしました。

 ホワイトエンサインのレジンキットを作るのはこれが初めてで、「材質」が一番心配だったのですが、このキットに用いられているレジンはかなり上質なものと思われ、気泡が比較的少ない上に端が透けて見えるほど削っても割れたりヒビが入る事がありません。この点は安心です。
 ただし瞬間接着剤か2液混合型のエポキシ系接着剤しか使えない素材なので、全ての部品は真鍮線を埋め込んでの接着になります。2液混合型は信頼に足る接着剤ですが取り扱いが面倒、瞬間接着剤は接着面の垂直方向に掛かる力に意外に弱くて衝撃にももろいので個人的には多用したくない(プラでは素材の異なるもの同士を接着する時以外には使いません)ものですが、今回は仕方がありません。

船底について

 船体の仕上がりが比較的良いのは前に述べた通りですが、それに反して船底の仕上がりはあまり良くありません。甲板上の内容を検討する前に船底をながめて困ったのが、エディプレートとプロペラシャフトとシャフトブラケットが一体になっていた部品の接着位置がどこにも明示されていないことでした。加えて2組ある部品のどれをどの場所に付けるのか説明書にも記述がなく、どう組み合わせても船底のラインにフィットしない。また舵も艦尾の取付部に全然合わない。

この位乗り越えられないようでは作れないって事か。

 …と、これはメーカーからの有り難い「配慮」と割り切って、とりあえず資料の側面図と各甲板平面図から大体の接着位置を求め、真鍮線を埋め込んだ上でエディプレートを切り離して接着しました。シャフトブラケットは足の部分がぶ厚いので端をペラペラになるまで削り、シャフトの通過する部分にドリルで穴を開け、太い真鍮線を通した上で接着位置を決め、真鍮線を埋め込んで接着しました(ただし、シャフトブラケットは本来一緒にモールドされていたエディプレートとは逆の組み合わせで付けています)。舵に関しては、取付部のラインが合っていなかったので削り、収まるようにしました。

最終的に取り付け位置を確定させた状態。
内側のシャフトブラケットが1mmほど前方に付いてしまいました。
しかし、舵といい、シャフトの周辺といい、
メーカーは発売前にこの船底を組み立ててみたのだろうか!?

 船底の中央部両舷に細長いモールドがあります。何を意味するものかはわかりませんが、図面と突き合わせると大きさも位置も違っています。そこでいったんモールドを平彫刻刀で削り、0.3mmと0.5mmのプラ板を組み合わせて真鍮線の「足」を付け、船底の側面にドリルで穴を開けて接着します。
 また、艦首の底の部分にパラベーンを取り付ける金具がありますが、キットでは表現されていないのでレザーソーで切り込みを入れ、0.3mmの真鍮板を埋め込んで仕上げています。

 以上の工作が終わったあと、船底のキズや仕上げの良くない部分にパテを埋め、エディプレートやシャフトブラケットの取り付け部分と一緒にペーパーで削ります。ものが大きいので風呂場に船体とペーパーを持ち込んでごしごし削ります(夏場で良かった)。船底の整形が終わったら、展示台用の穴を開けます。2.1mmのドリルで穴を開け、裏側に直径2mmのナットを付け、瞬間接着剤+硬化剤を流し込んだあと周囲に10分硬化型のエポキシパテを盛って絶対に外れないように固定させます。

 ここで用いている「エポキシパテ」はセメダイン社から発売されているもので、10分硬化型(金属用)と6時間硬化型(水中用)の2種類があります。扱い易さでは田宮の方がベストですが、このパテは硬化後の強度が強く容易に削ることもできないので、私は整形や仕上げを必要としない船体の接着面の補強に良く使っています。普通のプラキットでも船体が変形していて接着面に段差ができる時には手で合わせて瞬間接着剤で仮止めし、裏側からこのパテを盛って補強しています。レジンキットにも使用可能です。

 次に船体と船底の固定方法ですが、これほど大きなレジンキットだと接着剤だけではとてももたないし、事後変形がほとんど見られなかったとはいえ艦首艦尾の端で4mmほど隙間が開く上に船底に若干のゆがみも見られたので、強力な補強が必要BR>になります。

 1・4番主砲の台座の中心、及び船体中央部に6.5mmのドリルで穴を開け、その上から11mm×深さ5mmの穴を開けます。次に船底の内側の、船体の穴と同じ位置を彫刻刀で削って平らにしておきます。そのあと、まず艦尾の4番主砲の台座に直径6mmのネジを通し、裏側からナットをわずかにネジ込んだ状態で留め、船底の接する部分に2液混合型のエポキシ接着剤を塗っておきます。次に艦尾側の船体と船底を合わせ、ネジをゆっくり押し込み、ナットが船底に付いたらそのまま接着剤が固まるまで置いておきます。ナットの位置が確定したら周囲に瞬間接着剤+硬化剤を流し込み、さらにその上から10分硬化型のエポキシパテを盛って絶対に外れないように固定させます。艦尾側が付いたらネジで留め、船体中央部→船首側の順番で同様の工作を行います。

 船体と船底の接着は6時間硬化型のエポキシパテを接着面に盛って貼り合わせてネジ留めし、はみ出した所はプラ板などで素早く削り落とし、残ったすき間に瞬間接着剤を流し込んで仕上げています。

船底と船体を留めた状態
これでもまだ強度が不安ですが…

補足

 モデルアート誌1997年10月号の「でものはつもの」欄にこのキットの紹介が載っていますが、私が入手したキットにはメタルパーツは1つもありません。リールやスクリューに至るまで全てレジン+エッチングの構成です。
 それと、船底が注文時に選択できるのは最初に述べた通りですが、船底無しのウオーターライン版はフルハル版よりも当然安くなります。ホワイトエンサインのホームページ(http://dialspace.dial.pipex.com/town/avenue/xdt22/)によれば直販価格でウォーターライン版336ポンド、フルハル版が406.12ポンド+送料が販売価格の15〜20%増ということで、私が日本の模型店へ注文を出した時と少し価格が異なります(当時の為替レートにこの計算式を加えた金額よりも若干安かったのです)が、いずれにせよあの輸入価格は少し高過ぎるような気がしますが…