『パッチギ!』をめぐって
TAOさん
マメシバさん
映画通信」:ケイケイさん
ミノさん
ヤマ(管理人)


  No.5351から(2005/02/18 09:42)

(TAOさん)
 『パッチギ!』はどうでしたか? これ、なんとなく危険な香りがして保留にしてるんですが。面白そうな気もして、迷ってるんですよ。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、TAOさん。
 面白かったですよ。明日の更新でアップします。監督は妙に気に食わない奴ですが(笑)、作品は別物ですしね。
 四十代以上だと余計に興味深い作品だという気がしますね。ご覧になれば?(笑)

(マメシバさん)
 ヤマさんの『パッチギ!』の感想、興味深かったです。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、マメシバさん。ありがとうございます。

(マメシバさん)
 いやぁ〜私は肝心な『パッチギ!』のことはあんまり印象に残らなかったんだなぁ、とつくづく。

ヤマ(管理人)
 別にあれが肝心というわけでもないでしょうが(笑)、この作品は、やはり世代差によって随分と受け取るものが異なってきそうですね。それでいて、どの世代にも概ね支持されそうなとこが大したもんです。

(マメシバさん)
 でも、この作品のオダギリジョーは『血と骨』よりも好きなのです。

ヤマ(管理人)
 どっちがってこともないくらい両作とも、彼はとてもいい味を出していて、実に存在感がありましたねー。

(マメシバさん)
 思想的な部分も大きかったので、色んなブログを見てると意外とこの作品の批判のサイトも目立ったのですが、その部分を差し引いても、青春映画として感動できたので良かった。

ヤマ(管理人)
 そうそう、まさしくそこんとこですよね、世代を超えてアピールするとこって。
 でも、いろんなブログで“思想的”なとこでの批判がされてるんですかー、そうなんですかねぇ?(意外) 思想的って具体的にどういうとこのことなんじゃろ?(不可解)

(マメシバさん)
 井筒監督って普段は毒舌ですが、作品を撮るといつも合格ラインのものを撮るので、そこらへんはさすがだなぁと。

ヤマ(管理人)
 そうですね、確かに映画は面白い。だから、黙っとけばいいのに、ね(笑)。僕、彼の喋りは、あまり好きじゃないんですよね、人気あるらしいけど。

(マメシバさん)
 ところで、ヤマさん、井筒監督が関西ローカルで「こちトラ自腹じゃ」ってコーナーやってるのですが、(私は見てないけど)『ネバーランド』は0点でした。自分以外の作品にはかなり厳しいですが、辛口だけに面白い番組ですよ。全国放送ではないのがもったいないぐらい。

ヤマ(管理人)
 納得感の得られる辛口なら面白いんですが、ネバーランドを0点にしちゃうマニアックな大向こう狙いみたいな線には、僕はあんまり興味がないんですよね〜。あれが0点になるような映画じゃないことは承知のうえで0点だ!って派手にかますのは、ウケても下品ですよ(笑)。ま、彼は“品”なんかクソ食らえってクチですから、狙いどおりってとこでしょうけど(笑)。

(マメシバさん)
 『パッチギ!』の楊原京子ちゃんとはこの番組でコンビを組んでるせいか、彼女、作品の中でも輝いてましたね。

ヤマ(管理人)
 桃子もよかったですが、若者たち、み〜んな、輝いてましたねー。僕が最も惹かれたキャラはガンジャ(真木よう子)でした。


-------'68という時代-------

(ケイケイさん)
 ヤマさん、こんばんわ。やっと『パッチギ!』観てきました。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、ケイケイさん。ケイケイさんの映画日記、絶賛モードでしたね。

(ケイケイさん)
 「音楽担当の人、美空ひばりの息子やんな?」という私の書き込みタイトルは、いっしょに観た友人の言葉です(笑)。

ヤマ(管理人)
 今や加藤和彦よりも加藤和也のほうが有名なんか〜(驚)。

(ケイケイさん)
 「何ゆうてんの、それは和也やんか。これは和彦。『イムジン河』を歌っていたフォーク・クルセダーズのメンバーの一人やがな。」と答えた私ですが、彼女は私より2つ下だけなんですが、オックスも知らなかったんです。本当にあんな失神騒ぎもあったというと、びっくりしていました。加瀬亮が野口ヒデトの役でしたね。本家はもっと歌上手かったけど(笑)。

ヤマ(管理人)
 失神騒ぎのあたり、思いっきり茶化してましたねー(笑)。

(ケイケイさん)
 東高校の先生も、あんな白紙状態の生徒に思想教育していいんかい?と思いましたが、京都は「15の春は泣かせない」のスローガンで有名な、共産党系の蜷川知事が長く務めていたので、そのへんも揶揄したのかと思いました。

ヤマ(管理人)
 揶揄というよりも、実際あの頃には、そういう先生がいたように思いますし、まぁ、毛沢東語録を出してってのは思想教育みたいに受け取られても仕方のないところがありますが、僕自身は、制度的なカリキュラムとして思想教育を権力的に施すことには大いに抵抗感があるものの、教科書から離れて、教師が個人的信条や思想を生徒にぶつける姿というのは左右どちらであっても、人間教育として教師に備えていてほしいものだと思ってますね。高校生くらいになれば、白紙状態なんてことはあり得ず、生徒は、教師の姿を対象化しつつ受け取っているものですよ。

(ケイケイさん)
 確かにあの時代の高校生はそうですね。ベトナム戦争や学生運動など、いやでも毎日目に入ってきましたから。すみません、私は今の高校生と混同していました(笑)。今の子たちでも、大げさに思想というのではなくても、心に感じている子も多いと思いますが、昔より比率は低いんじゃないかな?

ヤマ(管理人)
 僕もそんなふうに感じていますが、自分がそう感じるのは、それだけ若い連中から遠隔った歳になってきてるからだけでは?と思うところもあったりしますね(笑)。でも、実際に子どもたちがそうなってきているのだとしたら、やはりそれは子どもたちだけの問題ではなくて、大人も含めた世の中全体での社会意識の低下と政治的無関心の写し絵なのだろうと思います。
 そういう意味でも、タブー化することで政治的無関心や社会意識の欠如を促すよりは、反面的な姿であってもぶつけられるほうが、生徒は考え育つようになると思うんですよ。

(ケイケイさん)
 オダギリジョーのヒッピー風青年も、「おったおった、昔はあんな兄ちゃん」と友人と言いあったんですよ(笑)。

ヤマ(管理人)
 オダギリ・ジョーは、ほんま、いい味 出してましたねー。

(ケイケイさん)
 昨日テレビで『あずみ』観たんですよ。筋は良かったけど、演出がイマイチで。ヤマさんの感想も拝読。

ヤマ(管理人)
 ありがとうございます。あれ?これ、日誌綴ってたっけ?と読み返してみたら(苦笑)、僕は演出以上に、脚本にケチをつけてましたね(笑)。

(ケイケイさん)
 そうそう、漫画チック過ぎました。これは『ゴジラ』の北村一輝もそうでした。美女丸はもっと妖しい雰囲気で描いて欲しかったと夫に言ったら、「原作でもあんなんや」と言われました(笑)。でもこの辺のキャラの脚色は、監督のセンスですよね。

ヤマ(管理人)
 同感です。

(ケイケイさん)
 オダジョーは何をやっても印象深いです。

ヤマ(管理人)
 ほんとにねー。むしろワキで出るほうが光るって感じです(笑)。

(ケイケイさん)
 「仮面ライダー」出身では、藤岡弘、村上弘明を抜きそうな勢いですね(笑)。

ヤマ(管理人)
 あ、彼もライダー卒業生なんですか。村上弘明のことも知りませんでしたよ(あは)。
 聞くところによると、『パッチギ!』で彼が演じた坂崎の描いていた絵はオダギリジョー自身が描いていたのだとか。スウェーデンにもアメリカにも坂崎クンは実際に行っちゃうわけですよね。自分の目で観、体験することが知識や情報よりも尊重されていた時代だったように思います。数字や情報の力が生身の人間の得ているものより重視されるようになっては、人間が疎外感を味わうようになっても仕方ないですよね。

(ケイケイさん)
 スウェーデンの記録映画の『女体の神秘』を別目的で観に行ったり、子供時代の記憶に残るあの年代が、上手く描かれていたと思います。

ヤマ(管理人)
 我々から上の世代には、ちょっと特別に響いてきちゃいますよねー。『女体の神秘』は、さすがに少々年齢が及ばず、僕は観に行くことができませんでしたが、タイトルはもうしっかり脳裏に焼き付いてましたよ、当時(笑)。

(ケイケイさん)
 他には『私は好奇心の強い女』(笑)。

ヤマ(管理人)
 こっちは小学校を卒業していたんで、予告編は観たような覚えがありますよ。あと中2のときの『ザ・ボディ』とかいう『女体の神秘』系の作品もなんかタイトルが残ってるんですが、タイトル、間違ってるかも(笑)。

(ケイケイさん)
 『私は好奇心の強い女』は、2年位前リバイバルしましたよね? スウェーデンがフリーセックスの国というのも、子供だったのではっきり意味はわからないものの、淫靡な国だと思いこんでいました(笑)。

ヤマ(管理人)
 僕らは、とってもいいとこだと憧れてましたけど(笑)。


-------在日作品としての『パッチギ!』-------

(ケイケイさん)
 在日の部分については、危惧していた違和感もなく、すごく繊細に在日の気持ちを井筒監督が描いていたことに感激しました。

ヤマ(管理人)
 民団と総連の件ですね、危惧が実際にならずによかったですね。

(ケイケイさん)
 同じ在日を描いて何で崔洋一で玉砕して、日本人の井筒監督で感激するんやと、少々複雑ですけど(笑)。

ヤマ(管理人)
 やっぱり、血と骨』談義でおっしゃっていたところの三位一体が仇になったんでしょうよ(笑)。

(ケイケイさん)
 こっちは、とても出来の良い青春映画でしたぁ。

ヤマ(管理人)
 ちょっと胸の内が熱くなるようなとこ、ありましたよね。

(ケイケイさん)
 ヤマさんも触れられていましたが、あっちこっちで戦っていましたね(笑)。

ヤマ(管理人)
 そうそう、そのへんが眩しいとともに、そういうのが許容された時代やったよなぁという想いが湧きました。

(ケイケイさん)
 高校生同士の抗争も、あれだけやったらお互い手応えがあるんじゃないでしょうか? 一見不毛な戦いですが、こういったところから、偏見や誤解が溶けることもあるんじゃないかと思います。

ヤマ(管理人)
 真っ向からぶつかり合うってことですもんね。ケイケイさんがお書きになっていたように、後年出会ったときは酌み交わしたりするような感じって、確かにありましたよね。

(ケイケイさん)
 いっしょに観た友人が言うには、朝鮮語はヘタだったそう。

ヤマ(管理人)
 こういうのは僕らには判定不能(笑)。でも、なんかとっても板に付いているように見えましたよ。

(ケイケイさん)
 友人は韓国ドラマにはまって毎日観ているし、家では韓流ポップスがいつも流れているらしく、ハングル語講座で勉強までしてるんです。私はちっとも喋れないので、役者さん達えらいなぁ〜と感心していましたが、お恥ずかしい限りです(笑)。

ヤマ(管理人)
 あ、そうなんですか、喋れないんですか(笑)。でも、言葉というのは使ってないと覚えられませんよね。

(ケイケイさん)
 恥ずかしながら読み書き話す、全部ダメです(恥)。うちの両親は子供の頃日本に来たので、家ではめったに韓国語を話さなかったんです。夫は聞くくらいは出来るみたいです。

ヤマ(管理人)
 言葉と言えば、ケイケイさんが映画日記で言及しておいでのチェドキの台詞は、僕にもとても印象深いものでしたよ。

(ケイケイさん)
 あのセリフは涙が出ました。横を見たら友人も泣いてたんですよ。何だか嬉しくて。彼女は日本人です。親善サッカーの時、日本側の先生はお気楽に「親善だから」と言いますが、朝鮮学校の先生は「何があっても勝ってこい!」と檄を飛ばしていましたでしょう?

ヤマ(管理人)
 そうでしたねー。単なる温度差ではなく、置かれている状況の違いをうまく忍ばせてましたね。

(ケイケイさん)
 うちの父親は商売をしていて、「日本人が百万でええところを、韓国人は三百万持たな、同じ土俵には上がられへん。」と、よく言ってたんですよ。数少ない対等の土俵に上がれる場所で、絶対勝って来い!というソンセンニム(先生)の言葉の裏には、そういう事情もあったわけです。

ヤマ(管理人)
 そのへんは、僕らでも感じ取ることができましたよ。大げさに茶化したり、派手に盛り上げたりする過剰さを演出するなかで、こういう本音をリアルに掬い取っている案配の巧みさが映画作品としての味わいを豊かにしていましたね。

(ケイケイさん)
 びっくりしましたよ、あの井筒さんがって(笑)。こんな繊細な人だったのかと。

ヤマ(管理人)
 繊細なんやのうて、皮膚感覚的に心情的なもののキャッチ力に長けてるんじゃないでしょうか〜。僕には、どーしても繊細な人間には見えませんもん、彼(笑)。

(ケイケイさん)
 前作の『ゲロッパ!』は、私は大笑いして大泣きして好きな作品なんですが、偉そうなことばっかり言うて、こんなもんかいって感じでしたが(笑)。

ヤマ(管理人)
 同感ですね。つまらなくはないけど、たいした作品でもありませんでしたね。
 『パッチギ!』で、不良として喧嘩に明け暮れていた連中の胸の内に「何があっても勝ってこい!」というのは、在日の方に限らずきっとあるんでしょうが、とりわけ彼らには負けてはいられない思いが強くあったでしょうからね。映画日記によれば、井筒和幸はケイケイさんの割りと好きな監督さんだそうですね。僕も映画作品は、わりと好きなんですが、他はどうも…(苦笑)。いかにも幼稚でエラそうなとこがモロに出ていてねー(笑)。

(ケイケイさん)
 私はそこがね、結構可愛いなと思えるんです(笑)。

ヤマ(管理人)
 ケイケイさんは、お母さん気質なんですねー(笑)。彼はいかにも甘えん坊っぽいですし(笑)。

(ケイケイさん)
 映画評は感覚が違うことも多いので、感受性は違うと思うんですが、もしかしたら思考回路は似てるのかも知れません(笑)。

ヤマ(管理人)
 ハートを何より大事にするとこ、かなぁ。

(ケイケイさん)
 笑いのベタベタなところも好き(笑)。

ヤマ(管理人)
 どっちも、いかにも大阪人らしいとこやないですか(笑)。まぁでも、ああいう人だから、熱い作品が撮れるのでしょうけどね。それにしても、ケイケイさんが書いておいでた「一方的に在日寄りの作品であると言いきった感想も多く」というのには、僕も少々ショックです。昔の自主上映仲間には、早々に「これで今年のベストワン作品は決まりや」なんて言っているのもいたんですがねー。ま、五十代の女性ですから、世代的な面も手伝ってはいるでしょうが(笑)。
 今回、映画日記を拝読して「その時私は自分の出自を捨てた人間だと、きっと別の葛藤が待っているでしょう。」とお書きのところに僕などの想像の及ばない胸中が窺われ、ちょっと感慨を覚えましたが、「きっと未来は明るいぞ!」との結語をとても嬉しく読みましたよ。

(ケイケイさん)
 予告編で観たキョンジャが「私と結婚して、康ちゃんは朝鮮人になれる?」というセリフ、実はすごく不安だったんです。そこだけ見ると、それこそ一方的でしょう? ここは日本なんですから、日本で暮らす以上結婚の際は日本人になって当たり前だと、私は思っています。

ヤマ(管理人)
 僕などは、どっちが当たり前とかいう感じも特にはなく、当人たちが決めることって感覚にとどまっていられるわけですが、そのへん他人事ではない方には、どっちを選択するにしろ確たる意識がおありなんですねー。なるほど。そういうものなんでしょうね。

(ケイケイさん)
 でも物語の流れの中であのセリフは、朝鮮人の私と付き合うことは、朝鮮人になっても構わないというくらい腹くくらんなあかんねんで、と言う問いを、康介に投げかけていると取りました。

ヤマ(管理人)
 僕なんか、ごく自然にこういうふうに受け取りましたねぇ。

(ケイケイさん)
 同時に、キョンジャも私のような心のハードルを越えなければいけないと、自分に言い聞かせていると感じました。

ヤマ(管理人)
 腹括りの投げ掛けだけを単純に受け取る分、僕にはキョンジャの側のこういう胸中には想いが及びませんでしたが、応えるとすれば、当然に相応の覚悟が応える側にも必要なわけですよね。何事であれ、そうなんですが、相手に投げかけた言葉の重さというのは、ちょうど物理で言う「作用・反作用」のように、自分の側にも同時に返ってきているとしたもんですよね。

(ケイケイさん)
 そういう意味でも、私の書いた「きっと未来は明るいぞ!」との結語を嬉しく読んでくださり、ありがとうございます。映画でも明るかったですよね?

ヤマ(管理人)
 そうなんです。そこが後味の気持ちのいい作品でした。それが予定調和的に綺麗に片づけられたような印象を与えずに、ほんとにさわやかな気持ちのよさをもたらしてくれたところが素敵でした。

(ケイケイさん)
 お寺さんの子と在日の子のカップルなんて、キラ星のようですよ(笑)。

ヤマ(管理人)
 確かに、確かに(笑)。

(ケイケイさん)
 余貴美子のお母さん、交際を許したんでしょうか?

ヤマ(管理人)
 康介は、まだお母さんの了解は得てないのかもしれませんね。いや、でも、そんな棚上げ、キョンジャが許すはずないから、お寺継ぐのを交換条件に了解させてるやろなー(笑)。キョンジャに翳りは窺えんかったもん。

(ケイケイさん)
 「せめて近大か龍谷くらいは行ってもらわな」。このセリフも友人と爆笑。

ヤマ(管理人)
 近畿大学も坊さん系の大学なんですか?

(ケイケイさん)
 いえいえ、医学部はありますが。関西の私大では関大・関西学院・同志社・立命の「関関同立」は他の地方でも知られていると思うんですが、この下に「産近甲龍」っていうのがあるんです。京産・近大・甲南・龍谷です。あのお母さんのセリフ、私も息子に言ったことあるんです(笑)。うちの息子じゃ国公立は絶対無理、「関関同立」もアウト、だからせめてこのくらいのレベルの大学には行って欲しいと言う、京阪神の勉強しない息子を持つ母親の、共通の願望なわけなんですよ(笑)。今も昔も同じやなぁと笑いあったわけで。もちろん友人も息子に言ってます(笑)。この時代はまだ京産は下の方、甲南もぼんぼん大学のイメージがあるので、はぶかれたと思います。

ヤマ(管理人)
 なるほどー、そうでしたか、ほんまローカルやなぁ(笑)。お書きのとおり前者は知ってましたが、後者は知りませんでしたよ。むかし、ポン・キン・カンとかいうのは聞いた覚えがありますが(笑)。

(ケイケイさん)
 やっぱり井筒さんてローカル監督かしら(笑)?

ヤマ(管理人)
 その感じ、濃厚ですやん(笑)。


-------青春映画としての『パッチギ!』-------

(ミノさん)
 こんにちわ。ヤマさん、ケイケイさんとの『パッチギ!』話に私も加われるようになりました!

ヤマ(管理人)
 ようこそ、ミノさん。いらっしゃいませ〜(笑)。

(ミノさん)
 昨日見てきたんですが(『オペラ座の怪人』以外の映画も見てるんですよ、実は)これはもう〜素敵な青春映画ですね。

ヤマ(管理人)
 ええ、普段は若さを羨んだり偲んだりしない僕でも、こういうのを観ると、くすぐられたりしちゃいますねー。

(ミノさん)
 多分そうだろうと思ってたんですが、ウジウジジメジメしたところがなく、高校生の男の子同士が殴りあいまくり〜。女ゆえ、殴り合いのケンカを知らずに生きていっている身としては、殴ったり殴られたりの肉体でぶつかり合える彼らが心底うらやましいと思いました。

ヤマ(管理人)
 今どきは下妻物語のように、それを女の子がやっちゃいますが(笑)、女性の肉体は、そーゆーことに使うのは勿体ないです(笑)。

(ミノさん)
 そして、素敵な映画が全てそうであるように、これも在日云々以上に、普遍的な青春映画、恋愛映画として心に浮き上がってくるんですよね。

ヤマ(管理人)
 そうそう! ですから、この作品を以て一方的に在日の側から作られているなどという非難の声があるとかって聞くと驚いちゃうんですよ。

(ミノさん)
 パーツのセリフを取り上げたりといった見方をするとそうですが、映画ってそういうもんじゃあないですよね。

ヤマ(管理人)
 ええ、映画の面白みは、とりわけ細部に注目するところに醍醐味があるのですが、本末転倒して「木を見て森を見ず」みたいになると、ちょっと格好悪いですね(笑)。僕もしょっちゅうやっちゃうんですけど(苦笑)。好き嫌いを左右するのって、けっこうそういった細部だったりするもんです。

(ミノさん)
 私は関西なのでこの映画が描かれている舞台となっている京都と、ある意味似た風土というものを感覚的に知ってるんですね。でも、そういう私が見ても、本当に自然に、誇張ではない雰囲気で、素敵でした。

ヤマ(管理人)
 ですよね、普通に観ると、そういうふうに見えると思うんですけどね〜。

(ミノさん)
 どっち寄りであるとかいうのは、感じませんでしたねえ。

ヤマ(管理人)
 僕もです。

(ミノさん)
 実は井筒監督は、前『のど自慢』という映画を見て、ノレなかったので、

ヤマ(管理人)
 それ、続編のハワイ編のほうじゃありませんか? 僕も続編はがっかりでしたね。でも、一作目は面白かったですよ。

(ミノさん)
 『のど自慢』はね〜。ヤマさん。1作目を観たんですよ。ハワイ編でなくて。でも余りのれなかったんですよね。

ヤマ(管理人)
 あら、そうでしたか(笑)。

(ミノさん)
 みんなほめてましたけど。『パッチギ!』のような爽快な気持ちで観終われなかったのを覚えています。

ヤマ(管理人)
 僕もそりゃ比較すれば、断然こっちのほうが好きですけどね。

(ミノさん)
 確か、アレも大友さんが出てましたよね。

ヤマ(管理人)
 はい。

(ミノさん)
 オダギリジョーはヤマさんの憧れですか。そういや存在感が似てるかも。(笑)

ヤマ(管理人)
 飄々としてますか? 光栄だな〜(礼)。でも、そう言えば、三人の子持ちのくせに、生活感が漂ってないとはよく言われますけどね(苦笑)。

(ミノさん)
 『のど自慢』のことがあって、これも余り観たいとは思わなかったんですね。でも何か、向かわせるものがあったんですが、それははずしてなかったですね。

ヤマ(管理人)
 そういう勘というか、縁というか、それってわりと当たるもんですよね。

(ミノさん)
 殴り合いが眩しいっていうのは、若さもそうですが、ああして殴り合えるのって、それもまたコミュニケーションかななんて少し思ったりもするんですよね。

ヤマ(管理人)
 身体張ったぶつけ合いは、もう歳ですし、したくもありませんが、心の内は、あんなふうにぶつけ合えるコミュニケーション回路をいくつになっても持っていたいものですよね。もちろん毎日やってるわけにはいきませんがね、殴り合いと同様に(笑)。

(ミノさん)
 もちろん暴力はいかんし礼賛する気はこれっぽちもないのですが、ケンカして痛みを知る機会がない事のほうが、相手への傷の付け方の程度を学べないという意味において、怖いとも思うんですよね。いきなり致命傷みたいなね。

ヤマ(管理人)
 そういうことを想起させるような事件が多くなりましたよねー。

(ミノさん)
 再起不能にならないようにぶつかり合うことを知るのは、大事なことなんでしょうね。

ヤマ(管理人)
 そうですね。肉体的にも精神的にも、コミュニケーション能力の眼目って、そこんとこなんだろうと思いますね。

(ミノさん)
 相手と民族が違うとか、やれ属性が違うだとか、人と人の間には実にさまざまな川が流れていますが、それを渡らせるのは、「恋」であるという実に普遍的なテーマ・・

ヤマ(管理人)
 まさに、そのように描かれていたように思いますよね。

(ミノさん)
 ああ私もイムジン河を歌いたいですねえ。

ヤマ(管理人)
 恋への憧れは、終生なくならないし、なくしたくもないものですよね。歳を重ねてくると実践自体は、なかなか困難になってきますが(笑)。

(ミノさん)
 あと、オダギリジョーよかったですねえ。

ヤマ(管理人)
 僕からすりゃ、ファントムなんぞより、よっぽど(笑)。あの飄々とした感じ、あれも「恋」同様、憧れの対象で、終生なくならないし、なくしたくもないものです。

(ミノさん)
 この映画の舞台になった年代って、ちょうど私が生まれたちょい後あたりなんですよね。

ヤマ(管理人)
 う、ここで如実に出る歳の差!(笑) そーか、まだ生まれたばかりってか〜(たはは)。

(ミノさん)
 だから幼児期なので記憶にはないのに、恐ろしく懐かしい昭和の原風景・・世の中に、まだ隙があり、猥雑さがあり、

ヤマ(管理人)
 ですよねー。

(ミノさん)
 ヤマさんが書いていたように、若者がワケのわからないパワーをぶつける許容度の高かった時代・・

ヤマ(管理人)
 これが本当に貧弱になったような気がしますね。

(ミノさん)
 あの雰囲気が今の世の中にもう無くなったように思うのは、もうすっかり社会が成熟してしまったから?なのでしょうか?

ヤマ(管理人)
 成熟を感じられればいいんですが、貧弱とか閉塞って言葉しか思い浮かばないのが悲しいですね。

(ミノさん)
 とにかく、あの時代の雰囲気にもすっかりやられちゃった私です。

ヤマ(管理人)
 ファイトするのも、けっこう大変なんですが、やっぱ、ちょっと眩しかったですねー。
by ヤマ(編集採録)



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