日々のエッセイ


  一年のうちの、本当に夏らしい時間というのは、7月と8月の二ヶ月しか

  ないのですよね。 それでも他の季節と比べて、夏の情景が印象的

  なのは、思い出を作りやすい季節だからでしょうか?

              
 
  となり町に一軒家の美味しいレストランがあって、前庭に青銅色した

  年代物のプロペラが飾ってあります。遠くから眺めると、大きな四葉の

  クローバーみたいな羽ですが、近くで見ると、そこにフランスの詩が

  刻まれているのがわかります。

          私の耳は  貝の殻  

          海の響きを懐かしむ

  ご存知の方も多いでしょう。堀口大学が訳した、ジャン・コクトーの詩で、

  夏になると口ずさみたくなる、清々しい韻です。 貝殻というのは、

  それ自体、夢のある形をしていますね。

               

  棚の上に眠っていた箱を整理してみたら、スーパーボールが
 
  いっぱい出てきました。夏祭りで掬ったものや、誰かから貰ったもの、

  色も模様も様々です。涼やかなので、ガラスの器に盛ってみました。

  いつかの夏休みに、甲府のぶどう園で買ったワイングラスと、箱根の

  ガラス細工店で選んだクマの人形も一緒に、並べてみました。

               

  海の見える遊歩道に、愛用の日傘を置いて。夏の必需品の日傘は

  何本か持っていますが、一番よく使うのは、色も形もシンプルな

  タイプ。紺地に白いドット模様というのは、いかにも夏らしく飽きません。

  ちょっと前までは、日傘をさして小さな子の前を通ると、「どうして雨じゃ

  ないのに、傘さしてるの?」と、不思議そうに尋ねられたものですが、

  最近では男性も日傘をさす時代。オゾン層の破壊が深刻になって、

  紫外線が太陽の恵みばかりではないと、知れ渡ったからでしょうか?

  でも、時には日差しを身体で受け止めて、夏を満喫したいですね.。



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