吹いてくる風の中に、ちょっと夏のきらめきが感じられますね。 薄手のコートもクリーニングに出して、まぶしい季節に向かって、スタンバイ。 衣替えって、好きです。 学生の頃は、重たい冬服からブラウスに代わる5月を迎えると、身体だけでなく心もスッキリ軽くなった気がしたものです。今年も張り切って、衣替えをしなくちゃ。(ついでに、要らない物を片付けようかな)
先月、3週間に渡って行われていたBOOK展 『本と本にまつわる』展が、無事に終了しました。お越し下さった方々、ありがとうございました。気に掛けて下さった方々も、ありがとうございました。
ギャラリーでは、こんな風に、私の物語が紹介されていました。
テーブルの上には、手に取って読んでいただけるような小冊子。 このギャラリーで、過去5年の間に発表していた小さな童話が、『誰かのエピソード』と『てのひらメルヘン』という本の形にまとめられています。この、非売品の小冊子を「ほしい!」と言って下さるお客様もいらして、嬉しかったです。
おととしに書いたメルヘンは、明日、結婚式を迎える花婿さんが主人公。 超豪華なウエディングケーキを守るため、倉庫で寝ずの番をするのですが、いろんな人たちがケーキをもらいにやってきて・・・。 羊毛人形作家の松田富美子さんが、物語世界を立体化してくれています。 花嫁さんのイヤリングまで、細かく美しく作られています。
去年の物語は、洋服をかじるクセがコンプレックスの、ビーバーが主人公。 かじった端切れをたくさん集めて、パッチワーク作りに励みます。 展覧会のテーマが「モザイク」だったので、布で作るモザイク画として、パッチワークを 物語のモチーフにしてみました。
上のキツネとタヌキのお人形が、今年の物語で活躍するキャラクターです。 可愛い女の子になれない自分がキライなタヌキ、魔法のスニーカーをもらって、とびきりカッコいい女の子に変身しますが・・・。 ありのままの自分を好きになってくれる誰かに出会うのって、とても大切ですよね。そういう話です。
その他にも、過去の展覧会に出された物語が、勢ぞろい。
自分でも「懐かしい!」と思ってしまう、作品群でした。 この会場、ギャラリーウシンで初めて展覧会を開いて頂いたのは、ちょうど5年前。 案内状の葉書が刷り上がって、うちのポストに届いたのが、まさに東日本大震災の日でした。 (地震がとても怖かったことと、案内状が出来て喜んだこと。 嫌な事とうれしい事が同時にあった日。 翌日から、地震被害と原発事故で、日本が大変になるとは、この日は思ってもいませんでした)
その年から、毎年、春に、本にまつわる展示を重ねてきました。 わが家からギャラリーまでは、車を走らせて片道3時間近くかかりましたが、道中の景色も良い思い出です。 たくさんの出会いに感謝しています。
子どもたちも、スマホで本を読むのが当たり前の時代になったのでしょうか。 ファンタジー絵物語 『コスモス・マジック』(フレーベル館)が、ベネッセ・コーポレーションの電子図書館「まなびライブラリー」で配信されています。 ただし、進研ゼミプラスの会員さんが対象です。 会員の方で、もし読んでみたいなぁと思われたら、ぜひ。 朝倉めぐみさんの描く登場人物・ルウが、とっても可愛いですよ。
「5月の風をゼリーにして」持って来て、と頼んだのは、夭折した詩人・立原道造でしたね。 透明度の高いゼリーを想像します。 プルッと弾むような口あたりで、さわやかな後味で。 食べている間はきっと、嫌な事も苦しい事も忘れられそうな。 その立原道造の詩集を、昔、買いました。 『暁と夕の詩』(麥書房)という復刻版。作者が創った当時の詩集を、紙質以外(出版時は和紙だったそう)忠実に再現したもので、楽譜のような作りが素敵です。オレンジ色の表紙に、緑の版画絵。 「ドイツ風なフルート曲集らしく」という作者の創作意図がコメントで付いていますが、中のソネットも、まさに音楽のような言葉の響きです。
電子本の普及も、読書が身近になるのに役立っていますが、 紙の本なら、こんな風に造本自体に思いっきり拘れますね。紙質や活字の微妙なバランス、色合い、それに本の匂い・・・。 やっぱり、紙の本って、好きだなぁ。(目も疲れないし)
住宅街を歩いていたら、新しく出来たお家の駐車スペースに、こんな車止めを見掛けました。猫の形をしていて、ほのぼのします。 ここのところ、空前の猫ブームだそうですが、ファニーフェイスの猫ちゃんが、しっかりタイヤを押さえてくれるなんて、頼もしいですね。
5月は春バラの咲き誇る季節。 ベランダで育てているピンク色のバラも、蕾を膨らませています。 随分前に、鎌倉で買った小さなバラの苗なのですが、毎年、ちゃんと花をつけてくれるので、5月はテーブルに花を飾ります。 いつもの朝食メニューも、花があるだけで、カフェ・モーニングみたいになりそう。
さわやかな季節を楽しんでください。
2016年 5月
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