窓を開けると、一面に入道雲。 まぶしい夏がやって来ました。 朝寝坊して、
時間の過ぎるままに、だらだらとして、夜になって「ああ、今日は何もしなかった」
なんて、ささやかに後悔するのも、夏休みの贅沢な過ごし方の一つですよね。
風通しの良い古い家のテラスで、籐椅子に座って、よく冷えた果実酒を
時間をかけて飲みたい、と思う7月です。
そういえば、先月、わが家でも、梅酒を仕込みました。 店先に並び
始めたばかりの青い梅を1キロ買って、ヘタを丁寧に取り除き、水気を切って、
氷砂糖とホワイトリカーに漬け込んでーーー。
真夏になったら、少しだけ味見をしてみましょう。 1年くらい経つと、美味しくなる
そうです。 果実酒は、カリンや蜜柑など、いろいろな果物で作れますが、
コーヒー豆を使った『コーヒー酒』なんていうのも、あるらしいですよ。 瓶の
フタを開けた瞬間、香ばしいようなコーヒーの香りがするのでしょうか?
レイ・ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』は、12歳くらいの時に買った本で、
夏のはじまりになると、無性にページを開きたくなる一冊です。
まだ一日も欠けていない夏の日が、ギュッと詰まっている感じの本。
本を買った当時、セゾン・ド・ノンノという女性誌に、『たんぽぽのお酒』の
ダイジェスト絵本が載っていて、要約(?)した立原えりかさんの優しい文章と、
葉祥明さんの柔らかな絵がすごく気に入り、原作本を買いに、
神田の本屋さんへ走ったのを、昨日のことのように(ちょっと大げさですね)
覚えています。 広口瓶に詰め込まれる、金色のたんぽぽの花とか、
さわやかとしか言いようがないペパミント色したライムアイスクリームとか、
食べてみたいと切実に願いましたね、12歳の私は。
ブラッドベリの本のほうは、長新太さんの挿絵でした。 とても小さな字で、
ぎっしり350ページ。 夏がはじまるたびに、「今年こそは読破するぞ」
と思いながら、いつも来年への宿題になってしまう本です。 でも、本棚に
あるだけで夏を“留めている”みたいで、安心できる本。
物語中に、欲しかったテニスシューズを手に入れて、青々とした芝を踏みしめる
場面が印象的に描かれていますが、先日、スカイツリーへ行った時に、
こんな靴を見掛け、思わず足を止めました。
コンビの靴が、パンダの姿にアレンジされています。 スカイツリーは上野
動物園に近いから、でしょうか。 なかなかしっかりした大人の靴。
上等な麻のサマースーツなんかを着ている人が、足元にこれを履いていたら、
可笑しくて、その人と暑さを忘れる会話が出来そうですね。
今の季節、ニュースでも盛んに、熱中症予防を呼びかけています。
まめに水分補給をするのは、人間も動物も大切。
商店街の一角に、散歩の犬に向けた水飲み場がありました。
その名も『ペット・バー』。 洒落た造りで、犬たちも喜んで一息ーーー
出来るかどうかわかりませんが、街の人たちが動物たちを歓迎している
のは伝わってきますよね。
わたしたちも、一息いれましょうか? 冷たいカフェオレを、どうぞ。
元気いっぱいな夏を!
2015年7月
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