日々のエッセイ



    いつもは歩いていく道でも、傘をさしながら荷物を持つとなると億劫で、バスに揺られていこうかな、
   なんて思ってしまう6月です。バス停に駆け寄ったら、あら、ここにも傘をさした誰かが、いました。
          
                     
    
    雨が嬉しそうなカエル君です。 カエルって、本物は近頃、とんとお目にかからないなぁ。
    子どもの頃に住んでいた家は、大都会のまん中なのに、雨の季節には門扉までの飛び石に
    すごく大きなカエルがよく現れていたっけ。 片手じゃ抱えられないくらいのガマガエルだった
    ような。子どもの目だから大きく見えたのでしょうか? いやいや、本当に存在感たっぷりで、
    ちょっと怖かった記憶があります。庭の主って感じで。 あのカエルの子孫、今も庭に
    いるのでしょうか?

                  
 



    雨の日の読書は、集中出来て良いものですよ。 上の写真、ポストカードのほうじゃなく、
    黄色い小さな本のほうに注目してください。  これ、豆本です。だけど、表紙にもページにも
    何も書かれていません。 だって、“ポストカード立て
として作られた本なんですから。
    好きなページに、好きなカードを奥まで差し込み、好きな場所に飾って楽しむ便利なグッズです。
    飽きたら、豆本として、好きな言葉を書き込んで、自分だけの、世界でたった一つの本に
    なるのです。プレゼントにもいいかも。

                  


     本が壁一面にぎっしり詰まった、緑色の部屋。 雨の日は、こんな部屋で、読書三昧も
     いいなと思いますが、これは壁に描かれた絵なんです。 吉祥寺の駅ビルにある
     本屋さんの壁。  最近はこういう壁紙も売られているので、自分の部屋に貼って、
     いつもと違う部屋の雰囲気を楽しむのも、悪天候の日の気分転換になりそうですね。

      本に関わる展覧会を、銀座で見てきました。
 ブック・スカルプチャーという言葉を
      ご存じですか? 本を素材とした彫刻だそうです。 古い本のページを思いのままに
      切り取って、その紙を丸めたり、つなげたりして形を作り、開いた本の上に組み立てて
      いくアートです。

                   




        イギリスを中心に活躍するブック・スカルプチャーの第一人者、スー・ブラックウェルの
      作品を見るのは、初めて。 おとぎ話や民話をテーマにした作品が、照明を落とした
      会場に静かに並んでいました。  上の写真は、花と植物にまつわる古い本から
      生まれた『ワイルド フラワー ナンバー10』 という作品。 本の内容に触発され、
      イメージを膨らませ、その古い本を現代に蘇らせようとする彼女の心意気があふれて
      います。 なんて繊細なこと!

                  

       一番好きなのは、アンデルセンの『氷姫』を題材にした、上の作品。細い木々の
       ひと枝ひと枝に注意を払うと、ちゃんと英文字が読め、ページを切り取って作った
       ことがわかります。 白いページと、文字の黒い部分とのバランスも絶妙。
       計算されて出来ているのですね。

                       



           氷姫が、遠い昔に見初めた赤ちゃん。その赤ちゃんが、立派な若者に成長し、
        相思相愛の女性と巡り会い、幸せの絶頂だった時、「この人は私のもの」とばかりに、
        青年の乗ったボートを転覆させる、情念うずまく場面を表現したのが、
        上の作品です。 物語を読んでみたくなりますね。


           まくれあがったページで、波を表したり、段々に破ったページで砂丘をイメージさせたり、
        ブック・スカルプチャーは、ちょっと夏休みの工作を連想させて、面白いです。
        スーさんが実際に制作している映像も、会場に流れているのですが、実に根気のいる
        作業。感性が優れていることはもちろんのこと、手先が器用じゃなきゃ出来ないですね。
        綺麗に仕上げるコツは、「糊をつけ過ぎないこと」だそうですよ。

    
                    




              話は変わってーーー。 6月28日 日曜日の夜10時から、
          FM世田谷(83.4MHz)で放送される
          『世田谷ラジオ倶楽部』という番組に、ゲスト出演します。
          番組内の17分間のインタビューコーナーで、児童文学について、あれこれ、
          話しています。  写真は、収録日のスタジオでの風景。
          左は、写真家の金城真喜子さん。 私の本『静かなネグレクト』(愛育社)の
          装幀写真、扉の美しい写真を撮ってくださったかたです。
          まん中が、世田谷ラジオ倶楽部を担当なさっている、司会の滝峯子さん。
          そして右が、私です。  手にしている本は『虹色モザイク』(朱鳥社)。
          なぜ、この本を持っているかというとーーー。

                        
     
           この本の第一話目、『ペア・カップ』というのを番組内で朗読したからです。
           朗読のことは当日に頼まれて、ちょっと焦ったのですが、お聞き苦しくない
           程度に読めたでしょうか?  良い経験になりました。
           世田谷区および、周辺の区にお住まいの方は、ラジオで聴いて頂けますし、
           その他のエリアの方はインターネットやスマートフォンで聴いて頂くことが
           可能ですので、もしお時間がありましたら、耳を傾けてみてくださいね。

                        

            6月は花菖蒲の季節。 以前はよく、明治神宮内の花菖蒲園へ行ったもの
            ですが、 最近は気がつくと夏になっていて、6月の花はもっぱら家の
            まわりの紫陽花を愛でています。
            今年の梅雨は、どのくらい続くのでしょうね。
                                       雨も楽しんで過ごしましょう。

                                                  2015年 6月 


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