今年は春先まで雪がちらついたり、風が冷たかったり、夏が遠い気がしましたが、
5月になって太陽の力が強くなりましたね。 すがすがしい5月です。
先月は二つの展覧会に参加して、たくさんの方にお目にかかれて、充実した時間を
過ごすことが出来ました。 ご来場くださった皆様、ありがとうございました。
檜ギャラリー(中央区・京橋)で行われた
『過去・現在・未来』展は、こんな感じで、
自著を展示。
主催者のアートコレクションが壁一面に
並び、在廊日には私も作品鑑賞を
楽しませて頂きました。
愛育社発行の自著『あの子を探して』と、
『静かなネグレクト』。
今回は大人向けのメルヘンを選んでの
展示でした。
ギャラリーも場所柄、落ち着いた大人の雰囲気。
ビルの4階にあるのですが、窓から京橋の町が
見下ろせ、忙しく行き交う人たちの姿が
眺められ、ビジネス街の活気を感じました。
そして、小手指(埼玉・所沢市)では、シックで温もりあふれる
『モノトーン・モザイク』展が行われました。 ギャラリーオーナーさんの
センスが光るセッティング、居心地の良い会場でした。
『モノトーン・モザイク』展 プロローグ
モノトーン作品は
見る者の想像力で自由に色が付き
奥行きを増す。
シックで調和があり
それでいて個性が際立つ。
風景に色彩があふれ出す春、
ギャラリーの中だけは
モノトーンの作品が静かに響き合い
一つのモザイク画になって
あなたの心の中で
春の歌を奏で始める
上の文章は、ギャラリーの入り口に飾っていただいた、この展覧会用の
小さなポエムです。
“モザイク”をテーマに選んだ本が、10冊。 それぞれにコメントをつけて、
展示しました。お好きな本は見つけられたでしょうか?
『虹色モザイク』のコーナーは、こんな感じ。
日常生活で私自身は、わりとカラフルでPOPな
物を集めて、身の回りに置いていたのですが、
モノトーンの世界にも開眼しました。
色を抑えることによる美の世界、いいですね。
光のつぶで埋め尽くされたスーラの絵画。
開いたページは有名な『グランド・ジャット島
の日曜日の午後』です。 この絵本は
スーラの作品細部に、子どもたちの興味を
引きつけるよう工夫された鑑賞絵本。
“うつろい人”という奇妙な生物が
出てくる、幻想的なお話は
『空虚人と苦薔薇の物語』。
ひんやりした感覚の装幀で、
お話の中に出てくる氷山とリンク。
お話し会では、『モザイクの船』というタイトルで、
内向的なビーバーと、マイペースなハリネズミのやりとりを
描いた創作童話を朗読しました。
人形作家の松田富美子さんが、今年もお話に合わせたお人形を
創って下さいました。 ビーバーとハリネズミ、そっけない同居人だった
二人が、初めて協力して仕上げたものは・・・。
細かい細かいパッチワークの布が置いてあるテーブルも、
小枝で出来ていて、自然の中で暮らす生き物らしい計らい。
オーナーさんから頂いた手作りのミモザ・リース、ふんわり可愛い。
春の日の展覧会、私もとても楽しかったです。ありがとうございました。
5月の青空みたいな水色が映える、爽やかな表紙の本をご紹介。
『市場(スーク)の中の女の子』(PHP研究所)は、本が大好きな少女・路香が
主人公の、一見ファンタジー、でも実は経済学の本。
経済学なんて興味ない、とハナから敬遠しないで、路香と一緒に
“お金”にまつわる不思議な旅に出てみてください。
時代も場所も飛び超え、アラビアのスーク(市場)に紛れ込み、
物語を読み進むうちに、世の中の仕組みが何となくわかってくる・・・、そんな
本なのです。
表紙を開けると、路香の足跡を辿る地図。
経済学を学んでいくと、そこには地理も歴史も、哲学も文学も含まれて
いるんだなぁ、と思えてきます。路香と共に旅をする、親戚のお姉さん
(大学院で経済学を専攻中)が最後に、こんなことを言っています。
「経済学は東洋では、経国済民の学、と呼ばれてきました。
国を経(たす)け、民を済(すく)うという意味でした」
2015年の日本の経済、明るい展開は期待出来そうもないけれど、
私たちを救ってくれるはずの経済について、ちょっと関心を持ってみるのは、
いかがでしょう?
この本の魅力は、スドウピウさんの繊細なモノトーン・イラストの力が
大きいかも。 静かに、じっくり考えてみたい、っていう気にさせます。
本の巻末にある「参考文献」のページも、活字の羅列じゃなく、
棚に並んだ本の体裁になっているところが優しいですね。
今月の2週目の日曜は“母の日”ですね。
贈るならカーネーションが定番ですが、最近は花のチョイスも
幅広くなってきました。 だから今年は、バラを贈ってみようかな、
と思っています。
5月はバラが美しい季節でもありますものね。
2015年 5月
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