日々のエッセイ

   
   クリスマス、お正月・・・と、大きなイベントが続いた後に控える2月は、どちらかと言うと
   地味な月といった印象があります。 が、2月にだって、いろいろな記念日が設けられて
   いるのですよ。 有名なのは14日のバレンタインデー、マイナーなところでは、
   17日“天使の囁きの日”とか、28日“ ビスケットの日”とか・・・。 
   そして、2月3日は、誰もが知っている節分です。

                      
   
    豆まき、皆様のご家庭では、やっていらっしゃいますか? うちは毎年、必ずやります。
    大きな声で「鬼は外、福は内」。  最近は“恵方巻の日”としても認知されてきたよう
    ですが、巻き寿司だってちゃんと食べます。 この日にスーパーマーケットへ行くと、
    どうしても恵方巻のコーナーが目につくので、「願い事が叶うなら、やってみよう!」と、
    楽しんでいます。
    今年の恵方、西南西を向き、願い事を心でつぶやきながら、無言で巻き寿司を食べきる
    というのは、なかなかハードなものですよ。(大きかったり、具が多かったりすると、食べ
    きるのも、ひと苦労)  いつからこんなに一般的になったのでしょうね、恵方巻って。

    2月は私事ですが、誕生月でもあるので、好きな月です。 父が私の誕生日の前日
    生まれなので、いつも合同でお祝いします

                                 
         家の近くのケーキ屋さんは、店構えもメルヘンティックで、素材を厳選したオリジナル
      ケーキを作ってくれます。これは、次元大介(ルパン三世に登場する、百発百中の
      ガンマンですね)ファンの人のために頼んだバースディ・ケーキ。 
      マグナムを持つ指先も、チョコレートで繊細に再現されていて、食べちゃうのが
      もったいないくらいです。
      私はどんなケーキを注文しようかなぁ?


                         

          銀座に残る、築80年超えの建物 『奥野ビル』が面白いと聞いて、出掛けて
       みました。 6階建てのビル内の各部屋が、個性的なギャラリーになっているのも
       見所だし、建物自体のノルタルジックで異空間めいた雰囲気も、最近の銀座らしく
       なくて良いのです。
       上の写真は、アンティークショップの店先。 手前に写るポストカードが載った台は、
       遠い時代に使われていた金庫です。

                           


          
          エレベーターも、もちろん手動式。 普通に使えますが、操作に自信が無いので、
       階段にしました。 開かなくなったら、ドキドキですものね。

          








 防災用具も、レトロ感たっぷり。
 中身は最新なのでしょうけれど。




     





     
        階段の片隅に、ひっそり置かれた薬瓶と
        木の実。 そのまま絵になっています。



     
         

   


        

  謎めいた内階段。  ここから上へは「立ち入り禁止」
  の札が掛かっています。  上をのぞくと、深い闇。
  こういうところこそ、私の中の“少年の冒険心”がもたげて
  きて、立ち入ってみたくなるのですが、大人だから
  ルールは守ります、当然。
















          ビルの中には、眼鏡屋さんだとか、帽子屋さん
       だとかも入っています。  この日、ビルで
       すれ違った人たちは、お年寄りがほとんど
       でした。 山高帽をかぶり、ステッキをついた
       おじいさんや、エレガントな着物姿の
       おばあさんなど、まるでこのビルを舞台にした
       役者さんみたいな人たちばかりだったのは、
       なぜでしょう?



                     

           そんな物語の漂う古いビルの中でも、ひときわドラマを感じる部屋が、3階の
        306号室。 ここには、かつて上の写真のような看板が掲げてあったそうです。
        (今は、壁に写真が飾ってある)  その名の通り、スダさんという女性が、
        ビルの竣工から間もなく、ここで美容室を開き、昭和60年代に廃業した後も、
        数年前に百歳で亡くなられるまで、ここに住居を構えていらしたとか。
           
        そして今、この部屋を維持しながら活用しようというプロジェクトが行われている
        ようです。  美容室の扉は当時のまま残され、小窓から中をのぞいてみると、
        すぐそこに大きな丸い鏡があり、お店の様子がしのばれます。 奥の部屋は
        廃墟状態。 少し淋しい光景ですが、ずっと眺めていると、仕上げてもらった
        ばかりの美しい髪型で誇らしげに扉を通っていく、多くの女性たちの姿が
        見えてくるみたい・・・。  不思議な場所でした。

                      

        寒い冬に読むと、心の芯から温まる『北風のわすれたハンカチ』(偕成社文庫)は、
        安房直子さんの初期の三作品が収められた本で、1971年に出版された
        単行本の復刻版です。 牧村慶子さんが描いた、当時の挿絵もそのままで
        (文庫の性質上、モノクロになっている部分もありますが)絵がたくさん
        入っているのも嬉しいし、巻末に安房さんと神宮輝夫さんの対談も載っていて、
        今は亡き安房さんの言葉が蘇ります。  
        この本を読むと、優しさや清らかさが、世の中で一番“強くて尊い”ものなのだ、
        と思えてきます。
        安房さんの物語は家庭的、母性的な雰囲気が漂い(表題作でも、
        寂しい主人公を慰めるのが、愛情のこもった手作り料理だったり・・・)、
        少女の頃は、そこが少し野暮ったく感じられて苦手でしたが、
        大人になって読んでみると、本当に素晴らしい物語ばかり.。
        正統派メルヘンは、こうでなくちゃ、と唸らされる物語集です。

                     
        2月初め、わが家では“味噌作り”に取り組むのが、季節の行事(?)です。
        作るのは夫ですが、大量の北海道大豆を前日の夜、たっぷりの水に浸して
        おく作業を、お手伝い。  堅い大豆が、一晩、水の中で寝かせると、

                        
        こんなふうに、指で押すとつぶれそうなくらい膨らむんです。
        これをコトコト、数時間、アクをすくいながら煮て、麹と合わせて、味噌玉を
        作り、秋までじっくり熟成させれば、自家製味噌の出来上がり。
        長い時間、お鍋に張りついて、煮込む作業は、冬の日を暖かく過ごす
        良い方法かもしれません。 うまく出来たら、秋に美味しい味噌汁を
        作りましょう。


                        風邪に気をつけて過ごしてくださいね。


                                         2015年 2月


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