12月に入ると、新聞の間にケーキやプレゼントの広告がたくさん折り込まれます。
それを見るのが楽しいひととき。 今年のケーキはどんなものにしようかな、とか
あの人に手渡すプレゼントは何がいいかな、とか考える瞬間からもう、パーティの
始まりですね。
これは去年のケーキ。ルージュのケーキを選んだのは新しい試みだったけれど、
みんなで食べるにはちょっと小さめだったかも。 今年はたっぷり食べられる大きな
ものにしようかな。
姪が買ってきた天使のチョコレート。何人も入っているので、並べて飾ると
クリスマスの雰囲気が盛り上がります。
カードは、シンプルなシルクスクリーンのサンタ柄。 上半身が描かれて
いないけれど、二人の表情、想像できますよね。二十代のカップル、いや、
若い夫婦かもしれないなぁ、この二人。 カードを開けると、
Wishing You a Holiday Filled with
Wonderful Surprises
と緑の文字で書かれていました。
今年の冬は、記念切手も可愛いものがいっぱい出ていますね。
絵本『ぐりとぐら』の絵柄の冬らしい切手は、発売当日に買いに行ったら、もう
売り切れていて、局員さんが近隣の郵便局の在庫をわざわざ調べてくれ、無事に
手に入りました。ぐりとぐら、大人にとっては懐かしい絵本、子どもたちも
一度は目にすると言ってもいいくらい定番な絵本ですよね。
クリスマスの本って数あれど、子どもの頃のポップでおもちゃっぽいクリスマスの
空気を思い起こさせてくれるのが、いまは亡き鴨沢祐二さんの『クシー君の発明』
(青林社)という作品集でしょうか。箱入りで、布貼りの装丁が素敵。
1980年代には、よく鴨沢さんのイラストを町で見掛け、代官山(渋谷区)の
路地裏に小さな木造のお菓子屋さんがあり、そこの大きな看板も鴨沢さんの絵
だったなぁと今、思い出しました。
この本の中に『お父さんのクリスマス・ツリー』という絵物語があって、
タイトルからわかるように、まさにクリスマスのお話なのです。 過去のような
未来のような、よくわからない町に住む、真面目なお父さんが、子どもたちを
喜ばせようと何か作っている。子どもの目には、それは「こうもり傘の骨」にしか
見えない。クリスマスの夜、会社から帰ってきたお父さんが、皆の揃ったテーブルに
置いた「こうもり傘の骨」には、長い長いモールが巻き付けられ、あっという間にーーー
光り輝く、見たこともないほど美しいクリスマスツリーになっていたのです。
「これがお父さんの発明だよ」。
作者の鴨沢さんは、稲垣足穂がお好きだったようですが、足穂的な宇宙感が
漂う作品で、クリスマスのどこにでもありそうな、でも、どこにも無いはずの
家族の夜を描いています。 物語の最後に、主人公の少年が「流行の金星風邪」に
かかるくだりは、小川未明っぽい雰囲気もあるような。
馬小屋で生まれたイエス・キリストを描いた絵と、クリスマスの子どもたちを
描いた絵。 カトリック系の幼稚園へ通っていた頃にもらったカードで、とっても
綺麗なので大事にしまっていました。 いったい何十年前の贈り物?
時を経ても、カードの色彩と思い出は色褪せていません。
キラキラ夜を彩るイルミネーションは、12月の風物詩。 表参道や六本木あたりは、
毎年、車で通るついでに眺めるくらいなので、今年は車を降りて、華やいだ街を
ゆっくり歩いてみたいなと思っています。郊外の、広い空間で行われるライトアップも
いいなぁ。
街で見掛けたサンタさん。この真っ白なおひげ、思わず触ってみたくなります。
クリスマスが近づくと、ピザの配達のお兄さんも、商店街のおじさんも、
ショーウィンドウのマネキンも赤い服に変身するので、いろいろな場所で
趣の違うサンタさんに出会え、笑顔になれますね。
楽しいクリスマスを迎えられますように。
先日、新刊『虹色モザイク』(朱鳥社文庫)が出ました。
詳しくはトップページから、この本のタイトルをクリックしてみて
くださいね。見開き2ページで物語が完結する、短い短い物語集です。
良いお年を!
2014年 12月
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