春ですねぇ。おひさまの光がやわらかく、風も心地良くて。
新しいことを始めたくなる4月。フットワークを軽くして、まだ知らない何かを探しに
行かなくちゃ。
4月2日から約一か月間、ギャラリーウシンにて『BOOK ORCHESTRA(ブック オーケストラ)』展を
行います。“スイーツ”をテーマに、六人の作家が共演して、一つの世界を奏でる展覧会です。
本あり、蔵書票あり、クラフトあり、絵画あり、本物のお菓子あり・・・。 春の日に、あまーい
ひとときを楽しんでいただけたら、と願っております。 私はお菓子にまつわる本のセレクトを
担当。自著『コスモス・マジック』(フレーベル館)に“手作りクッキーを食べる”場面があるので、
会場でこの本の販売も予定しております。
20014年4月2日(水)〜27日(日) 午前11時から、午後5時まで
休廊日は、月曜日と4月22日
場所 ギャラリーウシン 埼玉県所沢市小手指町 1−22−13−102
電話 090−9389−6779 (オーナーの細野さん)
参加作家 大野加奈さん 小野寺美樹さん 倉片友子さん
五木田摩耶さん 松田富美子さん そして田村理江です
4月19日(土)午後2時からは、私の『お話会』もあります。スイーツの出てくる物語を
創作して、披露させていただきます。無料なので、是非いらしてくださいね。
上の写真は、『フェイクスイーツ』の専門店のディスプレイで、ご存じアリスのティーパーティ
シーンが再現されています。テーブルに並んだ美味しそうなスイーツは、すべて樹脂粘土や
シリコーンなどで作られたニセ物お菓子。古くからある“食品サンプル”の技術と、現代女性の
“遊び心”が出会って生まれた、日本発のガールズクラフトだそうです。 そばで見ても本物かと
思ってしまうほどの出来栄え。パンケーキの帽子なんて、被ってみたいなぁ。
お菓子には、お茶。 紅茶党の私が今、飲んでいるのは、春に卒業旅行でフランスへ行った
姪がお土産に買ってきた『マリーアントワネット』という麗しき名前の紅茶です。うす桃色の缶が
可愛いし、フタを開けるとバラの香りが濃厚。バラの花びらがたくさん入っていて、ポプリとしても
活用出来そう。
フランスからデンマークへと話が飛びますが、うちの近所で
北欧織物の展示が行われ、チューリップやスミレなど
春らしい花々が織り込まれたタペストリーが、なかなか可憐
でした。 右の写真のような牧歌的な風景も良いなぁ。
デンマーク織は、糸の色を混ぜ合わせないのが特徴と
聞きました。だから色がくっきりしていて、花も風景も
シンプルで明るい感じ。 木の壁なんかに飾ると
温かみがあって素敵だろうなと思います。
同じデンマーク織でも、パターンで織られたものは、
こんな可愛らしい雰囲気。 苺やパンジー、連続した
模様になると、ディスプレイ上のアイコンみたいに
見えてきます。
自分の好きなものを、こんなふうに図案化して
たくさん散らしてクッションカバーなどに応用すると
楽しいかも。
デンマークの児童文学作家さんといえば、まっ先に
頭に浮かぶのが、アンデルセン。北欧つながりで、
スウェーデンなら、リンドバーグかな。
『長くつ下のピッピ』や『やかまし村の子どもたち』など、
日本でもシリーズで広く紹介されていますよね。
そのリンドバーグの『ロッタちゃん』の出てくる絵本は、
おしゃまな子どもの素の部分が描かれ、子ども時代の
気分が大人の心にも戻ってきます。
ロッタちゃんは、ちょうど5歳を迎えた女の子。
可愛い盛り、無邪気で天使のような存在だろうと思いきや、
自分を「あたい」と呼び、兄姉と同じことをしなくちゃ
気が済まない負けず嫌いさん。 自転車を乗りまわす
兄姉を羨み、ついこの間まで使っていた三輪車を蹴っ飛ばし、
誕生日には新しい自転車をねだるのです。
だけど、買ってもらえず、そうなると今度は「かっぱらってやる」と宣言して、おばさんの倉庫に
忍び込み、無謀にも大人用の自転車で坂道をいきなり駆けおりるお転婆ぶり!
怖いもの知らずで、欲しいものはどこまでも追い求める、すさまじいエネルギー。
そうだ、子どもって本来、こういうむきだしの感情を見せつける、パワフルな生き物だったんだ、と
気づかされ、分別ある大人になった読者には、ロッタちゃんの一挙一動がまぶしく、懐かしく
映るのではないかと思います。
桜の花に似たピンク色の花が、ハラハラと
散り、町じゅうが花吹雪に包まれている
様子が、とても綺麗です。
私は大人になってからロッタちゃんに
出会ったけれど、小さな頃に読んで
いたら、もっと親しい友だちになれた
かな、なんて気がしています。
春に久しぶりに神戸へ行きました。異人館の道には
小さなチューリップが花束のようにアレンジされて、
あちこちに咲いていました。 異人館から車で少し
走ったところにあるヴィーナスブリッジという丘へも
今回初めて上ってみました。 それほど高い場所では
ないのに、視界がどこまでも開けて、賑やかな神戸港や
大阪湾、海を隔て淡路島まで、よく見渡せました。
昼間行ったのですが、夜だったら夜景が美しいのだろうなぁ。
恰好のデートスポットなのでしょう、展望台には恋人たちが
結んでいった鍵が、数えきれないほど残っていました。
異人館のミルククラウン(でしょうか?)。
牛乳を注いだ時に飛び散る様が、王冠に見えるというのは、
なるほど、そうですねぇ。 春の日差しの中で、
ミルクの匂いがしてきそうなオブジェでした。
神戸の電車の“優先席”は、東京の電車と違って、
一目でそれとわかりますね。シート自体にカラフルな
ピクトグラムが描かれているのですから。
陽だまりになっていて、ほっこりあたたかな感じの
場所に見えます。
異人館の各館では、部屋に合わせたアートフラワーの展示が行われて
いました。フランス館の書斎に置かれた大きなテーブルには、
赤や青の、国旗をイメージさせる色合いの花々が絢爛に飾られていました。
それでは皆さま、花の美しい春を満喫してくださいね。
ギャラリーでお目にかかれたら嬉しいです。
2014年 4月
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