今年は夏が暑かった分、秋の朝夕が寒く感じられますね。
3時のお茶も、冷たいものより温かなものが欲しくなります。
こんな大きなやかんでお茶を沸かしたら、いったい何人分、
用意出来るのでしょう? 金沢の駅前にあるオブジェです。
二十年来愛用していたコーヒーカップを割ってしまった夫が、
同じ形のカップを探すというので、合羽橋(台東区)へ久しぶりに
行きました。飲食店を始めたい人がここへ来れば、キッチン道具から
店の看板、家具まで全部揃えられるほど、様々な道具屋さんが
ズラリと並んでいます。
レストランのウィンドウに飾られるサンプル料理も、各種、売って
いました。美味しそうな色とりどりのパフェ。樹脂で出来た、
食べられないパフェと知っていても、クリームの質感なんか本物
そっくりで思わず手を伸ばしそう。
ビルのバルコニーがこんなふうにカップの形を模しているのも、
合羽橋ならでは。カップのふちからのぞいた風景は、どんなふう
かしら?と思いながら、通り過ぎました。
合羽橋道具街を歩くこと、二万歩。まっ白で、底に向かってどっしり
ふくらんでいて、あまり重くない理想のカップを探して、いくつも
いくつも食器コーナーを見てまわったけれど、結局、壊れたカップと
似たものには出会えませんでした。 数うち当たればいいってもん
じゃないんですね、人との出会いと同じように。
最近、車の中で聴いているのが、60〜70年代のフレンチ・ポップや
シャンソン。このボン・ボン・フレンチというCDには、『枯葉』が入って
いるせいか、秋の街を走るのに似合います。いかにも女の子っぽい
『夢見るシャンソン人形』や、スタンダードな『パリの空の下』、
当時発禁になったほど官能的な『ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ』
など、一度はどこかで聞いたことがある22曲。
その中でもダリダの歌う『甘い囁き』は、秋のコート姿が似合いそうな
深い響き。エジプト育ちのダリダは、エキゾティックな美人です。
台風が多く、曇りがちな天気ですが、松本俊明さんの
『HOPE』(ポプラ社)を読んだら、ロンドンの町のように、くすんだ
天気も悪くないなぁと思えてきました。 松本さんというと、
作曲家のイメージですが、この本に集められた14のお話は、
どれも読後に自然と微笑みが生まれる作品ばかりで、
一つの歌を奏でるように物語が作られ、文章も良い感じ。
みんなが忙しく通り過ぎる大都会の中にも、よく目を凝らすと
暖かな交流があちこちにあるものなんだ、とハッピーな気分に
なれる物語でした。
紅葉がきれいですね。黄色い葉、赤い葉、緑の葉・・・。
木々がパレットになって、いろんな色を披露してくれる季節です。
染まった葉を拾い、読みかけの本の間に挟んで、
今日一日、栞代わりになってもらいましょうか。
読書の秋ですものね。
日に日に深まりゆく秋を楽しんでください。それでは、また来月に!
2013年 11月
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