日々のエッセイ

                    
 2月に入らないうちから、チョコレートショップやスーパーマーケットには、
 バレンタイン・デーの案内が華々しく掲げてありました。恋人や旦那様に
 あげるもよし、上司にあげるもよし、友だちにあげるもよし・・・。
 バレンタインは季節の挨拶として、気軽に楽しむ風潮になりましたね

    

   町の中の可愛いレストランに、ハートの
  飾りをたくさん見つけました。
  木々の間でユラユラ揺れるハートも
  あればーーー


   
   リスのカップルが仲良く向き合うハートの看板も。
  ハートの形って、見ているだけでも和みます。 うちのダイニングには、
  今、ふわふわのまっ赤なハートのクッションを、部屋のアクセントとして
  置いてあります。 外が寒くても、ハートのおかげで部屋は暖かくなる
  ような。

  2月は受験の季節でもあり、第一週目は、中学受験たけなわ。
 昨年、出版された『夜の学校』(文研出版)では、中学受験生を描いた
 のですが、私も数十年前は、その子たちの仲間でした。(といっても、
 今ほど厳しい受験環境じゃなかったので、ノンキなものでした)
 最初に受けた学校は難関校で、いわゆる記念受験のつもりでしたが、
 それでも不合格の知らせにはガッカリ。洋館めいた試験会場や、
 説明をしてくれた生徒さんの大人びた様子や、算数の長い長い
 計算問題がお手上げだったことなど、今もはっきり覚えています。
  その時の挫折体験をもとに(?)、『冬の避雷針』という短編を書いて、
  学研の小学六年生向け雑誌に発表したこともあります。
              
  上は、合格祈願の鉛筆。
  翌日に受けた学校は、めでたく合格。中高の6年間をそこで
  過ごし、今では「この母校しか考えられない」くらい、思い出深い
  学校になっています。
  私たちの人生は、選択やら選抜やらの連続ですが、「選んだ道(ある
  いは、選ばれた道)を最高!と思って、そこでベストを尽くす」と、
  何でもうまくいくんじゃないかなと思いますよ。
 
 先月末、FM世田谷の『世田谷倶楽部』という番組に、写真家の
 金城真喜子さんが出演され、番組の中で『静かなネグレクト』(愛育社)
 のカバー写真について語ってくださいました。
 (この本は、カバーを外すと、中にも金城さんの写真があるのです)
            
  金城さんがお話されたのは、裏表紙の“ガラスの靴”の写真について。
  青空に向かって、透明なパンプスが、勢いよく舞い上がる
  鮮烈な“構成写真”です。
  これは、本の中の一話「階段の果ての恋人」を再現してくださった
  写真でもあり、また、イサドラ・ダンカンが舞台で靴をほおり投げて、
  裸足で踊り出すイメージでもあるとのこと。
  すごく力強くて、空の果てに新しい世界が見え、希望を抱けるような
  カラー写真です。物語のほうは、切ない夜の場面で終わりますが、
  主人公の明日は「晴れ」のつもりです。
  金城さんの美しい写真を、実際に本で確かめてくださいね。

           
  
  グルメな友人の案内で、吉祥寺(武蔵野市・東京)のシチュー屋さんへ
  行った時、こんなユーモラスなアイスがデザートとして出てきました。
  カエルです。そして、下の層に浮いているのは、「カエルの卵」?
   実はこれ、バジルの種だそうで、おいしく食べられます。ちょっと
  ドキッとさせられる、工夫たっぷりのデザートでした。
   
   冬はコートを羽織るので、ご近所へ行くには、いつものセーターで、
   と手を抜きがち。それを反省して、こんな本を読んでみました。
               
   『絵本アイビーギャル図鑑』(著・穂積和夫さん・愛育社)という
   可愛い一冊。185ページ分のアイビーイラストが詰まった、
   見ているだけで楽しくなる本です。本の帯は、赤いジャケットの
   イラストで、その帯をとると、黄色いクルーネックシャツ。ブック
   カバーを外せば、キュートな裸の女の子。 まるで着せ替え遊びを
   しているみたいな本作りです。
   アイビーって、「昔,流行ったね」と懐かしがる人が多いけれど、
   アーガイルのセーターに、靴はローファーの学生さん、今もよく
   見掛けます。  アイビーのポリシーは、伝統的なものを愛する心、
   と、この本に書いてありました。 明るくて、健康的で、きちんとして
   いるアイビーは、時を超えて愛されるスタイルなのでしょうね。
               
 アイビー少女たちの愛読書として、『赤毛のアン』と『足長おじさん』が
 挙げられていました。上のイラストは、赤毛のアン。 赤毛のアンは、
 日本にもたくさんファンがいますね。そういえば私は、この物語を
 読まずに大人になってしまいました。 友情、恋愛、結婚・・・、家庭的な
 夢が託され、主人公と一緒に成長できる物語なのですが、子どもの
 頃の私は、『不思議の国のアリス』みたいな、どこまでも非現実な
 世界に憧れていたので。(今でも、そうかな?)
  名作と言われている本でも、読んでいないものがたくさんあるのに
 気づき、今年は6月中旬くらいから『伝えたい物語』展というテーマで、
 世界の名作を紹介する展覧会をやる予定です。そのため、子どもの頃に
 読み忘れた本を,今さらながら読み返しています。大人になってから
 読むのも、結構、楽しいですよ。
  展覧会の詳しい内容は、また近くなったら、お知らせしますね。
              
 アリスはうさぎを追って、不思議な世界へ誘いこまれますが、
 横浜・山手町(神奈川県)の、誰も住んでいないような家のポーチに、
 こんなうさぎの飾りを見つけました。うさぎも可愛いけれど、その横に
 描かれた落書きも、雰囲気がありました。女性の視線が艶っぽい。

                         それでは、愛ある2月を!
             
                                  2013年 2月


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