日々のエッセイ

  あけましておめでとうございます。 今年はヘビ年。 私の住む町は、
  昔からヘビを守り神として奉っていて、今でも家の門にワラで作ったヘビを
  飾る家が残っています。だからヘビには親しみを持っているのです。
              
 お正月に付き物の『お年玉』。 子どもの頃は、お金よりもポチ袋の
 デザインにひかれて、いただいたお年玉の袋を大切にとっておいたもの
 です。  あげる側になった今も、ポチ袋選びは楽しんでいます。
 今年は、千代紙の専門店『いせ辰』(台東区・谷中)の、こんな柄にしました。
                    

  縁起の良い赤を使った袋で、福を届けられますように。
  お正月に付き物って、他にもいろいろありますが、『羽子板』なんかも
  欠かせませんね。凧あげ、羽子板、コマ回し・・・やっている子どもたちを、
  とんと見なくなりましたが。
                  

  刺繍の施された綺麗な羽子板は、金沢の伝統工芸館で見たものです。
 お正月らしい風景に会いに、北陸へ小さな旅をしてきました。
    

  「金沢の街には、三十年前の東京の
  風景が残っているんだよ」と、
 タクシーの
  運転手さんが話してくれました。
  引き戸のある家や、細い路地、間口の
  狭い店や、舗装されていない道・・・。
  都心に住んでいた私が覚えている
  三十年前の東京は、すでに高層ビルが
  いくつも建った合理的な町並ですが、

   金沢のお茶屋街を歩くと、知らなくても
  知っていたような懐かしさに包まれます。
  街で見掛けた、お正月らしいディスプレイ。
  ウィンドウ越しの着物は、写真では
  よくわからないと思いますが、緑地に
  金の糸で、とても綺麗でした。
    

  お茶屋街の軒先に吊るされた提灯。
  こうして見ると、日の丸の赤は
  鮮やかですね。 今年の私のラッキー
  カラーは、赤とオレンジと黄色だそう
  なので、たまには赤い服なども着ようかな
  と思う年頭です。
  お茶屋さんの中には、昼間なら内部を
  見学できるお店があり、入ってみたら、
  格子窓ごしに眺められる中庭が
  雪景色で、日本画のような風情でした。



  
 金沢まで来たので、ついでに世界遺産を見て帰ろうと、岐阜県の
 白川郷に足を伸ばしました。  一面、雪、雪、雪・・・。 雪国の人に
 とっては、厄介なのでしょうが、冬でも雪の降らない町に住む私には、
 やわらかな雪に最初に足跡をつける感動で、子どもみたいに長靴で
 歩きまわりました。
                

   大きな犬が雪に喜んで、あたり一面をすごい勢いで駆けていました。
  ここに住む犬なのでしょう、やって来た郵便屋さんにまとわりつき、
  遊んでいました。 世界遺産の集落にも、もちろん年賀状を運ぶ
  郵便屋さんが来ますし、お店のトラックも通ります。 合掌造りの家に、
  よく見ると衛星放送のアンテナがつき出していたりして、夢のような
  銀世界に日常が溶け込んでいるのが良い感じでした。
  

 あちこちで雪ダルマを作っている人を
 見かけます。こんなふうに手袋まで
 はめたものもあれば、青いバケツを頭に
 かぶったもの、ただ雪ダマを二つ積んだ
 簡単なものまで、いろいろ。
 時間があったら、私も雪ダルマ作りに
 トライしてみたかったですね。
 訪れた日は、珍しく暖かな日だったそうで、
 雪がゆるんで、家々の屋根からドカドカッ
 と、雪の塊が落ちてくるのには、驚かされ
 ました。 家の出入り口でも平気で落ちて
 くるので、頭にあたったら、さぞ痛いだろう
 なぁ、などと余計なことも考えて。



  白川郷の家の中にも、ペコちゃんと
  ポコちゃんがいました。ちゃんと、
  お正月らしく着物で正装して
  います。 この集落では、
 “さるぼぼ”と呼ばれる、赤ちゃん
  型の布人形を、至るところで
  見掛けますが、お守りとして
  大切にされているそう。のっぺらぼう
  で、手足をピンと伸ばしたデフォルメ
  された姿は、ぺこちゃん同様、
  可愛かったです。
               
  金沢土産として自分に買ったのは、上の便箋。 ざらざら紙のレターと
  書いてあって、その素朴な紙質や絵柄に惹かれました。小さいサイズ
  なので、ちょっと一言、という時に。
    
  

     昨年末に、国土社から出た
    怪談図書館シリーズのガイドブック
    『はじめてのたんけん』に、ロマンティックな
    感じのホラー短編を書いています。
    お誕生日に両親から、アンティークの
    金色のベルを贈られた少女が、
    そのベルのために体験する怖いお話。






       金色のベルは、本当にただのベルだったのか?
     結末を暗示する挿絵が、こちらです。
     どこかで見掛けたら、是非ページを開いて
     みてくださいね。

     2013年、あんな話も、こんな話も
     書いてみたいと、わくわくしています。
     これからも、よろしくお願いいたします!

                                 2013年 1月

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