日々のエッセイ



今年の夏は、ひまわりをよく見掛け
ます。うちの前のお家にも、こんなに
可愛いひまわり。少し歩いた先に
ある車屋さんのショップまわりも、
ひまわりに縁取られています。
去年の原発事故で、ひまわりの根が
養分に似ているセシウムを吸い取る
という噂が広まって、植えた人が
多いのでしょうか?(あの説は
根拠が無かったようですが)

    ともあれ、ひまわりはやっぱり、真夏に欠かせない花ですね。
                            

 麹町(千代田区)の大きな道路沿いに、
 しょんべん小僧のような男の子の像が
 建っているのですが、誰が着せるのか、
 季節に合わせて衣替えをするんです。
 この間通ったら、しっかり夏バージョンに
 なっていました。はっぴ姿に釣竿。
 夏休みなど無関係にスーツで行き来する
 ビジネスマンたちに「大変だねぇ、大人は」
 とでも言うように、のんびり竿を掲げていま
 したよ。






上野でパンダのパンを買いました。
シンシンの赤ちゃんは、残念でした
ね。赤ちゃん誕生は、連日トップ
ニュースになって、上野もおおいに
活気づく勢いだったのに。
日本に初めてパンダが来た時、
新聞の記事をスクラップして、巨大
ぬいぐるみみたいな動物に夢中
だった私ですが、大人になった今は
シンシンやその他の貴重な生き物に
対して、もっとそっとしておいてあげたいな、と思ってしまいます。


 この風情ある建物は、日本民藝館と
 いいまして、駒場(渋谷区)にありま
 す。民藝的な美を保存し、伝承して
 いこうという博物館で、建物は築80年
 近く経っていますが、今の季節でも
 エアコンなしで涼しい、風通しの良い
 日本家屋です。ひんやりしたアメ色の
 床、高い天井、大きな窓ガラスから
 眺められる石を敷き詰めた庭。
 谷崎潤一郎が書いた『陰影礼賛』と
 いう日本古来の薄暗い家の美しさを
 讃えた作品のことを、ちょっと思い出し
 ました。こういう所に住んでみるのは
 良いだろうなぁと思う反面、谷崎自身も
 近代的な家に住んでいたことを思うと、
 粋に暮らすのもラクじゃないんだろうなぁと考え直しました。

民藝館でやっていたのは、工芸家
バーナード・リーチの作品展。三歳まで
日本で暮らしていたというリーチの陶芸
には、東洋と西洋の印象がうまく混ざった
今見てもお洒落な絵柄が付いていて、
左の『飛びウサギ』の絵は、大正期の
ものとは思えないくらいモダンです。
 リーチの母国は、イギリス。
 今年のイギリスは、ロンドンオリンピック
で大変な賑わいですね。





  駒場東大前の駅から、民藝館
  まで続く道は、静かな住宅街で、
  デザインの凝ったステキな家が
  並んでいます。 その中の一軒、
  塀にこんな焼き物を埋め込んで
  ある家が。 展覧会の余韻を
  楽しめる散歩道です。



絵で心を満たしたら、今度はお腹も
どこかで満たしたい・・・。ということで
駅前に広がる東京大学の敷地の
中へ。 構内にレストランがあり、
リーズナブルに、ゆったりしたランチ
タイムを過ごすことが出来ました。
都心にも静かな場所がたくさんある
んです。




   新聞の書評にエドワード・ゴーリーの
  編集した怪談本が載っていたので、
  本屋さんへ急いだら、どこも在庫なし。
  で、ネットで注文したら、翌日届きました。
  ネットは便利です。 ゴーリーの本は、
  良いという人が多いのですが、なんとなく
  読まずに過ごしてきました。 この本は、
  ゴーリーの好みで集めた十二の怪談から
  成っていて、それぞれのお話に、ゴーリー
  自身の絵が添えられています。
  どれも面白い! 怪談集といえば、必ず
  入っている『猿の手』も、ここにあります。
  ゴーリーのペン画は、一見、ぜんぜん不気味じゃないのに、よく見ると
  怖くなる雰囲気。そして、僭越ながら「私も絵を描いてみようかな」と
  思わせる、親しみの持てるタッチです。


 
 日本の怖い話も、面白いものがありますよ。
 坂東真砂子さんの『見知らぬ町』は、渋い色
 合いの挿絵も、不安感を煽ります。
 狭いマンションで赤ちゃんを育てる新米ママが、
 家庭での閉塞を逃れようと、ベビーカーで
 夕暮れの道を歩くのですが、ふと足元を見ると
 そこに檻のような無数の影が・・・。
 電信柱の影だけれど、家を出ても、人は皆、
 宇宙という閉塞に囚われているんだと知る
 のです。 やるせなさをつきつけられる怖い話。


 こわい話いは、オバケがつきものですが、
 オバケと言っても、こんなに可愛いオバケ
 もいます。ドイツの児童文学作家、
 プロイスラーが書いた『小さいおばけ』
 (徳間書店)は、好奇心旺盛なオバケの
 冒険に、暑さを吹き飛ばせそう。
 夜のうちは白い姿だけれど、昼に活動する
 時は、日の光で黒くなってしまい、その
 黒オバケぶりもワンパクな感じで可愛い
 です。





 夏の過ごし方で特に気をつけているのは、
 部屋をスッキリさせること。 一度取り出し
 たものは、所定の位置にすぐに戻すよう
 心掛けています。 当たり前のことだけれ
 ど、暑いとつい、「後で・・・」となってしまい
 がち。 引っぱり出した資料なども、机に
 積んでおくと、いつの間にか山になって
 しまい、そうなると良いアイディアも
 湧かなくなり、部屋の空気もドヨンとして
 くるので、夏は特にスッキリ、そして
 シンプルに暮らせるようにしたいです。
 今のところ、そうなっている・・・かなぁ。


  残暑も厳しそうですが、皆様、元気に過ごしてください。
                                     2012年8月


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