去年の秋から始まった、童話創作講座が、先月末で一応、終了しまし
た。アットホームなカフェでの時間は、私にとっても楽しいひととき
でした。
ご好評頂き、5月末から、同じ場所で、講座の続きが始まる予定です。
今度は、受け持ち時間の前半を、未就学児対象の『絵本読み聞かせ』
タイムにして、人気のある絵本を、小さい子たちと一緒に、味わって
みたいと考えています。
講座をやっている場所・下総中山(千葉・市川市)は、以前のエッセイ
にも書いたように、和のティストと現代っぽさとが混ざった、良い感じの
街です。 今の季節は、法華経寺に通じる参道の商店街で、
街をあげての“おひなまつり”をやっています。 それぞれのお店に、
それぞれのスタイルのお雛様が飾られていて、女の子でなくても、
ウキウキしてくるでしょう。
その商店街の一角に、清華園という、自由に入れる休憩スポットが
ありまして、日本間に豪華な七段飾りや、つるし雛がいくつも並び、
裕福な女の子の家に遊びに来たみたいな気分になれます。
こんなふうに、季節の行事をみんなで楽しめる街って、いいですね。
雛祭りのお囃子に、ピアノは使いませんが、子どもの頃に練習した
バイエルのテキストを、ファンシーショップで見つけました。本物の
楽譜ではなく、ミニサイズのノートなのです。 昔のバイエルの
表紙を忠実に再現していて、上の赤い表紙(上巻)の他に、オレンジの
表紙(下巻)もありました。 ピアノは中学受験のために、小学校5年
くらいで止めてしまいましたが、このノートを見ると、懐かしい。
これを見つけたお店は、旗の台(品川区)の駅のそばです。品川から
乗り換えのある小さな駅には、一度も降りたことがなかったのですが、
美食家の友人が、「旗の台の“くるみ第三楽章”は、美味しい」と言って
いたので、そのユニークな名前を持つケーキを探しに行きました
駅のそばのケーキ屋さん『マロニエ』です。東京オリンピックの時に
開業されたそうで、店構えも、なんとなく昭和レトロな雰囲気。
くるみがギュッと詰まった、自家製のケーキは、1ピースが二百円。
ヌガーのような歯応えと、くるみの香りで、見た目は小さくても
おなかいっぱいになります。 お店のご主人が、クラシック音楽の
愛好者とのことで、“くるみ第三楽章”という、メロディーが聞こえて
きそうな名前がつけられたそうです。
先日、姪から、こんなロマンティックな栞をプレゼントしてもらい
ました。香水瓶の形をしていて、優雅に読書が楽しめそう。
こんな栞に相応しい本といえば、愛蔵している
『A VICTORIAN POSY』がどうかなと思い、写してみました。
この本は、大日本印刷に勤めていた頃、製版を担当していた方が、
「とても綺麗な本がある」と紹介してくれたのです。 箱入りで、
本自体に花の香りが練りこまれ、甘い気分でページを開くと、
ビクトリア時代の女性や花の絵が,詩と一緒に華やかに並んで
います。
電子書籍では、まだ香りつきの本まではありませんから、
紙の本ならではの工夫ですね。 (とはいえ、開発も時間の問題
でしょうが)
上のオードトワレは、プロバンスのトマトという名前の香りです。
本当に、青いトマトみたいな匂いに思え、さわやかです。
トマトといえば、最近、ダイエット効果があると注目されていますね。
そう言われない前から、サラダには欠かせない食材で、ほぼ毎日、
食べていますが、効果があるのかどうかは・・・・。
ゴブリン書房から出ている、西川紀子さんの本『わたしの
しゅうぜん横丁』という可愛い本があります。 西洋風な町に、
大切なものを修繕する店が並ぶ横丁があり、ひとつの店が
ひとつの物語になっている短編連作です。
三十年前に発刊された本で、挿絵も新たに復刊して、乙女心を
くすぐる優しい本になっています。
中でも、この一編が好き。
キスタって、ご存知ですか? 化粧箱のことらしいですね。
女性が、大切な口紅や香水を、そっとしまっておく、綺麗な細工の
された箱。 船乗りの夫を持つ老婦人が、夫から贈られた
帆船型のキスタを、ここで修繕します。
「キスタの中には、その女の人だけの世界が、とじこめられている
ような気がするんだ」と、店の若い主人が言いますが、
女性の持ち物には、なるほど、その人だけの独特の香りが
あるものですね。 この帆船には、「不幸を一つひきかえに
しても、かいでみるねうちがある」まぼろしの香水と共に、
海で遭難した夫の手紙が託されているのでした。
季節はいよいよ、春!
花の香りを求めに、散歩をしてみましょうか。
2012年3月
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