九月になったからといって、急に何もかもがガラリと秋モードに
なるわけではないのですが、やっぱり風景もしっとりしてきて、
気持ちが落ち着きます。秋の夜長、たまにはメールではなく、
ペンを執って、ご無沙汰しているあの人に手紙でも、どう
ですか?
上の絵封筒は、私がギャラリーウシンのオーナーさんに
宛てて作ったものです。9月7日から
ギャラリーウシンにて毎年恒例の絵封筒展が開催され
ますが、今回は私も参加させていただきました。
ドイツのロマンテイック街道あたりをイメージして、
吊り看板に切手を貼ってみました。中のカードは、お家に
見立て、カーテンはリボンで作っています。身のまわりに
あるもので手作り封筒を作ってみるのは、楽しいです。
こちらは、ギャラリーウシンのオーナーさんからの
絵手紙。切手が四葉のクローバーにコラージュされて
いたり、お手紙にハートの切り抜きが紛れこんで
いたり、可愛い計らいが嬉しくなります。
ギャラリーウシン efuto展(絵封筒展)
9月7日(水)から18日(日) 11時から17時
休廊は月曜と火曜
埼玉県所沢市小手指町1−22−14−102
п@04−2997−8720
さて、読書の秋に、子どもの頃に読んで以来、ずっと
棚に置いてあった『星の王子さま』を再読しました。
手元の本は、昭和四十三年の発行。それでも当時すでに
二十二刷を重ねていたのですから、人気ぶりが伺えます。
当時の本は、どれも箱入り。文庫本でさえ、はじめは
いちいち箱に入っていたのを思い出しました。おかげで、
本がきれいに保管でき、贅沢な時代だったなぁと思います。
本には手紙がはさまっていて、小学校3年くらいの私が、
感想文の代わりに書いた『星の王子さま』の後日談でした。
十年後の砂漠に、金の砂をけって、星の王子さまが一瞬、
姿を見せる・・・という内容で、砂漠の絵まで描いてあって。
当時は、とても難しい話だなと感じ、悲しい最後場面
ばかりが印象に残ったものですが、再読してみると、
はかなげな王子さまの、芯の強さが伝わってきて、
パイロットのほうが幼く見えるほどです。
名訳の内藤櫂さんは、この作品で初めて口述筆記を試みた
そうで、耳に優しい詩のような文体ですね。
再読のきっかけは、寄居(埼玉県)のサービスエリアへ
行ったこと。最近、高速道路のサービスエリアがお洒落に
なっていると聞きますが、ここは丸ごと『星の王子さま』
のテーマパーク。フランス風のレストランがあり、売店
には、ありとあらゆる『星の王子さま』グッズや、各国版の
本が売っているのです。王子さまの彫像だって、ありました。
トイレの壁だって、物語のひとコマ。エリア内には、お話の
名場面を抜き出したパネルもたくさん飾られているので、
読んでいない人は読みたくなるし、かつて読んだ人は
もう一度読みたくなる、そんな引力のある、かなり演出の
徹底されたサービスエリアでした。
そういえば、『星の王子さま』を読んだ頃、実写版の
フランス映画があって、それを劇場に見に行った夜中に、
うちの隣が火事になり、大きな窓ガラスが真っ赤に染まった
のを覚えています。(幸い、うちには被害がありません
でした)そんなこともあって、印象深い物語なのです。
寄居サービスエリアを通って、関越道をどこまでも、
まっすぐ走ると、新潟へ。去年に続き、今年も新潟まで
ロングドライブをして、福島潟(新潟県)に到着しました。
水の駅・ビュー福島潟の建物から見おろすと『がんばろう,
日本』という文字が浮かびあがった田んぼアートが。
潟湖を散歩すると、イズバーと呼ばれるロシアの木の
家が建っていたり(左上)、昔の民家に竹馬がたてかけて
あったり、薪の家があったり。田園風景に浸って、のんびりと
初秋の訪れを感じることが出来ます。
せっかく行った新潟なのですから、ご当地グルメを。
タレカツや、へぎそば、納豆入りのビッグ油揚げを
食べました。おいしかった。
新潟のB級グルメ、“イタリアン”なるケチャップ味の
麺も食べたかったのですが、今回は時間がなくて残念。
代わりに『新潟ふるさと村』で見た、ナポリタンの写真を。
宙に浮くフォーク。決して超能力を使ったわけではありま
せん。食品サンプル制作の体験教室が行われていて、その
作品例なんです。おいしそうですねぇ。
秋の夜に、恋の短歌は、いかが?
『君になりたい』(岩崎書店)は、十四編の恋の短歌を
集め、穂村弘さんの短い解説と、可愛いイラストで飾られた
素敵な本。左ページだけが観音開きになっていて、開くと
三ページ分のワイド画面になるところも凝っています。
観覧車回れよ回れ、で始まる栗木京子さんの短歌は、
すごく共感の持てる片思いの歌で、知らず知らず諳んじて
いました。
良い秋をお過ごしください
2011年9月
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