日々のエッセイ

 今年の夏は、格別に暑かったですね。ずっと続きそうに思われた
 暑さも、少しずつやわらいで、窓辺に吹き寄せる風にも、物憂げな
 涼しさが混じってきました。
  秋は、一人で何かをするのが似合う季節。じっくり自分と向き合って、
 開放的過ぎた夏には出来なかったことを、やってみるのもいいかもしれ
 ません。
             
 
 上の写真は、新潟市で見掛けた幼稚園バスです。このごろ、こういう
 変形バスが、よく走っています。 こうやって二台並んで、お城ふうな
 園舎に収まっている風景は、遠くからでも目につきます。
 これに乗って通園した子どもたちは、大人になっても、このバスのことを
 忘れないでしょうね。
             

                     
  新潟市は、賑やかな町。大通りの先に、古い家屋の並ぶ、上古町と
 いう通りがあります。 “カミフル”と呼ばれる一画で、年季の入った
 和風の家が、若い人たちのセンスあふれる店舗に改造され、新旧が
 うまく溶け合った小粋な通りです。路地裏のいたずら描きも、アート。
              

  腕のながーいオバケが浮遊する店先。思わず、引き寄せられます。
 はじめて訪れる町なのに、一度歩いただけで、親しみが持てるのは、
 懐かしい構えの家々のせいでしょうか、手作りっぽい店たちのあたたかさ
 のせいでしょうか。
  何かが待っていそうな狭い路地もたくさんあり、地図なんか持たずに、
 気の向くまま、探検しました。面白いものを見つけるたび、カメラで
 パチリ。
                
  関東に住んでいる私は、赤青の信号機は、たて並びが当たり前と
 思っていたのですが、新潟では、上の写真のように、横並びでした。
 地域によって違うところを発見するのが、旅の面白さです。

                

 市内には、こんな折鶴を飾ってある場所も。 折ったままの形で、
 赤銅色に輝いていました。鶴の折り方って、覚えていますか?

   さて、秋といえば、お月見。日本古来の風流なイベントの一つです。
 真ん丸い満月の中には、うさぎが住んでいるって、今の子どもたちも
 信じているのでしょうか?
                
 家で使っている急須には、うさぎが二羽。取っ手のところと、フタを
 つまむところに、うさぎがいます。美味しいお茶をいれ、月見まんじゅうを
 用意して、縁側で月を見上げ・・・たいところですが、我が家には、
 縁側がないので、二階の窓から眺めましょう。
  この季節になると、本屋さんでは、月にまつわる絵本が並びます。
 月の絵本、結構いっぱいあります。中でも好きなのは、『月のオペラ』。
    

 作者は、『枯葉』のシャンソンで知られるジャック・プレベール。
 寂しく暮らすミシェルは、夜になると月へ行って、月の人たちと遊んで
 心を晴らします。月では、毎晩のようにオペラが開催されているのです。
 絵本には、月の人たちが歌うオペラの楽譜まで付いていて、
 実際に演奏してみると、もっとお話の世界へ入りこめるでしょう。

  可愛らしい絵なのに、夜の色のせいか、とてもシックな絵本。ラストは、
 反戦メッセージが声高に書かれています。
        
              

  読売新聞8月29日付けの読書欄に、『あの子を探して』の広告が
  載りました。これを見て、「読んでみたいなぁ」と思ってくださるかたが
  いたらいいなぁと願っています。秋は、落ち着いて読書が出来る
  季節ですものね。
                                   2010年9月
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