「岩手県大槌町で、津波の被害を受けた5つの小中学校の仮設校舎がまもなく完成し、来月20日から、仮設校舎での授業が始まる見通しになりました。」(NHKニュース「岩手・大槌町 来月仮設校舎へ」 2011年8月18日)一昨日の朝のニュースで放送されていたものです。復興の歩みを伝える話題で建設工事の映像とともに紹介されていました。その映像の中に、ほんの数秒ですが気になるシーンがありました。
工事現場全体や校舎の内部、作業員がパネルを運んだりボルトを締めている様子などが少しずつ映されている中の、脚立の上で作業している様子が気になりました。その作業員は脚立の天板(脚立の一番上の部分)の上に立っていたのです。
おじさんの知り合いは室内での踏み台代わりに持っている高さ70センチくらいの小さな脚立の天板の上に立って壁を拭いていて危うく転びかけたそうです.おじさんは脚立の天板に立ってはいけないことを知っていましたが、知り合いは知らなかったと言っていました。
このつぶやきを書くために脚立の取扱説明書やメーカーのホームページ(長谷川工業のホームページに分かりやすく書かれています)を調べたのですが、天板に立ってはいけないことはもちろん書かれています。そして正しい使い方として、天板や踏みざん(脚立を登るときの横棒)に体を当てて(天板の一段下に立つと、膝より下の部分が天板に当たることになります)安定させることと書かれています。天板に立つと体を当てるものがなくなるので不安定になるのですね。
脚立を使用中の事故についても独立行政法人製品評価技術基盤機構の事故情報の検索ページで調べてみました。「脚立」と「天板」の両方をキーワードに検索すると41件ヒットしました。それらの事例の事故通知内容の記載では「突然支柱が曲がったため・・・」というような記述が多かったのですが、事故原因の項目をよく読んでみると「バランスを崩して転倒した際に身体がぶつかって支柱が変形」というのがほとんどでした。
このことからも脚立の誤った使用は非常に危険だということが分かるのですが、正しい使用法を知らない人が多いのではないでしょうか。脚立をまたいで作業をしている姿もよく見かけていましたが、その状態での事故もかなりありました。正しい使用法が広まる以前に、してはいけない危険な使用法が広まっているのではないかとさえ思いました。
そのような中での一昨日の映像です。あのシーンを見た人が、「天板に立ってはいけないと書かれていることは知っているが、建設現場の作業員が天板に立っているのだから問題はないだろう」と思ってしまうのではないかと心配になったのです。
スポーツの中継などでもカメラを向けられる観客は奇抜な格好をした人ばかりに思えます。同様にニュースなどでも強風時に傘を差して自転車に乗っている人が映されるなど、非日常というか、してはいけないことをしている人の映像が多いように思えてなりません。
よりインパクトのある映像を求めてのことでしょうが、見る側がそれが当たり前のことだと、知らず知らずのうちに受け取るとしたらマスコミが誤った方向に誘導していることになるのではないでしょうか。
まずはNHKの意見を聞いてみたいと思います。