「おきゃく」の楽しみ 〈その一〉

2007年3月31日

「土佐の『おきゃく』」というイベントをご存知でしょうか。高知市の中心街をメイン会場として昨年の3月に開催されたものです。お酒だけでなく、踊りあり音楽ありと多彩な催しが9日間にわたって繰り広げられたのです。

「おきゃく」については、「土佐の『おきゃく』」のホームページ で説明されていますが、最近はあまり「おきゃく」という言葉が使われなくなったように思います。

おじさんは「おきゃく」というと神祭を思い浮かべます。おじさんの実家には3つの集落があり、それぞれ違う日に神祭があります。当然、夜は「おきゃく」があり、他の集落の人を招くのです。もちろん他の地域から来る人もあり、おじさんの友人は高知から泊まり込みで来ていました。

その友人達はおじさんの家だけでじっくりやるのですが、地元の人達は招かれた家を回るので何軒もはしごをすることになります。おじさんも一晩に十軒ほど回ったことがありますが、多い人では二十軒以上というのを聞いたことがあります。

その頃は招かれた人達が行き交っていたので通りも賑やかで、招かれてない家に引っ張り込まれたりすることもありました。

でも、最近はこの「おきゃく」をする家が少なくなりました。続けている家でも、親戚やごく親しい人だけを招くというようになっているようです。

確かに招待するためには準備も大変ですし費用もかかります。また、接待にも気を使いますのでなかなか大変な行事ではあるのですが、つきあいを深める良い機会ではあったので寂しく思います。

話は「土佐の『おきゃく』」に戻ります。去年は最終日に行きました。まず中央公園で生ビールを買って、飲みながら出店を見て回りました。その中で、南風舎という出店の沖縄黒豚の塩焼きに惹きつけられました。焼けるまでに少し時間がかかったのですが、これがとても美味しかったのです。

それから大橋通商店街で皿鉢祭りを見たのですが、豪快に飾り付けられた皿鉢料理よりも、乾物屋の店先に座り込んでいるグループに目がとまりました。

何とそこでは七輪を囲んで「おきゃく」をしているのです。人通りの多い商店街に座り込んで飲むと言うとおばさんは嫌がるのではないかと思ったのですが、すんなり「いいよ」と言ってくれました。

早速そこの店で「ニロギ」丸宮 宮本商店のホームページにいい雰囲気で紹介されています)とお酒を買って空いていた七輪で焼き始めました。焼きたてのニロギを肴に飲むお酒はまた格別です。

そばを通る人が珍しそうに見ていきます。「うまそうやねえ」と声を掛けてくる人も何人かいました。「一杯どうですか」と一升瓶を差し出せば、そのままおきゃくの輪が広がるところだったでしょう。

〜 続く 〜

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