TRIO MUSIC LIVE IN EUROPE
CHICK COREA(p), MIROSLAV VITOUS(b), ROY HAYNES(ds) 1984年9月録音
JAZZ批評がNO.50の区切りを迎えた。
区切りという意味で、現在の僕のJAZZに対する想いのきっかけを創ったチック・コリアに敬意を表し、もう1枚のお気に入りを紹介しよう。
名作 "NOW HE SINGS ,NOW HE SOBS"(JAZZ批評 1.) と同じメンバーによるヨーロッパ・ツアーのライブ。あれから16年が経っている1984年の録音。
僕にとって、チック・コリアは好きなプレイヤーの一人なのだが、好きなCDときらいなCDが両極端。最近はきらいな作品の方が多くて、いつ、見返してくれるのかと期待を込めて待っている、そんな状況だ。
さて、このCDは昔のメンバーと、久々に心の通う演奏をしているお気に入りの1枚である。圧巻は4曲目「前奏曲第2番〜モック・アップ」のピアノ・ソロ。何と言っても「美しい!」
そして「色香」と「ダイナミズム」に溢れている。特にイン・テンポになるあたりから面白くなってくる。流れ出てくる珠玉の音色、軽やかなリズム感に溢れた切れの良いフレーズ、時に激しく、時に優しく包み込む音、そして音。
抜群のテクニックとあらゆる技法が繰り出される中でも無機的にならず、人のぬくもりを十分に感じさせる暖かさと優しさ、そして、溢れ出る情感がビンビンと伝わってくる。
ソロが終わるときの聴衆の反応が全てを語っている。一呼吸おいて「やるなァ」「まいった!」という声が聞こえてくるかのような、半ば唖然とした反応なのだ。
1曲目の "THE LOOP" はコリアの美しいオリジナル。ピアノのイントロから3者が融合するところが素敵だ。やたら「お洒落」なのだ。
2曲目 "I HERE A RHAPSODY"、3曲目 "SUMMER NIGHT-NIGHT AND
DAY" といったスタンダードナンバーも楽しい。この3者のインタープレイは聞きものだ。
7曲目 "MIROVISION" はベースのヴィトスのオリジナル。ベースのアルコ弾きをフィーチャーした面白い曲。斬新な響きを堪能できる。繰り返し聴いているうちに味が出て来る。
以上がトリオの演奏で残りの2曲をそれぞれ、ベースとドラムスのソロ演奏となっている。
これはご愛嬌だ。
リラックスした中にも緊張感と躍動感に満ちたコンサートであったことは間違いない。
聴衆の一人として、ライブで聴きたかった!「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。 (2002.02.08.)
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原点に戻ったコリアのトリオ・ミュージック
聴衆の反応が全てを語っている。
唖然!そして、喝采!
CHICK COREA