KENNY DREW
1曲目の最初の2小節を聴けば全ての察しがつく

最良のパートナーを得て、ケニー・ドリューが
水を得た魚の如く嬉々として泳ぎ回る!
KENNY DREW TRIO "DARK BEAUTY"
KENNY DREW(p),NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN(b),
ALBERT"TOOTIE"HEATH(ds)   1974年5月 スタジオ録音

1曲目の最初の2小節。これで決まり!
ニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセン(実に長い名前だ!)のベースがいきなり唸る!
大概、これで度肝を抜かれる。太い生々しい音。ベースのド迫力で始まる12小節のブルース。ペデルセンは1970年代以降のヨーロッパを代表するベーシストだ。
ケニー・ドリューは、まさに「伴侶」とも言えるベーシストを得て、大いなる変革を試みた。かつてJAZZ批評 39.で紹介した1956年とはまるで別人のように活き活きと瑞々しい。ここでは3人が均等に拮抗し、互いに刺激しあう絶妙のバランスが生まれている。ケニー・ドリューは新天地・ヨーロッパに渡って花開いた代表的なジャズ・プレイヤーといえる。

まさに「水を得た魚」のように自由奔放にアドリブをとる。ベースとドラムスの呼吸も申し分ない。リズムセクションが「あとは任せろ!」というかのような互いの信頼感、安心感を感じることができる。

6曲目の "IT COULD HAPPEN TO YOU"を 聴いて欲しい。ピアノ・ソロのテーマから2ビート→4ビートのアドリブに入っていくのだが、ミディアム・ファーストの4ビートになってからの演奏が凄い。ドリューのピアノは本当に楽しげに鍵盤を駆け巡り、ヒースの太鼓はペタペタ、ビシビシと煽る。この太鼓、当時としては革新的な音色だった。
そこにペデルセンのベースラインが泰然自若と4ビートを刻み、3者のインタープレイが始まる。嗚呼、楽しい!ジャズの楽しさが満喫できる!

7曲目 "LOVE LETTERS"。ビクター・ヤングの名曲も彼らの手にかかってはスィングの好材料となった。ベースによるテーマ演奏も、名手にかかれば何の違和感も生じない。
アドリブに入ってからのベースラインも力強くぐいぐいと引っ張るし、ソロは歌心溢れている。
CDでのボーナス・トラック、12曲目の "A STRANGER IN PARADISE" はアレンジが面白い。どの曲をとっても息をもつかせぬ好演であり、ピアノとの絶妙のコンビネーションをみせてくれる。

ドリューのピアノが本当に楽しげなのだ。嬉々として鍵盤を叩く姿が目に浮かぶ。
ヨーロッパ・ジャズの代表作というばかりでなく、ジャズ・ピアノの大傑作といえる。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。
(2002.02.01.)



独断的JAZZ批評 49.