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核兵器禁止条約実現へ歴史的チャンス

 5月13日、県原水協の総会で、日本原水協の安井正和事務局長が核兵器禁止条約をめぐる情勢について報告し、「ヒバクシャ国際署名」の国民的共同で核兵器のない世界の扉を開こう、と呼びかけました。

<核兵器禁止条約へ歴史的局面に>
 3月27〜31日、「核兵器禁止条約を交渉する国連会議」が開催され、115か国以上の政府代表と220以上の市民社会の代表が参加。禁止条約の締結によって核兵器が人類史上初めて違法化され、核兵器の使用、保有、製造などすべてが違法だと宣告される。核兵器国やその同盟国が交渉会議をボイコットしているが、禁止条約で核兵器に「悪の烙印」が押されれば核兵器を「必要な兵器」として正当化することができなくなり、核兵器使用を前提とした政策そのものも大きな制約を受けざるを得ない。

<国連史上初めて市民社会の代表が会議の正式な構成員として参加>
 会議の最初のスピーチは日本被団協の藤森事務局次長だった。アイルランド大使は「市民社会のパートナーの皆さんの支持と主張がなければ、われわれはこの地点まで到達することができなかった」と述べ、オーストリア政治担当副大臣も「核兵器を禁止するために何十年も活動してきた市民社会のメンバーに感謝したい。あなた方の献身的な努力や専門的知識、忍耐力があって、われわれはここにいる」と述べた。
 被爆者が訴え続けてきた核兵器の非人道性が国際政治の共通認識となって作業部会が始まり、昨年、禁止条約の多国間交渉の開始決議につながった。私たちも2010年に690万筆、15年には633万筆の署名を国連に届け、大きな影響を与えた。そんな努力があって国際政治の場所で市民社会がパートナーとして参加できた。

<核保有国が初めて守勢に>
 核大国がもはや世界を意のままにできる時代ではなくなった。反対は30数か国に過ぎない。彼らは議場外で反対の異例の記者会見を行った。米国はNATO諸国などに圧力をかけていた。禁止条約ができると「核抑止の概念と法的地位」が奪われてしまうという強い危機感の現れだ。逆にいえばこれが禁止条約の威力でもある。
 7月7日には禁止条約が採択され、秋には各国が調印・批准手続きに入る。それぞれの国の国民の意思が問われる歴史的局面を迎える。日本政府の姿勢を変えることが日本の運動に課せられた国際的責務だ。腹をくくる必要がある。

(2017年5月14日)