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市民がつくった共闘を深化させよう

憲法共同センター総会で中野晃一さん

 4月8日、憲法改悪阻止県共同センターの総会が行われました。立憲デモクラシーの会の中野晃一さん(上智大学教授)が「市民と野党の共闘でつくる立憲政治」と題して記念講演。118人が集まりました。(以下、概要)

 選挙が遠のき、情勢は見通しがきかない地味で厳しい状況にある。野党共闘は本来の姿ではなく危機に対する緊急避難措置。みんな無理をしてやっているのでそんなにうまくいかない。

 そういう中、4月5日、立憲野党と市民連合の意見交換会が行われ、原発ゼロ、九条改憲の阻止など、各分野で共通の方向性が確認された。

 昨年の参院選では32の一人区で一本化でき11で勝った。もともと自民の牙城で3年前はわずか2つ(沖縄と小沢さんの岩手)だった。改選議席だけ見れば改憲発議に必要な3分の2を阻止し、民進党の代表選にも影響を与えた。

 民主党政権下で下野した自民党は日本会議とのつながりを深め、復古的右傾化が強まった。さらに12年の民主党大敗で野党による歯止めがなくなり、逆に維新やみんなの党などの「なんちゃって野党」が改憲勢力にすり寄り、アクセル役を演じることとなった。

 実は民主党野田政権は消費税、TPP、大飯原発再稼働を認めた「自民党野田派」だった。そしていまの民進党議員は保守派、改憲勢力である。それが昨年の選挙では護憲としてたたかった。これはすごいこと。たがをはめているのは野党共闘で、これを市民がつくったのだ。

 立憲主義を破壊する安倍内閣が誕生したことで「96条の会」「立憲デモクラシーの会」が結成された。全労連、連合左派、市民運動がまとまった総がかり行動実行委員会、シールズと続き、「国会での共闘」が呼びかけられた。統一行動に理解を示す国会議員が集会に姿を見せ、やがて代表まで顔を出すようになった。そして昨年2月、野党共闘態勢ができた。ウンザリすることもあるが、どれだけの人が苦労してここまできたかと思うと止めることはできない。

 小選挙区制は非民主的な制度だ。投票率が低ければ自民党は16%の絶対投票率で勝っている。安倍内閣の支持率は高いが、その政策が評価されているわけではなく「他よりましに見える」だけだ。自公はこのことを熟知して政治をやっている。野党の政策を掠め取って実行するふりをして争点を隠し、強行採決で脅してあきらめさせる。実にあざとい。だがいまは、この小選挙区制を利用して2/3阻止をめざそう。

 野党共闘は気をつけないと、党の良い持ち味や切れ味が殺され、弱ってしまう。これではダメ。綱領や政策が違うのが政党である、それぞれの良さをなくさないようにエッジを効かせ、互いはリスペクトの関係でありたい。

(2017年4月9日)