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沿海域戦闘艦が日本初寄港

2018年佐世保配備に向けた地ならしか

 3月18日、米韓合同演習に参加していた米海軍のフリーダム級沿海域戦闘艦フォート・ワースが佐世保基地に寄港しました。物資の補給や乗組員の休養が目的といいます。沿海域戦闘艦の日本寄港は初めて。

 米海軍は、2018年までに現在の4隻の掃海艦を沿海域戦闘艦と交代させる方針であることを佐世保市長に伝えています。これはアジア太平洋に軍事外交の力点を移す「リバランス」の一環で、米海軍は22年頃をめどに、シンガポールに4隻、日本に7隻の計11隻を配備する予定です。すでにシンガポールでは13年5月からローテーション配備が始まっています。

【攻撃能力は一挙に高まる】

 沿海域戦闘艦は米海軍が大量建造を計画している高速小型艦艇で、08年から配備を始め、現在の就役数はまだ4隻(フリーダム級2、インディペンス級2)で、8隻が建造中です。佐世保配備のドック型揚陸艦に比べ全長は2/3程度、容量は1/4程度ですが、速度は逆に2倍以上の時速85km程度で、機動力に優れています。しかもレーダーに探知されにくいステルス性能を持ち、乗員と装備を入れ替えることで機雷処理や潜水艦の情報収集、上陸作戦支援などの多用途任務に対応できます。速射砲、対空ミサイル、機関砲を備え、哨戒ヘリや偵察用の無人ヘリを搭載します。これは佐世保基地の配備艦船の攻撃能力を一挙に高めるものとなります。

【自衛隊も保有を検討か】

 さらに、防衛省も沿海域戦闘艦の保有を検討しているようです。13年末に閣議決定された防衛計画の大綱では「周辺海域の防衛や海上交通の安全確保及び国際平和協力活動等を機動的に実施し得るよう、多様な任務への対応能力の向上と船体のコンパクト化を両立させた新たな護衛艦等により増強された護衛艦部隊を保持する」としています。すでに15年度予算案には、建造に向けて、性能等を確定させるために必要となる調査研究費3億円が計上されています。

 一方で14年3月には「日米相互防衛援助協定に基づく高速多胴船の最適化に係る共同研究に関する書簡」が岸田外相・ケネディ駐日大使の間で交わされています。インディペンデンス級沿海域戦闘艦は船体が三胴船であり、この艦をベースに日米共同開発(最低でもライセンス生産)して輸出を目論んでいるのでしょうか?

(2015年3月21日)