祭  神  種  類  ラ  ン  ク

祭神種類ランク

★はじめに

2007/02/22朝日新聞に国学院大学岡田荘司のグループが纏めた「神社分類」の記事が掲載される。
 以下はその要約である。(但し【】内、{}内は朝日新聞記事とは別に新たに追加した項目である。)
 国学院大学岡田荘司のグループが祭神ごとに見た神社数とその分布を調査。
 集計母体は「全国神社祭祀祭礼総合調査」1995年(約7万9千の神社が掲載)と云う。
2008/06/06:
上記の成果は次のタイトルで上梓される。
○「現代・神社の信仰分布」岡田莊司・加藤直弥、文部科学省21世紀COEプログラム國學院大學「神道と日本文化の国学的研究発信の拠点研究」、2007 より内容追加。

★神社祭神数ランク

  ※右端分社数は「すぐわかる日本の神々」より転載(鎌田東ニ監修、東京美術、2005)
   →どの程度の規模の神社・祠までが対象なのか、摂社・末社・合祀はどう集計するのかなどで、大幅に祭神・神社の数は変動する。
    なお「すぐわかる日本の神々」の集計は部分的に明治以降の国家神道で付会された出鱈目な見解の影響を少々受けている。
     ※明治の国家統制(国家神道)によって、日本の伝統的な祭神の多くが捨てられ、「王権神話」の神への祭神変更が行われる。
  ※明治の神仏判然(神仏分離)の処置で、本来の祭神や社の姿が現在では非常に見え難くなっているのが現状である。

祭  神

神社数   備    考(国学院大学研究グループの神社数) 分社数 :「すぐわかる日本の神々」より(注)
1 八幡 7、817 【八幡神、八幡大菩薩】/八幡神社、八幡宮、若宮神社、若宮八幡 、若宮社、正八幡、宇佐八幡など / 2.応神(八幡系)
25,000社
都道府県別の分布は、多い順に兵庫450、岐阜445、愛知400、新潟390、静岡364、石川334、福井327、富山305、岡山296、千葉276、広島266、徳島257、福岡245、福島238、滋賀193・・・となる。
特別な例外を除き、ほぼ全国に勧請されている。
※平安中期以降、荘園制が発達し、石清水八幡宮・東大寺領などで盛んに勧請された。中世には武士が台頭し、清和源氏・その御家人などが各地に勧請した。農村においても災害・厄病守護として多く勧請された。
宇佐八幡弥勒寺、豊後柞原八幡宮、石清水八幡護国寺、鶴ヶ岡八幡宮寺、
筑前筥崎八幡宮、山城離宮八幡宮、河内誉田八幡宮、淡路賀集八幡護国寺、
讃岐石清水尾八幡宮、紀伊廣八幡宮、紀伊野上八幡宮、陸奥飯野八幡宮、
陸奥龍宝寺八幡、甲斐大井俣窪八幡宮、出羽阿久津八幡宮、丹波柏原八幡宮
摂津六条八幡宮、周防花岡八幡宮、近江長浜八幡宮、三河足助八幡宮
 明治維新前の八幡社の実態は、八幡宮をいわば本堂とし、八幡神(八幡大菩薩)を本尊とする寺院の色彩が強いものであった。加えて、八幡社の経営は僧侶が 行い、護摩が焚かれ、神前では読経が行われ、多くの祭礼も仏式であった。そして大規模な八幡社に於いては、八幡宮の周囲に本地堂(薬師堂)、護摩堂、鐘楼、経蔵などの多くの仏堂及び仏塔が造営され、多くの社僧が奉仕するため、多くの坊舎が営まれた。要するに大規模な八幡社は一山多院制を とる寺院というのが実態であった。
2 伊勢 4、425 【天照皇大神・豊受大神】/清明社、皇大神社、天祖神社、大神宮、神明社など/ 3.天照(神明・天祖系)
18,000社
分布は新潟728、富山679、愛知599、岐阜457に偏在し、山形237以下東国に多く見られる。西日本では兵庫の53・・・大阪4、和歌山・島根・宮崎2、山口1、鳥取0である。
※鎌倉期以降、関東武士によって信仰され、東国に御厨・御園が成立し、その地に神明社が建立される。御師の活動も始まり、両部神道に対立する伊勢神道も成立し、御厨・御園を中心に講の組織も結成され、江戸中期以降庶民の間の参宮熱が高揚した。
但し、「伊勢は国家総鎮守」といった宣伝は近世国学者の妄想であり、政治的意図を持った国家神道の捏造であることは留意しておかねばならない。
また国家神道により地主神社が神明社に捏造されたケースも多いとも思われ、これにも注意が必要と思われる。
3 菅原道真 3、953 【天神、天満宮】/天満、天神、菅原神社、北野神社、老松神社など/ 4.菅原道真(天神・天満系)10,441社

「道明寺天満宮の歴史」(「道明寺天満宮宝物選」所収):12000社という
分布は九州に4割、西日本では7割を占める分布。福岡672、大分398、佐賀272、兵庫186、高知146、熊本122、岐阜118、静岡103・・・・・
筑前安楽寺天満宮、山城北野天神、防府松崎天神、河内道明寺天神
 明治維新前の天満宮の実態は、上述の八幡宮の実態とほぼ同一と思われる。
4 稲荷 2、970 【稲荷大明神】/稲荷、宇賀など/
《「別冊太陽 日本の神 ��68」では:稲荷32、000社》
1.宇賀之御魂(稲荷系)32,000社
分布は福島327、東京177、千葉173、兵庫173、茨城165、山形164、埼玉159、新潟152、青森137・・・・神明社ほどではないが、東国に偏在する。
平安期には山城教王護国寺の鎮守となり、真言宗の伝播とともに信仰が広まった側面もある。山城伏見稲荷社愛染寺は明治の神仏分離で廃寺となる。
山城教王護国寺
5 熊野 2、693 【熊野権現、十二所権現、十二権現】/熊野、王子、十二所、十二社、若一王子など/ 10.熊野(熊野系)
3,079社
分布は福島283、千葉235、新潟143、山形123、兵庫107、静岡103、福岡102、愛知101・・・東国の数が相対的に多い。
2025/06/13追加:
 紀伊国熊野三山(本宮、新宮、那智の熊野三社)に祀られた熊野十二所権現がその根源である。その進行は全国に展開する。
三山ともにその発祥を異にするが、平安中期頃から神仏習合を表す本地垂迹説が展開し、本宮は家津御子神(けつみこのかみ)(本地:阿弥陀如来)、新宮は速玉大神(本地:薬師如来)、那智は牟須美神(むすびのかみ)(本地:千手観音)の「熊野三所権現」と本地仏が祀られた。また平安後期までには若王子(本地:十一面観音)を中心とする「五所王子」と一万眷属を含む「四所宮(ししょみや)」の熊野十二所権現が成立する。
 京都には熊野権現(左京区聖護院、弘仁2年(811)勧請)、今熊野(左京区今熊野、後白河上皇の命のより平清盛が勧請)、若王子(京都市左京区若王子町)などが勧請されている。<END>
地方には一例であるが次の様な熊野権現が勧請される。
 備前熊野十二所権現、攝津平野熊野権現、紀伊東光寺、信濃若一王子
若王子については山城若王子(現・久世神社)を参照
6 諏訪 2、616 【諏訪大明神】 /諏訪社、南方神社(鹿児島)など/ 8.建御名方(諏訪系)
5,073社
分布は新潟888、長野376が突出し、福島128、山梨106、群馬100・・・北陸・南東北・関東に多く分布する。中世以降軍神として多くの武将によって信仰される。特に信濃守護であった北条氏によって東国各地に勧請される。
信濃諏訪明神・諏訪上社下社・・・上社・上社にはそれぞれ大規模な神宮寺が存在した。
7 牛頭天王 2、299 【祇園社、祇園大明神】 、《「別冊太陽 日本の神 ��68」では:牛頭天王 八坂神社2600社、津島神社3000社》 /祇園社、明治の神仏分離で八坂(八阪)、須賀、八雲、津島、素戔嗚(スサノウ)、須佐、素鷲、天王、祇園、武大などと牛頭天王社は全て改号され、徹底的に痕跡を抹消される。 7.素戔嗚(津島・祇園・氷川系)5,938社
 ※氷川系の祭神は確かにスサノヲではあるが、牛頭天王ではなく、元来は出雲系であるので、津島・祇園と氷川は区別すべきであろう。
(氷川系の神社数は本項の番外を参照:5、6百を限度とする数百社程度であろう。)
1)都道府県別の分布は、多い順に兵庫203、千葉166、愛知135、岐阜131、福島124、静岡122、福岡119、茨城108・・・と続き、全国に分布する。
2)神社名によって、牛頭天王の神社数を集計する訳であるが、集計対象の神社は次の通りである。
 明治維新の国家神道の暴戻によって、牛頭天王は八坂神社、祇園神社、津島神社などのほか、祭神のスサノヲに因み、八雲・須賀・須佐・素戔嗚神社などに改竄される。
八坂神社(社名数10位、1054社)、須賀神社(35位、287社)、
八雲神社(43位、221社)、津島神社(47位、198社)、素戔嗚神社(64位、129社)、
八阪神社(78位、95社)、八坂社(117位、56社)、津島社(121位、55社)、
須佐神社(150位、44社)、須鵞神社(181位、36社)、
須佐之男神社(196位、31社)、天王神社(241位、25社)、
祇園神社(253位、24社)、素戔嗚神社(264位、23社)、武大神社(282位、21社)
 である。
 武大神社の21社は兵庫、京都、徳島に分布、祭神:スサノヲ、クシナダヒメが多い
 スサノヲは進雄神社(社数集計ない)と表記の場合もある。
3)牛頭天王は(一般的には)祇園精舎の守護神といわれ、日本では疫病除災神とされ、御霊信仰と結びつき平安期以降全国に勧請される。
4)牛頭天王社
京都祇園感神院、津島牛頭天王社、廣峯牛頭天王(廣峯山)、諸国の牛頭天王
5)八王子社
牛頭天王の8人の王子を祀った八王子社も一定程度分布する。
王子神社、八柱神社(各々149社)なども牛頭天王の眷属である。
8 白山 1、893 【白山妙理大菩薩、白山権現】/白山神社など/ 12.菊理媛(白山系)
2,717社
加賀馬場白山寺、越前馬場平泉寺、美濃馬場長瀧寺を拠点とする。
分布は岐阜345、福井310、石川223で半数、新潟188、愛知154.・・・北陸・中部に偏在する。
美濃白山中宮長滝寺、越前白山平泉寺
9 日吉 1、724 【山王権現】/日吉、日枝、八王子、山王など/ 9.大山咋(日枝・山王系)4,913社
分布は滋賀116、福岡109、新潟109、福井105、石川102、千葉98・・・全国に展開する。比叡山の勢力展開とともに勧請され、分布も比叡山の荘園や末寺に対応すると考えられる。
比叡山延暦寺山王権現、美濃神戸山王権現
10 山神 1、571
(内十二神社438)
素朴な山の神・田の神の信仰か、この集計数字は良く分からない。/山神社、山神神社、十二神社、十二社、山祇神社/ .
分布は新潟424(大半は十二神社)、山形128、大分124、福島119、静岡115・・・以上が突出する。
※現状、大山祇を祭神(新潟の十二社<越後の場合は熊野権現ではない>も同様)とする場合が多いが、これは明治の国家神道の付会である。元々は素朴な信仰であり、記紀の神々とは関係がないのである。
11 春日 1、072 【春日大明神】 、《「別冊太陽 日本の神 ��68」では:春日1300社》/ 11,天児屋(春日系)
3,000社
分布は奈良136、福井103、兵庫81、岐阜70・・・全国に分布する。
古代・中世に藤原氏・興福寺の荘園・寺領に勧請される。
大和興福寺・春日社
12 愛宕 872 【愛宕大権現】 .
分布は福島103、栃木83、兵庫70、茨城65、京都63・・・やや東国に多い。なお長野、愛知、岐阜などは秋葉大権現の分布が多い。
戦国期本地将軍地蔵が武将によって信仰され、愛宕修験の活躍とともに全国に広まったと考えられる。
13 三島・大山祇 704 【三島 社・大山祇社】/この集計数字は伊豆三島社と伊予大山祇社の2系統の合計数字と云う。但し10.山神との関係は良く分からない。左の5.大山祇10,318社 は山神と三島・大山祇3者の合計数字とも思われる。
 →下の欄外に掲載の
  2022/08/05追加:
  ◇【三島社・大山祇社】神社祭神数 を参照。
  ・神社数:
   411社:出典・神社本庁「全国神社祭祀祭礼総合調査」
  1299社:出典・大三島大社講「大三島宮」 ・・・とカウントされている。
5.大山祇(大山祇・三島系)10,318社
分布は愛媛116(三島系)、福岡67(大山祇・三島系)、福島54(大山祇・三島系)、新潟49(大山祇・三島系)、高知45(大山祇・三島系)、静岡38(三島系)・・・四国・九州、関東・東北に多く分布する。
伊予三島大明神、伊豆三島社
14 鹿島 604 【鹿島大明神】/ .
茨城305、福島74、栃木47・・・北関東・東北南部に集中する。常陸に集中。
{水戸藩の神社合祀政策を特に「八幡改め」と称する。これは旧主佐竹氏が尊崇した八幡社を破壊し、水戸家が崇拝する鹿島社に置き換えることを企図したものである。 }
常陸鹿島神宮
15 金毘羅 601 【象頭山松尾寺金光院・金毘羅大権現】 /金毘羅大権現は象頭山松尾寺が仏法守護神金毘羅を鎮守として勧請したことに始まる。江戸中期から海上安全の神として隆盛し、各地で金毘羅講も組織され庶民層にも広がりを見せる。 13.大国主・大物主(出雲)2,151社
分布は香川76、高知52、長崎44、岐阜37、兵庫32・・・全国に分布するが、西國に多く分布する。
讃岐金毘羅大権現、阿波木津上浦金毘羅権現(阿波長谷寺)
16 住吉 591 【住吉大明神】/ 15.住吉三神(住吉系)
2,000社
分布は兵庫104・・・大阪沿岸、瀬戸内・北陸沿岸が多いが、全国に均一に分布する。
摂津住吉神宮寺
17 大歳 548 大歳、大年/実態が良く分からない。/ .
分布は兵庫376(播磨東部・丹波南部・淡路)、広島62、鳥取25、福岡25・・・でほぼ全てとなる。
18 厳島 530 【厳島大明神】/厳島、市杵島 6.宗像三神(宗像・厳島系)8,500社
分布は広島56、兵庫40、高知31、福岡31・・・西国にやや多いが、全国に分布する。
安芸厳島
19 貴船 463 【貴船大明神】/貴船、貴布禰/ .
分布は福岡140、大分94・・・左記2県に集中し、全国的に各県少数づつ分布する。
20 香取 420 【香取大明神】/ .
分布は茨城207、埼玉114、千葉67、東京14・・・に集中し、他では皆無に等しい。
下総江戸川流域に集中する。
下総香取神宮
21 恵比寿 408 蛯子、恵美寿、恵比寿、西宮神社、事代主神社、長田神社/
分布は西国に偏重し、東国では少数が万遍に分布する。
.
22 浅間 397 【浅間大菩薩・富士権現】/浅間、富士
分布は静岡82、千葉67、茨城40・・・東海・山梨・関東に偏重する。
駿河富士山本宮、駿河富士新宮、甲斐北口本宮
17.木花咲耶媛(浅間系)
1,316社
23 秋葉 362 【秋葉山大権現(三尺坊大権現)】/
分布は岐阜79、愛知75が突出し、東国に多く(西国は少数)分布する。
遠江秋葉寺
16.火之迦具土(秋葉・愛宕系)1,600社
24 荒神 317 この神は様々な性格を持ち、本質は良く分からない。
分布は広島113、兵庫59、岡山59・・・中四国に多く分布する。
.
25 賀茂 277 【賀茂大明神】/賀茂、加茂 .
分布は兵庫28など、全国に分布する。
山城賀茂社(上社・下社)、播磨室明神
水神 277 本来は山神と同様に素朴な自然崇拝と思われるも、明治の復古神道によって祭神が記紀神話の神とされたケースも多いものと思われる。
分布は千葉74、静岡41、茨城31など東国に多い。
.

.

-- 白髭・白鬚 267 東国を中心に全国に広く分布、猿田彦を入れると、さらに社数は多くなる。 .
-- 氷川 228 武蔵に集中。埼玉133、東京65・・・
《「別冊太陽 日本の神 ��68」では:》
埼玉162社、東京59社(この数値の出典は大宮氷川神社社家の出である西角井正慶の調査と思われる。)
↑ 7.素戔嗚の項
-- 石動五社権現 207 石動神社52、石動社20、五社神社97、五所神社38、新潟・越中・能登を中心に分布。
ただし、五社・五所神社には多少西国筋にも分布し、西国筋の祭神は石動とは別の系統と思われる。
能登石動五社権現
-- 御嶽 205 東国を中心に広く分布 .
-- 河内 202 高知、山口、広島を中心に分布 .
-- 星宮 190 栃木に集中、千葉、茨城にも分布
村松虚空蔵堂(日光寺)
.
-- 加藤清正 149 2023/06/06追加:
清正公を祀る神社は149社(一部海外を含む)である。ほぼ「武士神格化一覧」(「武士神格化の研究」高野信治、吉川弘文館、2017 所収と推定)から抽出。但し、全てが網羅されている訳ではない。
 →清正公を祀る主要神社一覧
なお、寺院に祀る場合が多く、全てを網羅している訳ではないが、その数は235ヶ寺が確認されている。(「日蓮宗寺院大鑑」池上本門寺 から集計、ほぼ全てが日蓮宗寺院に祀られ、清正公堂などの堂宇の本尊である場合も多いが、本堂の脇檀などに祀られている場合などもある。)
 →清正公を祀る主要寺院一覧
→清正公信仰

 →清正公を祀る主要寺院一覧/神社一覧
  
-- 徳川家康   現存するのは約130社という。
久能山、日光東照宮が嚆矢であるが、その後、各地の徳川・松平一門大名、譜代大名や徳川家と縁戚関係がある外様大名も競って東照現権を建立し、全国で500社を超える東照宮が造られたという。(廃絶されたものを含めると約700社が確認されているともいう。)
現在では、徳川幕府崩壊・明治維新以後の廃仏毀釈などもあり、廃社や合祀が相次ぎ、現存するのは約130社という。
出所:Wikipedia「東照宮」 より
→東照権現・東照宮
-- 熱田 60 - 14.熱田(熱田系)
2,000社

 (注)上表の『神社数 :「すぐわかる日本の神々」より』 に記載の神社数の典拠は「神社事典」によると思われる。
  但し、加藤清正、徳川家康の典拠は別である。

◇{祭神が八幡神、天神、熊野権現、牛頭天王などを祀る社では、明治維新前までは、神社というより実態は寺院であるといったほうが適切である社が多数を占めることが見てとれる。 特に'大社'であればあるほどその傾向は強かったと思われる。
またさらに、白山、日吉、春日、愛宕、金毘羅、秋葉、石動などを加えれば、社僧・寺院が実権を握り祭祀した社あるいは寺院の鎮守的な地位であった社が大多数を占めていたことも見えてくる。 }
◇{明治の神仏分離の過程を経て、国家神道の成立で、出雲神道系などの信仰が否定され衰退し、また、多くの祭神が、地主神や氏神から「古事記」「日本書紀」などの皇統譜につながる神々に付会され、祭神変更が強引になされたケースが極めて多かったことも考えあわせると、現今、神社と称するものの多数の実態は依然として「国家神道」そのものが見事に「保存」されているというべきであろう。 }

地区別祭神分布(多い祭神)

北海道・東北 八幡・伊勢・稲荷・熊野
関東 八幡・伊勢・稲荷・熊野
北陸・甲信 八幡・伊勢・諏訪・白山
東海 八幡・伊勢・白山
近畿 八幡・春日・稲荷
中国 八幡・天神・稲荷
四国 八幡・天神・山神
九州 八幡・天神・熊野・貴船
 

所在地別神社数(沖縄を除く)

1 新潟 4778社   ・・ ・・ ・・
2 兵庫 3840社   ・・ ・・ ・・
3 福岡 3385社   ・・ ・・ ・・
4 愛知 3334社   ・・ ・・ ・・
5 岐阜 3227社   11 宮城 975社
6 千葉 3173社   10 香川 836社
7 福島 3029社   9 岩手 835社
8 静岡 2859社   8 三重 825社
9 長野 2734社   7 鳥取 822社
10 茨城 2464社   6 山口 737社
11 富山 2178社   5 青森 729社
12 高知 2171社   4 宮崎 653社
13 大分 2130社   3 北海道 594社
14 埼玉 2011社   2 大阪 568社
・・ ・・ ・・   1 和歌山(注)

426社

    (注){明治39年12月、「神社合祀令」
   <一町村一社を原則に神社統廃合を行なうという主旨>;
三重県では6500社が1/7以下に、和歌山県では3700社が1/6以下に統合・合祀されたとされる。結果として全国ではおよそ19万社が12万社に統合されたと云う。}

2022/08/05追加:
◇【三島社・大山祇社】神社祭神数
○「愛媛県の建造物文化財の探訪」>「3、三島神社」 より転載
・神社数:
  411社:「全国神社祭祀祭礼総合調査」による、神社本庁が1990年から1995年に実施。
 1299社:「大三島宮」大三島大社講(大山祇神社)1973年1月刊、内訳は三島神社は402社、大山祇(積/津見)神社は897社。
大半は伊予の大山祇神社(三島大明神)か伊豆の三嶋社と関係のある神社である。
地域分布(神社本庁調査)では関東、四国・九州に多い。
 愛媛県に全体の3割近い111社、次いで静岡県36社、福島県35社、福岡県24社、高知県19社、神奈川県19社、大分県16社、以下千葉、新潟、栃木と続く。
 関東、東北、中部には三嶋大社より勧請されたと伝える三島神社が多い。
 一方、四国や九州、北海道には大山祇神社(三島大明神)から勧請されたと伝える三島神社が多い。
 ただし、福岡県は三嶋大社、新潟県は大山祇神社の分社が多いなどある程度混ざっている。
なお、関東・伊豆には、源頼朝が伊豆三嶋社を崇敬していた関係から、鎌倉武士により伊豆三嶋社より勧請されたと伝える三島神社が多い。
大山祇神社は伊予三嶋大明神を祖神として崇敬していた伊予水軍(三島水軍)の越智氏や河野氏により勧請されたものが多いという。

★佐渡に於ける祭神数

都道府県別では新潟県に最大の神社数がカウントされるが、そのうちの佐渡国については、宝暦の寺社明細帳で見ると371社を数える。
佐渡についての詳細は
 「宝暦「佐渡国寺社境内案内帳 下巻」に見る佐渡の社」
  を参照下さい。
 (佐渡では371社中、熊野46、白山46、諏訪42、八幡30、山王19・・・となる。) ・・・本人(s_minaga)集計

★淡路に於ける祭神数

「神社御調本紙扣」:寛保3年(1743)
  淡路285社中、八幡64社、大歳15、伊勢14、恵比寿14、山王14、牛頭天王12、春日11・・・

「兵庫県神社誌」:昭和13年
  淡路223社中、八幡61社、伊勢14、春日11、大歳10、住吉9、八坂(牛頭天王)9・・・

以上のように、淡路国では、八幡神が圧倒するようです。
(出典:「神仏習合をとおしてみた日本人の宗教的世界 2 淡路島の調査を中心として」元興寺文化財研究所、1991)

★水戸藩領に於ける神社数:「神仏分離」圭室文雄、教育社、1977

寛文6年(1666)、元禄9年(1696)などを中心に、水戸藩領で、寺院整理(廃仏)と平行して、神社整理が実行された。
この神社整理の目的は1)神社の神体とされる仏像を神道流に改める、2)神社の管理を社僧から神主に改める、3)実態は寺院である八幡社を破却する、4)1村に1社を奉る(1村1社制)などであった。

水戸藩領は常陸1国ではなく、水戸を中心とした常陸北部・東部と思われる。
元禄9年時点で、555社を数える。

1)については、少なくとも71社で仏像が神体であったが、その内59社で、元禄9年までには神体が仏像から幣、鏡、石に取り替えられた。
元禄9年では、555社の内、神体が幣であるのは376社、鏡は31社、木像は54、仏像12社、そのほかは刀、石、不明などであった。
2)については、元禄9年時点で、管理者が神主であるのは286社、山伏97社、僧侶92社(真言46、天台、法華など)、俗人33社・・・であった。この点では、神主支配は56%、僧侶支配は37%であり、徹底を欠く。廃仏・神社整理の結果がこれであったということは、神社は大部が僧侶の支配であったということであろう。
3)の八幡改めでは、領内73社の八幡社は全て破却し、1社を除き、新しい社名に変更され、領内の八幡社は全滅した。
八幡社73のうち、吉田明神に30、鹿島明神に11社、静明神(常陸ニの宮)9社・・・に改号された。
4)については寛文3年では175社であり、元禄9年では555社を数え、全村数578村であるからほぼ1村1社制は達成されたと思われる。
 ※一方では、寛文6年には寺院1098寺(破却713寺、還俗170寺、移寺61寺、死亡61寺、追放38寺、無住31寺・・・)が整理された。
元禄9年水戸藩領555社の祭神内訳:
 鹿島明神:94社、吉田明神:37社、熊野権現:29社、諏訪明神:25社、稲荷明神:23社、香取明神:22社、山王権現:15社、
 天神:15社、静明神:13社、春日明神:12社、牛頭天王:9社、十殿:8社、愛宕権現:8社、伊勢:8社、羽黒権現:7社、
 十二所明神、三十番神、津明神、八幡・・・

などであった。

2011/09/28追加:
★関東における神社分布の特異性

関東では、以下の神社が特定の地域に集中して分布する。そして、その分布はほとんどが重複しない。
鹿島明神(大和藤原氏氏神)は常陸に多く分布
香取明神は下総・江戸川流域に多く分布
氷川明神(須佐之男・大己貴)は武蔵・隅田川、荒川流域に多く分布
久伊豆神社(多くは大己貴)は武蔵・下総境界であった元荒川に分布、40社ほどある。
杉山神社(日本武、五十猛)は武蔵鶴見川とその支流域に多く分布、40社ほどある。
星宮神社(磐裂神、根裂神)は下野南東部に多く分布、本地は虚空蔵菩薩
赤城神社(赤城山を神体)は上野南東部に多く分布、100社ほどある。
以上に加えて
雷電社が上野、下野、常陸などの北関東を中心にして多く分布、約60社ある。
更に
雷神社(おそらく雷電社同じ祭神と思われる)が常陸、下野、南奥羽に多く分布、約80社ある。(合わせて144社になる。)
 雷電神社61社(栃木19、埼玉17、群馬11など主として関東に分布)
 雷神社83社(福島19、茨城13、栃木12など主として関東・東北に分布)
  参考:板倉宝福寺/板倉雷電社の項

2024/08/16追加:
海外神社の紹介と一覧表を作成
 海外神社
海外神社といえば、耳障りは良いが、実態は大日本帝国(国家神道)による海外侵略政策の一環であり、人民教化(皇民化)の一助を担ったカルトの施設である。


2007/02/24作成:2026/02/09更新:ホームページ、日本の塔婆、海外神社