平成9年11月27日:篤志面接委員に委嘱され、現在に至っています。
1 篤志面接委員とは
2 篤志面接委員制度の発足
3 篤志面接委員制度の趣旨
4 篤志面接委員の概要
ー私の研究発表要旨(抜粋)ー
5 篤志面接委員研究協議会
6 第21回全国篤志面接委員大会に参加して
7 第48回 高松矯正管区管内篤志面接委員研究協議会(松山)
8 第49回 高松矯正管区管内篤志面接委員研究協議会(徳島)
1 篤志面接委員とは
篤志面接委員とは、その専門的知識や経験等に基づいて、矯正施設(少年鑑別所は除く)
の被収容者が持つ種々の問題の解決を図り、あるいは教養や趣味等を向上させることな
どを目的として、相談助言・各種指導等を行う民間の篤志家である。
2 篤志面接委員制度の発足
わが国における篤志面接委員制度は、1953年(昭和28年5月)のH省H事務次官通達「被
収容者に対する篤志家の面接指導基準について」に基づいて、発足したものである。
この制度は、イギリスのプリズン・ビジター制度に範をとったものとされる。
3 篤志面接委員制度の趣旨
ともすると一般社会から隔絶されがちである被収容者に対して、社会の空気を伝え、社会
復帰への糸口となる新鮮な情報等を提供すること。あるいは、被収容者の精神的煩悶など
内面に係わる問題を解決すること等の分野については、職員だけでは十分対処できない
場合があり、事柄によっては、むしろ篤志家の協力を得て、矯正教育を一層充実させるた
め、篤志面接委員制度が設けられたとのことである。
4 篤志面接委員制度の概要
(1) 委嘱
施設単位の選考会の推薦に基づき、施設長の上申により矯正管区長(全国8管区)委嘱
する。委嘱期間は、2年であり必要に応じて更新される。
(2) 研究会の開催
@ 毎年、施設ごとの全体研究会が2回、矯正管区ごとの研究協議会が1回開催されて
いる。
施設へは、定期叉は必要の都度訪問し、所管事項の指導、面接等を実施するととも
に、教育担当者との協調を図っている。
四国では、九施設が持ち回りで研究協議会を担当している。
9年に1回、2004年は、徳島が担当:徳島阿波観光ホテルで開催されました。
その時の状況(概要)は、次のとおりです。
A 実践研究会 講演「演題:心」
講師 四国八十八カ所霊場会本部 常務理事 今川 泰伸先生
B 研究協議会 講演「演題:人間とはね」講師 幸・総合人間研究所所長 早川一光先生
C 委員代表研究発表
高松委員「ソフトボール審判員として」
高知委員「お茶の心」
丸亀委員「面接を通じて」
D 参加者 約100人
充実した研究会等であり、各委員から参加して良かったとの声が聞かれたことは、
担当者の1人として安心しました。
施設教育担当職員、各委員に敬意を表します。
(3) 表彰(私個人)
平成13年11月27日 篤志面接委員会会長から感謝状
平成14年11月 6日 T施設長から感謝状
平成15年11月19日 T矯正管区長から感謝状 受賞者を代表して、私が謝辞を述べる。
4 全国の篤志面接委員数
約1900人.(男性約70%:女性約30%)平成17年末現在
(5) 担当業務
@ 精神煩悶者に対する面接指導等
A 処遇類型別指導
断酒教育:覚せい剤防止教育:生命尊重教育等々
B 家庭相談
C 法律相談
D 職業相談
E 教科教育
F 教養講座(絵画:書道:俳句:短歌:英会話:詩吟:茶道等々
G 趣味講座(囲碁将棋:盆栽:同上を含む等々)
H 宗教相談
I
釈放前教育
J
保護関係
K
その他
(6) 私の担当業務
(5)−@ 精神的な悩みがあり、救いを求めている者に対する面接
A
生命尊重教育
B 釈放前教育
(7) その他
第40回 高松矯正管区内:篤志面接委員研究発表会
開催日 平成13年11月27日(火)
場 所 メルパルクMATUYAMA
* 私の研究発表要旨(抜粋)
表題 T施設における処遇類型別指導(生命尊重教育)について
1 はじめに 省略
2 指導実施要綱
(1) 対 象 者:無期懲役受刑者ほか・・・選定条件 省略
(2) 指 導 者 関係職員:篤志面接委員ほか 以下省略
(3) 指導回数 毎月1回(6回をもって終了)
(4) 指導時間 1回につき概ね1時間
(5) 教育形態 講話:VTRの活用:反省:感想文の指導:その他
区分 | 単 元 | 指導のねらい |
第1回 | 編入式 | 1 生命尊重教育の目的、意義及び受講上の心構えを理解させる。 |
2 教育の内容をよく理解させ、受講意欲の喚起を図る。 | ||
第2回 | 生命の尊さについて | 1 生命の尊さについての自覚を促す。 |
2 生きている喜びについて | ||
第3回 | 遵法精神について | 1 遵法精神の涵養と社会での責任について |
2 ささやに生きる(VTR) | ||
第4回 | 被害者家族に対する贖罪について | 1 被害者家族に対する慰謝の気持を自覚させる。 |
2 善意に生きる。 | ||
第5回 | 生命の誕生について | 1 人命の尊さについて認識を高める。 |
2 「おーい:生きているか」(VTR) | ||
第6回 | 生命尊重教育の終了について | 生命尊重教育を受講した現在の心境について |
6 今回の指導項目
(1) 命の尊さ、自分が犯した罪業の深さを認識させることについて
被害者の命日には、心から手を合わせ、冥福を祈ってほしいこと。
できれば、教誨師(宗教家)に依頼して、読経をお願いすること。
(2) 生きる喜び等について
@ 命のきらめき、生きる喜び、自分を省みる一方法を通じて現在生きて
いること。
将来への生きる希望等々を実感してほしいこと。
* 人の生涯(区分の仕方等)
幼年時代→少年時代→青年時代→壮年時代→盛年時代→老齢時代
* 誕生〜10歳まで:→〜20歳まで:→〜30歳まで:→〜40歳まで
〜50歳まで:→60歳まで:→〜70歳まで:→70歳以上
A 現在:日本人の平均寿命
男子78:07歳 女子84・93歳 健康年齢74・5歳(世界一)
B 要件
ア 良かったこと。楽しかったこと。嬉しかったこと等のみ思い出すこと。
イ 悪かったこと。苦しかったこと。悲しかったこと。嫌であったこと等々は、
一切触れない こととする。
ウ 以上の要件で、瞑目の上、年代ごとに3〜5分、自分を省みる試み
を実践する。
C 自分を大切にすること。
D 希望、目標をもって生活してほしいこと。
E 自分を省みる。各人それぞれが、歩んできた人生を思い起こさせ、
現在そして将来へ考えを発展させる。
受講者 Yの感想文(抜粋)
楽しかったことのみ思い出す。良かったことのみ思い起こしなさいと(篤志面接委員)
から言われましたが、私には、楽しかったこと。良かったこと等全くといってよいほど
浮かんでこない。
全てにおいて、苦しく、辛く、嫌なことばかりが浮かんでくる。素直で、正直な心を持っ
ていないのかなぁ。と自分でも考えさせられる気持ちです。これから私に、喜びのある
生活が来るだろうか。自分が、犯した殺人という罪が怖い。
過去があり、現在そして未来と命についての課題は、大きく、広いと思います。命の
大切さ、命の原点は、自分の心、行動にあると思います。そして、最悪の状態等に陥
ったとき、どれだけブレーキをかけることができるかの自制心にあると思っています。
これから先、まじめに生きていくことも大事だし、一生供養することも大事そして残さ
れた遺族の方々の心を刺激しないことも大事と思います。
「遺族への手紙・送金の有無「平成13年11月10日:調査」
更生保護委員からの指導もあり、本人の意思によって、被害者の命日に献花料を送金したこと
もあったが、逆に遺族の感情を逆なでしたようで、怒りをかったことが、あまりにも多かったこと
から、なるべく止めるよう指導しているとのことである。
難しい問題の一つです。
(3) 遵法精神の涵養について
所内生活、施設のルールを守れないものが、社会の厳しいルールを守れるはずがな
いこと。
まず、身近な規則、規約の厳守から実践してほしいこと。
(4) 計画・目標・指針等を持つことについて
計画・実行・反省そして再計画・実行・反省は、人生・その繰り返しである。
あきらめてはいけない。計画性をもって生活することは、自分を磨き、淘やしてくれるこ
とを信じてほしい。
(5) 応報刑時代の刑罰 裏の社会で参照ください。
御定書百箇条・・・江戸時代、8代将軍:徳川吉宗の時代、これまでの幕府の慣習、判例等を
成文化した刑罰 ーここでは、省略ー
贖罪・応報刑の時代 目には目を、歯には歯を、人を殺せば、自分も死ぬ時代から、現代の
教育刑へと、刑罰思想は大きく変わっています。ただし、死刑該当者は除く。
ということは、命を大切にして、是非、○○年後には、社会復帰してほしいとの願いが込めら
ています。
自分を大切にして、生きているという喜びと、社会復帰後は、二度と過を犯さないという決意
と実行をしてほしいと願っています。
(6) サブテーマ(抜粋)
@ カ行のすすめ
カ・・・・・感動:感激:価値観:改善(ムダ:ムラ:ムリ):家族:顔など。
キ・・・・・興味:教育:教養
ク・・・・・工夫:くよくよしない(明日は、明日の風が吹く。)
ケ・・・・・健康:経験:経済力:計画:継続は力
コ・・・・・恋:行動力:行楽:孝心:好感(清潔感の保持:不快感の防止等)
A タ行のすすめ
タ・・・・・楽しみ
チ・・・・・力(継続は力:力必達:知るは力」
ツ・・・・・付き合い
テ・・・・・適当(くよくよしない。明日は明日の風が吹く。)
ト・・・・・時(少年老いやすく、学成り難し)
B 心に残るいくつかの言葉
* 健康は、人生の最大の条件である。幸福の原点・生命の原点は健康にあること。
* 今が一番若いこと。「若返ることはない。」
* もう80歳でなく、まだ80歳である。90歳から見た80歳は若いこと。
* 健康作りの3原則は、食事・運動・ストレスをつくらないこと。
* 人生に悔いあり。プラス思考で、自分を律することが大切であること。
* 健康は、治療より予防であること。「ストレッチのすすめ」
* もう年だから無理だ。という人は多いこと。本気と口癖?
* 天寿とは、100歳以上のことであること。いろいろの原因があり、その人の寿命がある。
* 足腰は、健康のバロメータの一つであること。(牛・馬・キリン等動物は、足に支障が
生じたら、即 死に繋がる。)
* 年を取ったら倒れないようにとは、注意事項の一つであること。
* 片足立ちをすること。(バランスの保持)
* 病気は、自分の責任が多く、大きい。
* 生活習慣病の管理不足に注意すること。
* 糖尿病(贅沢病)、脳と心臓の病気(血管病)に突然死はない。必ず前兆がある。
* 腰痛・膝痛・・・鍛える、痩せること。
* 愛と笑いと感動は、人生の三大栄養素であること。
* 人は、苦労した分、長生きする権利があること。
* あせるな。おごるな。いばるな。くさるな。まけるな。
* 一生青春 一生初心
* 幸せだから感謝するのではない。感謝するから幸せになれること。
* 人は、出会いの感動より成長する動物であること。
* いかに長生きするかではなく、いかに良く生きたかが問題であること。
* 「一生懸命」より「一日懸命」「一日懸命」より「一瞬懸命」に生きること。
* チャンスは貯金できないこと。
* 夢があると元気になる。夢を持つと元気が出ること。
* 奪い合えば足りぬ。分け合えば余ること。
* 風邪引くな。そして転ぶな。呆け(ボケ)を防げ、を励行すること。
* 心のお化粧を怠るな。怠らないこと。
* 昨日の夢は、今日の希望なり。明日の現実となること。
* 花の咲かない冬の日は、下へ下へと根を伸ばせ。明日に向かって実力を付けること。
* 五つのふれあいを大切にすること。
@自然 A人 B本 C家族 D地域
* 丸い卵も切りようで四角、ものも言いようで角が立つこと。
言葉使いの大切さ、常に気を付けること。
* 小事にも徹する人は、大事を成し遂げる力を恵まれる。
* 真心を尽くした事は、他人は知らなくても自分を支える力になっている。
* 実行の決意が鈍いと次々にやれない事情が起きてくる。
* どんなに親を思い 尽くしても 親から受けた愛情には及ばない
* たとえわずかな改善でも 長い人生にとって大きな変化である。
* 自分の生き方に確信がないと 人の言動に左右され易い。
* 過ちを軽く受け流していると 度々それを繰り返すことになる。
* 現在に全力を尽くそう 過去はもうない 未来はまだない
* 他人の欠点は嫌っていながら、自分の欠点は気付いていない。
* 自然の恵みを疎かにしていると、その恩恵から見放されていく。
* 自分自身を躾ける心でこそ、子供を躾けることが出来る。
* 一つの考えにこだわり過ぎると新しい道は開けてこない。
* 向上の意欲を持てば毎日の小さな事からも体験が生まれる。
* 自分は間違っていないと思う独善が対立や争いとなる。
* 今日の失敗は明日の糧にしてこそ尊いことになる。
* 他人から受ける批判の中には自分では悟れぬ真実の姿がある。
* 支払いを収入と同様に喜べる人は金を上手に働かせる人である。
* 人の喜びが我が喜びとなる時、人生は真に幸せなものとなる。
* 言葉や態度で繕ってみても 本心は何時か行動に現れる。
* 自分本位の心で見ているから 周りに気に入らぬ事が多くなる。
* 向上心のある人は称賛よりも 批判されることを喜ぶ。
* 親の有り難さに気付いた時 子供から大人に脱皮していく。
* 全力を尽くしている時にこそ 最良の方法が恵まれてくる。
* 欠点は素直に認める勇気があれば 必ず改まっていく。
* 僥倖を願う心は 堕落と不幸へのみちに繋がっている。
* 強情を押し通すと周囲にも 自分にも苦しみとなる。
* 他人を思いやる心が乏しいのは 己の心が貧しいからである。
* 人の思惑を気にし過ぎると 自分の働きは十分に発揮できない。
* 損得に心が向いていると 他人の働きの尊さが見えない。
−以下省略ー
C 相反するものの教え・・・反面教師
D 神からの授かりもの(人命)
E 蜘蛛の糸・・・芥川龍之介作品から
F 雉も鳴かずば撃たれまい・・・民話から
G 霧の摩周湖への車両走行・・・私の体験から
H ベトナムの飢餓に苦しむ子供の話・・・杉良太郎の話
I 六字の生活について・・・耕三寺初代住職
J 花は土に咲く・・・児童文学作家:原田一美氏の講演から
K 雪山の寒苦鳥の話・・・インドの想像上の鳥
L 中国難民:日本への不法入国者を救った話・・・私の体験から
M 人生訓話 有田 憂田等の話
N その他
5 年度篤志面接委員研究協議会
(1) 平成18年度(第45回) M施設担当 18:11:16
(2) 平成19年度(第46回)MS施設担当 19・11・20
(3) 平成20年度(第47回)K施設担当 20・10・29
(4) 平成21年度(第48回)M施設担当 予定
(5) 平成22年度(第49回)T施設担当 予定
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