頂点と重心を通る直線は三角形の面積を2分するが、三角形の重心を通る直線はすべて面積
を2分するかどうかを、ベクトルを使って考察し、ベクトルの有用性を感じることが、この教材の
ねらいである。数学Ⅱにある「面積を二等分する直線」の続きで行うとよい。
なお、表記上ベクトルは太字で表示する。
図1において、OA=a,OB=b とおくと、OG=(a+b)/3
任意の直線lについて、OL:LA=s:1-s とおくと、OL=sa
LG={(a+b)/3}-sa={(1-3s)a+b}/3、LM=kLG とおくと、
LM={k(1-3s)a+kb}/3、
OM=OL+LM
=sa+{k(1-3s)a+kb}/3={3s+k(1-3s)a+kb}/3
点MはOB上にあるので、3s+k(1-3s)=0、k=3s/(3s-1) より、
OM=s/(3s-1)b よって、∠AOB=θ とおくと、
⊿OLMの面積は、S=(1/2)|sa||s/(3s-1)b|sinθ=(1/2){s2/(3s-1)}|a||b|sinθ
⊿OABの面積は、(1/2)|a||b|sinθ なので、
ゆえに、s2/(3s-1)=1/2 になるのは、2s2-3s+1=0 より、s=1,1/2 のときのみとなる。
s=1 のときは、直線lが頂点Aと線分OBの中点を通るとき、
s=1/2 のときは、直線lが頂点Bと線分OAの中点を通るときであり、
ともに、三角形の重心を通る直線のうち、三角形の面積を2分する直線は頂点を通る直線だけ
ということがわかる。点Lと点Mを他の辺に取っても同様である。